第4節 ASEAN
〈今後の方針〉
ASEANには、基礎的なインフラや産業人材が不足している段階の国から、産業集積が相当程度進んでいる一方でコスト面の優位性を失いつつある段階の国まで存在する。消費市場としては、今後、中間層・富裕層の更なる増加が見込まれており、ASEAN全体として、引き続き魅力が高まっている。発展段階に応じて、ビジネス環境整備、インフラ整備、経済統合等の支援を通じ、生産ネットワークの強化、ASEAN市場の獲得を目指す。
〈進捗状況〉
2017年4月、ASEAN設立50周年を祝し、日ASEANの経済産業協力関係を強化するため、「ASEAN経済大臣ロードショー」が開催され、ASEAN各国の経済大臣などが東京・京都・大阪・和歌山を訪問した。大阪にて、世耕経済産業大臣とフィリピンのロペス貿易産業大臣の共同議長の下開催された日ASEAN特別経済大臣会合においては、イノベーション創出に向けた日ASEAN協力の強化や質の高いRCEPの実現に向けた日ASEANの連携の方向性などについて議論した。また、日ASEAN両地域の主要ビジネス団体により、日本企業とASEAN企業の連携による新産業の創出を支援するための「日ASEANイノベーションネットワーク」を通じた連携の強化に向けた協力覚書(MOC)の署名式が行われた。
タイにおいては、2016年9月、世耕経済産業大臣とピチェート科学技術大臣の立会いのもと、日タイのスタートアップ及び大企業が連携を深めるための覚書の署名式が行われた。本署名式は、在タイ日系のスタートアップを中心メンバーとする「日タイイノベーションサポートネットワーク」とタイ最大のスタートアップ団体「タイテックススタートアップ協会」により、日タイ企業間連携の促進、タイ政府への政策提言を策定することを主な目的として行われたものである。「日タイイノベーションサポートネットワーク」は、上記「日ASEANイノベーションネットワーク」を通じた連携の強化に向けた協力覚書(MOC)にも署名し、「日ASEANイノベーションサポートネットワーク」として、ASEAN域に活動を広げている。
また、フィリピンとは、2016年10月世耕経済産業大臣とラモン・ロペス貿易産業大臣の間で合意された「産業協力イニシアティブ」に基づき、イノベーション分野を含め、産業発展のためにとるべき施策などに焦点を当てたフィリピン産業発展ビジョンを策定することとしている。
そのほか、ベトナムとは、2016年3月、第1回日越産業・貿易・エネルギー協力委員会を開催し、「繊維産業政策対話」の立ち上げ、模倣品対策の強化に向けた執行機関・市場関係者・権利者企業の三者連携の推進、ベトナム政府職員の育成等の協力を行うことに合意した。
ミャンマーとは、外資を中心とした産業集積の形成に寄与する工業団地プロジェクト「ティラワ経済特別区(SEZ)」の開発に官民一体で取り組んでおり、2017年2月、Zone A(早期開発区域)に続き、Zone B(次期開発区域)第一期の起工式典を開催し、2018年半ばには開業を予定している。