第4節 分野別戦略の強化
相手国での制度整備とあわせた売り込みによって、市場獲得の可能性が広がる分野、また、課題解決と市場開拓の両立が可能な分野について、各省庁が連携をし、大きな戦略に基づいた各種施策を実施できる体制を整備する必要がある。
例として、①医療分野②流通分野③食分野に分けて今後の戦略について検討する。
1.医療分野
現地に日本式医療拠点を根づかせるためには、医療サービスと機器が一体となった海外展開に加え、制度や人材育成等の環境整備が必要となる。具体的には、日本が強みを有するがん・生活習慣病の早期発見・治療について、健診制度や民間保険システム等の整備と一体的な海外展開を支援する。また、人材育成やODA等の支援と組み合わせた展開も重要である。例えば、医療機器調達の鍵を握る、相手国の医師・技師等に対する研修等を通じた、日本の医療技術・サービスの展開を支援する。
2.流通分野
現在、我が国流通業の主要な進出先であるアジア諸国の一部には、外資企業の出資や出店を阻む規制が存在するほか、経営の担い手となる人材の確保・育成等の課題がある。このような課題に対して、経済連携交渉、二国間対話、人材育成支援等の施策を合わせて、日系流通業の海外展開と現地の流通近代化を後押しする。具体的には、TPP、RCEP、AJCEPをはじめとする経済連携交渉において、アジア諸国に対して高水準の自由化約束を要請する[M3]。また、特に進出ニーズが強いインドネシア、ベトナムとは、流通分野における協力関係を強化するため、両国の流通政策担当部局間の局長級対話や、現地の流通近代化を目的とした招聘研修を継続するとともに、事業者のニーズ等を踏まえて相手国の拡大も検討する。
3.食分野
日本食のファンは海外にも多いが、日本の食材を売るには、検疫対応、輸出先国やバイヤーの求める国際的な規格に関する認証の取得等が必要となる。そのため、日本食文化の普及を行いつつ、①世界の料理界での日本食材の活用推進(Made FROM Japan)、②日本の食文化・食産業の海外展開(Made BY Japan)、③日本の農林水産物・食品の輸出(Made IN Japan)の取組(FBI戦略)を一体的に推進する上で、検疫交渉の戦略的な実施及び食品安全等に関する国際的な規格に関する認証の取得等を支援する。具体的には、昨年(2013年)8月に公表された「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」に基づき、輸出先国との間で検疫条件を協議し、輸出可能な品目を拡大するとともに、食品関連事業者のハラールやHACCP、GLOBALG.A.P.等国際的な規格に関する認証の取得を支援し、輸出の拡大・海外展開につなげる。
さらに、輸出拡大に向けて、周年供給が可能なオールジャパンでの取組を目指す事業者に対して政策支援を行う。