第6節 アフリカ
〈今後の方針〉
アフリカは、若年層を中心に12億人を超える人口を抱え、経済成長とともに電力・運輸・港湾等のインフラ需要が高まっている。一部の地域では石油・天然ガス・鉱物資源が豊富である一方、近年の国際資源価格の下落はこれらの地域の財政を悪化させ、各国に対し資源依存からの脱却を促している。消費財やICTを活用したビジネスが広がるなど、かつて資源・インフラを中心としていたアフリカビジネスは多様化しつつある。我が国は、質の高いインフラ整備の推進、投資協定の締結促進などとともに、日アフリカ官民経済フォーラム等の官民が一体となった対話の場を活用し、アフリカに加え第三国や国際機関との協力を強化することを通じて、日本企業のアフリカ進出を支援していく。
〈進捗状況〉
2016年8月にケニア・ナイロビで開催された第六回アフリカ開発会議(TICADⅥ)において、安倍総理大臣より「日アフリカ官民経済フォーラム」の設立が表明された。日本とアフリカの企業がともに発展していくためには何が必要か、エネルギーや貿易・投資、人材育成、インフラ整備、ファイナンス等の観点について、ビジネスの視点から議論を行い、実際のビジネスに繋げていくことを目的としている。
第一回会合は、2018年5月3日、4日に、アフリカ大陸で最も多くの日本企業が進出する南アフリカ・ヨハネスブルグで開催された。日本からは世耕経済産業大臣、岡本外務大臣政務官、高橋国土交通大臣政務官が出席し、アフリカ側からはシリル・ラマポーザ南アフリカ大統領、ロブ・デービス南アフリカ貿易産業大臣をはじめとして閣僚級28名を含む42カ国が出席した。また、アフリカ企業約400社、日本企業100社以上、さらに欧州や中東等の第三国企業や国際機関を含めて総勢約2000名が参加し、日本企業のアフリカビジネス拡大に向けた議論を実施した。
世耕経済産業大臣は、日アフリカ間の協業の機会及び課題を議論するプレナリー・セッション1において、日本とアフリカの経済がwin-winで持続的に発展するための4つの柱として、(1)民間資金を活用したインフラ整備、(2)ビジネス分野の拡大、(3)プレイヤーの拡大、(4)ビジネス環境整備に関する取組を表明した。
第Ⅲ-2-6-1図 日アフリカ官民経済フォーラム
さらに、日アフリカ官民経済フォーラムでは、公式サイドイベントとしてJETRO主催のジャパンフェアが開催され、世耕経済産業大臣、デービス南アフリカ貿易産業大臣らが巡覧した。ジャパンフェアには日本企業等約70社・機関の産官学各界が結集し、インフラや通信、農業やヘルスケア等におけるロボット等を駆使した日本企業の高い技術力やアイディアが幅広く展示されたほか、アフリカに貢献する日本企業の紹介がなされ、多くの政府関係者、ビジネス関係者が訪れた。
また、多くの政府要人が集うこの機会をとらえ、世耕経済産業大臣は、ラマポーザ南アフリカ大統領への表敬をはじめ、デービス南アフリカ貿易産業大臣ら18名の政府要人と会談し、我が国のアフリカにおけるビジネス協力や二国間関係における更なる進展の可能性について意見を交わした。
日アフリカ官民経済フォーラムのほか、エジプトについては、2017年7月に高木経済産業副大臣がエジプトに出張し、イスマイール首相及びシャーケル電力・再生可能エネルギー大臣と会談した。また、2018年2月には、大串経済産業大臣政務官がエジプトに出張し、シャーケル電力・再生可能エネルギー大臣、エルモッラー石油・鉱物資源大臣との会談を通じて、両国のエネルギー分野における協力の現状、今後の協力拡大などについて議論を行った。
モロッコについては、2017年10月にエル・アラミ産業・投資・貿易・デジタル経済大臣が訪日し、世耕経済産業大臣と会談を行い、投資・貿易関係強化に向けた意見交換を行った。2017年4月には、日・モロッコ投資協定が実質合意に至った。
サブサハラ・アフリカについては、2017年1月以降、コートジボワール、セネガル、ナイジェリア、ザンビア、エチオピアとの投資協定交渉が開始した。また、2017年10月にはモザンビーク・マプトにアフリカ8か所目となるジェトロ事務所が開設した。モザンビークとの貿易投資促進が期待される。