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第6節 持続可能性への留意

 これまで見てきた都市化や高齢化といったメガ・トレンドを包含する世界的な政策課題として、「持続可能な開発」が再度その重要性を増している。すなわち、国際連合のミレニアム開発目標は、本年「持続可能な開発目標」に発展することが予定されている。第Ⅰ-2-6-1-1表は、国際連合のプロトタイプ・グローバル・サステナブル・ディベロップメント・レポートにおいて、1950年から2013年までの持続可能な開発に関する進捗度合いを示す一例として示されたものである。同レポートにおいては、経済発展や都市化が急速に進んだ一方で、最大の課題である貧困や飢餓の撲滅にはさらなる努力が必要と指摘されている。

第Ⅰ-2-6-1-1表 世界の人々(単位:10億人)

 国際連合における議論と並行して、世界経済フォーラムにおいては、世界競争力指数に、社会的持続可能性と環境的持続可能性を加味することによって、持続可能性競争力指数を作成している。持続可能な競争力は、「社会的、環境的持続可能性を保障しつつ国家を長期的に生産的にするための制度、政策及び要素のまとまり」と定義されている15。わが国は、世界競争力指数と同様、持続可能性競争力指数においても世界第6位と高い順位となっており(第Ⅰ-2-6-2表)、競争力の背景にある技術力に加えて、持続可能な開発を可能とする社会的な制度の面でも世界で高いレベルにあることがわかる。現在、わが国で検討されている高齢化社会と両立した都市政策から得られた知見や、持続可能な発展を果たすために適切な制度設計といった面からも、持続可能な開発のために貢献していくことが必要と考えられる16

第Ⅰ-2-6-1-2表 世界競争力指数(右)と持続可能性競争力指数(左)

15 原文では、the set of institutions, policies, and factors that make a nation productive over the long term while ensuring social and environmental sustainabilityとされている。

16 OECD (2015), Aging in Citiesにおいては、高齢化社会における都市政策が議論されているが、その中で富山市と横浜市の事例研究がとりあげられている。

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