第3節 食品輸出関連
1.政府全体の動き
農林水産物・食品の輸出額を1兆円とする目標の達成のため「農林水産業の輸出力強化ワーキンググループ」(座長:経済財政担当大臣、副座長:官房長官、農林水産大臣、経済産業大臣)が2016年1月に発足した。10回のワーキンググループ開催を経て2016年5月、「農林水産業の輸出力強化戦略」が取りまとめられた。
農林水産物・食品の輸出にあたっては、政府として現在、輸出総額1兆円を2019年までに達成することを目指すこととしている(2016年11月「農林水産業・地域の活力創造プラン」)。直近、2017年の輸出額は8,071億円なっており、対前年比で569億円(7.6%)の増加となった。この先2年間で約2,000億円の輸出増を目指す。
第Ⅲ-3-3-1図 農林水産物・食品の輸出額の推移
2.輸出拡大にあたっての経済産業省の取組
上記のような経緯から、経済産業省においても農林水産物・食品の輸出に関して以下の取組を実施しており、政府目標の達成に貢献していく。
(1)農林水産物・食品の販売促進
①日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)の創設
2016年11月に決定した「農業競争力強化プログラム」に基づき、日本の農林水産物・食品の輸出拡大に貢献するべく、2017年4月、「日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)」をJETRO内に設置した。2017年度は、和牛(台湾)、水産物(ハマチ等)(香港)、日本茶(米国)、米粉(米国等)、日本産アルコール飲料(日本酒:英国、日本ワイン:英国等、クラフトビール:米国)の5品目7テーマのプロモーション戦略を策定・実行している。
(2)企業の販路開拓等への支援
①新輸出大国コンソーシアム
第2節1.に記載の「新輸出大国コンソーシアム」においては、農林水産物・食品の輸出も積極的に支援した。会員証を発行した7,088社のうち、農水産品関係の企業は1,328社(平成30年3月31日現在)となり、専門家の支援を受けて海外展開に取り組んだ。
②コンビニとの連携による日本産食品の拡大
JETROと日系コンビニエンス・ストアが連携し、ベトナムにおいて、2016年11月に日本食品のテスト販売を約200店舗で実施したところ、半数以上が継続販売・買取りに繋がるなど好評であったことから、2回目のテスト販売を2017年11月に実施した。コンビニエンス・ストアと連携したテスト販売はシンガポールでも取り組んでおり、2017年4月に約350店舗、2017年11月に約300店舗で日本食品のテスト販売を実施した。
③貿易保険の利用拡大
農林水産事業者が低料率で利用できるNEXIの「中小企業・農林水産業輸出代金保険」は、積極的な広報により事業者の利用が拡大しており、2016年は引受件数1,742件、引受金額で9,516百万円の引受けを行っている。
(3)輸出に係る周辺環境整備
①海外輸入規制への対応のための現地体制の整備
在外公館及びジェトロ海外事務所のスタッフで構成される現地体制を整備し、我が国事業者が直面している、相手国の規制やその運用に関する様々な課題について、情報収集や相手国政府等への改善の働きかけを実施している。
②国際物流の国際規格化と、国際標準化及びアジア諸国における国家規格の取得
英国規格協会における小口保冷輸送のPAS規格が2017年2月に発行し、規格の普及のための国交省、農水省、物流業者を含めた「我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会」を同月開催した。また、2018年1月に国際標準化機構に規格を作成するための委員会を設置した。あわせて、アジア諸国への普及に向けた働きかけを行っている。
③知財総合支援窓口におけるGI制度・植物品種保護制度の資料配付、相談業務
全国47都道府県に設置する知財総合支援窓口で特許、商標に加え育成者権とGIも併せて相談を受け付けている。また、中小企業の海外への特許や商標等の出願費用補助や訴訟・冒認商標取消等の費用補助等の支援制度や、内外知財制度の農林水産事業者向け周知を実施している。