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第6節 APEC

ベトナムが議長を務めた2017年のAPEC閣僚会議・首脳会議では、経済的・金融的・社会的包摂の促進に関する行動アジェンダとともに、ボゴール目標の達成年である2020年以降を見据えたAPECビジョン形成を進めることに合意された。また、多角的貿易体制を支えるAPECの重要な役割を強調するとともに、レベル・プレイング・フィールドの確保に取り組むことや、あらゆる不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘うことにAPECが改めてコミットすることが確認された。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)については、その最終的な実現に向けたプロセス進展へのAPECのコミットが再確認された。

デジタル貿易については、電子商取引とデジタル貿易を含むインターネット及びデジタル経済の発展を促進するための行動の検討をすることが確認され、「APEC越境電子商取引円滑化枠組」が承認された。連結性・質の高いインフラについては、我が国が提案する「インフラ開発・投資のピアレビュー及び能力構築」の進捗を含む「質の高いインフラ」に関連する一連の進展が歓迎されるとともに、「インフラ開発・投資の質に関するガイドブック」の改定開始が歓迎された。

2018年はパプアニューギニア(PNG)がAPECの議長を務め、「包摂的な機会の活用、デジタル未来の受容(Harnessing Inclusive Opportunities, Embracing the Digital Future)」をテーマに、(1)連結性の向上、地域経済統合の深化、(2)持続可能で包摂的な成長の促進、(3)構造改革を通じた包摂的成長の強化の3つの優先課題の下に議論を進めている。5月に開催されたAPEC貿易担当大臣会合では、閣僚声明においてデジタル貿易や質の高いインフラの重要性等が確認されるとともに、多角的貿易体制の支持・強化・改善や、保護主義及び貿易歪曲的措置への対抗等について盛り込んだ「多角的貿易体制の支持に関する議長声明」が発出された。1年を通じたAPECの活動の成果は11月にポートモレスビーで開催されるAPEC閣僚会議・首脳会議で取りまとめられる予定である。

我が国としては、2010年の「横浜ビジョン」を基礎とした議論の流れを着実に引き継ぎつつ、FTAAPを始めとするアジア太平洋地域の経済統合に取り組んでいくとともに、質の高いインフラ開発・投資の促進等に関する具体的な取組を進め、この地域の力強い成長力を取り込みつつ、我が国に豊かさと活力をもたらすよう政策を実現していく。また、時代の変化に合わせてAPECにおいてもデジタル貿易等の新しい経済・貿易アジェンダを積極的に進めていくとともに、市場歪曲措置の是正やレベル・プレイング・フィールドの確保にも取り組み、2020年以降を見据えたAPECビジョン形成に積極的に関与していく。

第Ⅲ-1-6-1図 APEC閣僚・首脳会議

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