経済産業省
文字サイズ変更

第5節 インド

2018年5月、世耕経済産業大臣は、世界有数のスタートアップ・エコシステムを擁するベンガルールを経済産業大臣として初めて訪問し、インドIT・ベンチャー企業有識者との意見交換及びスタートアップ企業支援施設の視察を行った。また、インド経営大学院バンガロール校(IIMB)でのセミナーで、2017年9月の日印首脳会談で合意された「日印スタートアップ・ハブ」をベンガルールに構築することをアピールした。(第Ⅲ-2-5-1図)

続いて訪問したデリーでは、シン電力・新・再生可能エネルギー大臣と共同議長を務める日印エネルギー対話を開催し、電力、再エネ、省エネ、石炭、石油・天然ガスの各分野における日印間のエネルギー協力の成果を確認した。さらに、これらの協力を発展させつつ、水素についての協力や電気自動車分野との連携などを新たに包括し、インドのエネルギー転換・脱炭素化を促進する「日印エネルギー転換協力プラン」に合意し、同プランの内容を含む「第9回日印エネルギー対話共同声明」に署名した。

第Ⅲ-2-5-1図 インド経営大学院バンガロール校(IIMB)でのセミナーにおけるスピーチ

加えて、世耕大臣はJETRO・NEDO主催の日印産業・エネルギー・セミナーに出席し、約300名の日印の政府関係者及びビジネスリーダーに対してスピーチを行い、「日印スタートアップ・イニシアチブ15」、アジア・アフリカ地域における日印ビジネス協力、日本工業団地のプログレスレポート及び前述の「第9回日印エネルギー対話共同声明」について発表した。

また、インド訪問中、シンハ通信・鉄道大臣、クマールNITI Aayog(政策委員会)副委員長、プラダン石油・天然ガス大臣兼技能開発・起業促進大臣、プラサド電子・IT大臣とそれぞれ会談を行い、各分野における二国間協力について意見交換を行った。

2018年10月、インドのモディ首相は日本を訪問し、安倍内閣総理大臣と会談した。安倍総理は、「日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係であり、モディ首相と共にその潜在力を全面的に開花させ、地域や世界の平和と繁栄のため貢献していきたい」と述べ、モディ首相からも「強いインドと強い日本はアジアのため、世界のために役割を果たすことができる、歴史ある二国間関係を新しい分野に広げ、交流を強化したい」と述べるなど、日印関係の多大な実績を歓迎しつつ、新しい分野での協力可能性について共通認識を深める首脳会談となった。

当該首脳会談においては、スタートアップ分野に加え、デジタル分野における幅広い協力を推進する「日印デジタル・パートナーシップ16」の立ち上げを歓迎するとともに、インドにおけるスタートアップ企業に投資するためのファンド創設を奨励・支援することに合意した。また、「日印投資促進ロードマップ17」の下での日本工業団地(JITs)開発進展及び製造業人材育成に係る「日本式ものづくり学校(JIM)」の新規開校、2019年度第一四半期の開始を合意した日印特許審査ハイウェイ(PPH)を通じた着実な投資の進展、さらに、アフリカを含むインド太平洋地域における日印ビジネス交流を更に促進する「アジア・アフリカ地域における日印ビジネス協力プラットフォーム」の設立に向けた議論を歓迎した。エネルギー分野についても、日印エネルギー協力転換プランの合意を歓迎するとともに、ハイブリッド車や電気自動車など環境に配慮したクルマの生産、エネルギー効率と省エネ、エネルギー貯蔵において引き続き協力していくことで一致した。また、この機会に、インドが主導する「太陽に関する国際的な同盟(ISA)」の枠組協定に署名した。

加えて、日印協力の重要な象徴であるムンバイ―アーメダーバード間高速鉄道に関し、安倍総理より第二期借款供与が決定した旨述べられ、モディ首相から感謝の言葉が述べられた。併せて、西部貨物専用鉄道(DFC)やデリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)構想を通じた連結性強化における日本の役割が一層評価された。(第Ⅲ-2-5-2図)。

なお、同日、世耕大臣はモディ首相を表敬し、二国間の取組について意見交換した。具体的にはスタートアップの取組に加え、企業間連携や人材、研究開発などを含めたデジタル分野での協力や、アジおりア・アフリカ地域における日印のビジネス協力などを進めていくことを確認した。また、RCEPについても引き続き日印間で連携していくことで一致した。

翌2019年1月には、磯﨑経済産業副大臣がインドのグジャラート州(GJ州)を訪問し、GJ州主催の「バイブラント・グジャラート2019」に、同行日本企業約40社約130名と共に出席し、開会式及びジャパンセミナーにおいてスピーチを行った。スピーチでは、日本とGJ州との協力関係、メイク・イン・インディア、アジア・アフリカ地域における日印ビジネス協力、日印デジタル・パートナーシップについて紹介し、参加者から大きな関心が寄せられた。

また、同イベント中にモディ首相へ表敬を行い、デジタル分野や人材育成分野等における日印協力の重要性を確認した他、日本企業15社とともにルパニ・グジャラート州首相と会談を行い、日本企業の集積が進むGJ州マンダル・ベチャラジ・コラージ地域における投資環境整備に係る課題やインフラ整備等を具体的に要望した。

第Ⅲ-2-5-2図 署名式・文書交換式

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201810/29India.html外部リンク

15 世耕経済産業大臣とプラブー・インド商工大臣が署名。

16 経済産業省とインド電子IT 省との間で締結。世耕経済産業大臣とチノイ駐日インド大使が署名。

17 2017年9月、柳瀬経済産業審議官とアビシェック・インド商工省産業政策・振興局次官が署名。

<<前の項目に戻る | 目次 | 次の項目に進む>>

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.