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- 第1部 第2章 第5節 我が国の第一次所得収支動向及び対外投資の国際比較
第5節 我が国の第一次所得収支動向及び対外投資の国際比較
1.第一次所得収支動向
第一次所得収支は主に投資収益により黒字で推移している。2000年以降の第一次所得収支の推移を見ると、世界経済危機の際に落ち込んだものの、対外投資残高の増加に伴い、直接投資収益、証券投資収益とも年々増加し、2013年の第一次所得収支は約16.47兆円の黒字と、世界経済危機前の2007年(約16.48兆円)に次ぐ過去2番目の黒字となった。我が国では、証券投資収益の比率が高くなっている(第Ⅰ-2-5-1図、第Ⅰ-2-5-2図)。
第Ⅰ-2-5-1図 第一次所得収支の推移(2000年~2013年)
第Ⅰ-2-5-2図 対外投資残高の推移(2000年~2012年)
直接投資収益、証券投資収益の内訳についてそれぞれ見ていく。直接投資収益は、海外子会社などから得た「配当金・配分済支店収益」、投資先現地企業などの内部留保である「再投資収益」、貸付け・借入れ利子や債券利子である「利子所得」が構成要素となっている。2007年までは「再投資収益」の方が「配当金・配分済支店収益」よりも多い傾向にあったが、2008年以降は「配当金・配分済支店収益」の方が増加傾向が大きく、「再投資収益」を上回っている。特に2013年は「再投資収益」は減少したものの、「配当金・配分済支店収益」が前年比約1.3兆円増加し、直接投資収益の増加(約5.3兆円の黒字、前年比約1.3兆円増加)に大きく寄与している(第Ⅰ-2-5-3図)。
第Ⅰ-2-5-3図 直接投資収益の推移(2000年~2013年)
証券投資収益は、「配当金」と「債券利子」から構成されている。「債券利子」の額は2013年も証券投資収益の大きな割合を占めているものの、世界経済危機の影響などから大きく減少して以降、伸び悩みが続いている。一方で、「配当金」は「債券利子」に比べ額は小さいものの、2010年以降も堅調に増加し続けており、2013年は2007年比で2倍以上の約3兆円の黒字となっている(第Ⅰ-2-5-4図)。
第Ⅰ-2-5-4図 証券投資収益の推移(2000年~2013年)
2.対外投資の国際比較
まず、対外直接投資について、直接投資残高を見ると、米国で年々大きく増加しており、他国に比べ突出して多くなっている。日本でも緩やかな増加傾向にあるが、相対的に低い水準となっている(第Ⅰ-2-5-5図)。
第Ⅰ-2-5-5図 各国の対外直接投資残高の推移
対外直接投資残高の業種別比率を見ると、日本、韓国、ドイツでは製造業の比率が最も高くなっている一方で、米国、英国、フランスでは金融業を中心としてサービス業の比率が高くなっている(第Ⅰ-2-5-6図)。
第Ⅰ-2-5-6図 各国の対外直接投資残高の業種別比率(2012年)
対外直接投資収益率を見ると、日本では、ドイツ、フランス、韓国よりも高い傾向にあるが、米国、英国よりも低い水準となっている。(第Ⅰ-2-5-7図)。
第Ⅰ-2-5-7図 各国の対外直接投資収益率の推移
次に、対外証券投資について、証券投資残高を見ると、世界経済危機の際に落ち込んだものの、各国ともおおむね増加傾向にあるが、対外直接投資同様、米国で突出して多くなっている。日本でも増加を続け、足下では英国を上回り、5か国の中で米国に次ぐ水準となっている(第Ⅰ-2-5-8図)。
第Ⅰ-2-5-8図 各国の対外証券投資残高の推移
対外証券投資収益率を見ると、対外直接投資収益率の高い米国や英国で収益率が低くなっている一方、日本の収益率は5か国の中で最も高い水準となっている(第Ⅰ-2-5-9図)。
第Ⅰ-2-5-9図 各国の対外証券投資収益率の推移