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第5節 G7/G20及びOECD関連会合

1.G20ハンブルグ・サミット(2017年7月)

2017年7月に開催されたG20ハンブルグ・サミットでは、首脳宣言において、「開かれた市場を維持する」とともに、「全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義と引き続き闘う」こと、「公平な競争条件を確保するため努力する」こと、「ルールに基づく国際的貿易体制の極めて重要な役割を強調する」こと、「交渉、監視、紛争解決制度に関わるWTOの機能の向上のため協力する」こと等について合意した。

また、過剰生産能力についても、「過剰生産能力が国内生産、貿易及び労働者に与える継続的な負の影響を認識」するとともに、「集団的な解決策を見出すための協力を一層強化することにコミット」した。また、「政府及び関連主体による市場歪曲的な補助金及びその他の支援措置の撤廃を緊急に求める」こと、「鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムの構成国に対し、鉄鋼の過剰生産能力を減少させる具体的な政策的解決策を速やかに構築する」よう要請するとともに、「2017年11月までに、具体的な政策的解決策を含む実質的な報告がなされること、また、2018年中に進捗をフォローアップする報告がなされること」への期待が表明された。

さらに、翌年以降の議長国について、2019年は日本で、2020年はサウジアラビアでG20を開催することも決定された。

2.鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム閣僚会合(2017年11月)

2016年のG20杭州サミット首脳宣言を受け、G20及び関心を有するOECD加盟国をメンバーとする「鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム」が2016年12月に設立された。OECD事務局がファシリテーターを務め、2016年12月からの初年度は、ドイツ、米国、中国が、2017年12月からの本年度はアルゼンチン、EU、インドが共同議長を務めている。2018年3月までに事務レベルの会合を7回開催し、各国の粗鋼生産能力や政府支援措置等に関する情報共有等を実施。また、G20ハンブルグ・サミットを受け、2017年11月30日には閣僚級の会合を初開催し、市場歪曲的な補助金措置の除去に向けた実効性あるレビューを行うことや国有企業と民間企業の同等の扱い等、過剰生産能力問題に対処するために各国が実施すべき6つの原則の政策的解決策を含む、1年間の成果を報告書として取りまとめた。2018年においては、これらを着実に実行するため、引き続き、生産能力及び政府支援措置に関し、情報の共有と相互のレビューを行うとともに、6月には2回目の鉄鋼グローバルフォーラム閣僚会合を開催し、さらなる行動計画策定等の議論を行う予定である。

3.OECD閣僚理事会(2018年5月)

2018年のOECD閣僚理事会は、フランス議長下で、「より責任ある、効果的で、包摂的な成果を得るための多国間主義のテコ入れ」をテーマとして、5月30-31日にパリで開催された。貿易・投資セッションでは、ルールに基づく多角的貿易体制の重要性や、いかなる貿易措置もWTO整合的でなければならないこと、問題の根本原因である市場歪曲的措置を除去し、公平な競争条件を確保することの重要性等について議論した。世耕経済産業大臣からは、補助金の国際ルールの強化、強制技術移転への対処、輸出信用作業部会や鉄鋼グローバル・フォーラムの作業加速化の重要性を指摘し、いずれも議長声明に反映された。

4.G7シャルルボワ・サミット(2018年6月)

2018年のG7においては、議長国カナダより「皆が裨益する経済成長」、「経済成長、将来の仕事」、「平和で安全な世界」、「ジェンダー平等及び女性のエンパワーメント」、「気候変動、クリーンエネルギー」、「海洋」といったテーマが示され、2018年6月に開催されたG7シャルルボワ・サミットでは上記テーマを踏まえつつ、貿易についても議論が行われた。首脳コミュニケにおいて、自由、公正、かつ互恵的な貿易及び投資が、成長や雇用創出の主要な原動力であるとの認識の下、G20ハンブルク・サミットの貿易に関する結論、特に、ルールに基づく国際貿易体制の極めて重要な役割を強調し、引き続き保護主義と闘うことに改めてコミットした。また、二国間、地域間及び複数国間の協定の重要性、WTOの近代化、関税障壁、非関税障壁及び補助金の削減に向けて取り組むことも確認された。

また、公平な競争条件を促進するため、市場指向的ではない政策・慣行及び強制技術移転やサイバーによる窃取等の不適切な知的財産の保護への対処、市場歪曲的な産業補助金及び国有企業による貿易歪曲的な行動などに関する国際ルール強化のための本年の交渉開始、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムの取組促進、アルミニウムやハイテク分野等での過剰生産能力の回避、及び輸出信用に関する新たな国際指針の2019年のなるべく早期の策定などの重要性についても一致した。

5.2019年G20日本開催に向けて

2018年4月、日本政府は2019年6月28-29日に大阪においてG20首脳会合を開催することを発表した。また、「貿易・デジタル経済大臣会合」を2019年6月8‐9日に茨城県つくば市で開催することを発表した。同会合では、自由貿易の推進や、IoTやAI等の革新的技術を通じて世界の経済成長を力強いものとするためのG20の取組について議論予定である。

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