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第8節 中東

我が国は原油輸入の約9割、天然ガス輸入の約2割を中東に依存しており、供給源の多角化に加え、中東産油国との良好な関係を深化させることが重要。中東諸国では、原油そのものだけでなく、より付加価値の高い石油製品を今後需要の急増が見込まれるアジアに販売することで収益を確保しようとする動きや、エネルギー産業に依存しない経済体制の構築に取り組む動きが顕著に見られる。日本としては、2017年3月に合意された「日・サウジ・ビジョン2030」等に基づき、貿易・投資分野を含めた幅広い協力関係の強化を推進しつつ、産油国の経済多角化を支援し、地域の安定ひいてはエネルギー安定供給の確保を図っていく。

加えて、イスラエル等とのイノベーション分野やサイバーセキュリティ分野、ヘルスケア分野での協力を推進し、日本企業の競争力強化を図る。

サウジアラビア王国については、2016年9月にムハンマド・ビン・サルマン現皇太子と安倍総理大臣が「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」の設立に合意し、「サウジ・ビジョン2030」と日本の「成長戦略」のシナジーを最大化する、具体的かつ広範な二国間協力を進めるための議論が開始された。2017年3月には、サウジアラビア国王として46年ぶりとなるサルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王訪日の機会を捉え、安倍総理大臣との首脳会談時に、新たな二国間協力の羅針盤となる「日・サウジ・ビジョン2030」が合意された。2017年4月以降、事務レベルの作業部会である「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」サブグループ会合を5回開催し、同ビジョンに盛り込まれた協力プロジェクトのモニタリングを行うとともに、協力機会の拡大に向け、検討を進めた。直近では、2018年10月にサブグループ会合をリヤドで開催し、すべてのプロジェクトにつき進捗のレビューを実施、第3回閣僚級会合に向けた成果の整理を行った。2018年5月、アル・ファーレフ・エネルギー産業鉱物資源大臣が訪日し、世耕経済産業大臣と会談。「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」第3回閣僚級会合を東京で開催すること、両国の協力関係を一層深化させることで一致した。2019年1月、UAEにおいて世耕大臣とアル・ファーレフ・エネルギー産業鉱物資源大臣及びトワイジリ経済企画大臣が会談を行い、引き続き第3回閣僚級会合の開催に向け調整を行っていくこと、日・サウジ・ビジョン2030の下での協力を更にさらに進めていくことで一致した。

イラン・イスラム共和国については、2018年9月に国連総会の場で安倍総理大臣がハサン・ローハニ大統領と首脳会談を実施。また、10月にはJETROがテヘラン国際産業見本市にJETRO広報ブースを出展し、日本の技術・文化・産業・観光や大阪万博誘致などをPRした。

アラブ首長国連邦(以下、UAE)については、2018年2月、日本企業が、世界有数の埋蔵量を誇る下部ザクム油田権益(10%)等のアブダビ海上油田権益を再獲得。2018年4月、アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外務・国際協力大臣が訪日し、安倍総理大臣を表敬したほか、世耕経済産業大臣と会談。海上油田の権益の再獲得につき謝意を表明するとともに、二国間の協力を多様化していくことで一致した。さらに、4月末には安倍総理大臣がUAEを訪問。ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ皇太子との会談を行った。海上油田の権益再獲得につき謝意を表明するとともに、日・UAE「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」に合意し、エネルギーや経済を始め、広範な分野での戦略的パートナーシップをさらに強固にしていくことで一致した。また、日・UAE投資協定に関する署名文書の交換が行われた。2018年8月、スルターン・アル・ジャーベル国務大臣兼ADNOC・CEOが、CSPIに基づく第1回会合のため訪日。この機会に、世耕経済産業大臣とも会談を行い、二国間のパートナーシップを更に強化することで一致した。2018年11月、関経済産業副大臣がアブダビ国際石油展示会議(ADIPEC)及び日本アブダビ経済協議会(ADJEC)に参加するためUAEを訪問。ジャーベル国務大臣兼ADNOC・CEO、スハイル・ムハンマド・アル・マズルーイ・エネルギー産業大臣、マイサ・アル・シャムシ国務大臣等政府要人と会談を行った。2019年1月、世耕経済産業大臣は、UAE政府主催のワールド・フューチャー・エナジー・サミットに参加するため、UAEを訪問。ムハンマド・アブダビ皇太子やジャーベル国務大臣兼ADNOC・CEOとも会談を行い、二国関係の強化につき意見交換を行った。

イスラエル国については、2018年5月に安倍総理大臣が訪問し、ビンヤミン・ネタニヤフ首相と首脳会談を行った。安倍総理大臣から、2017年に「日・イスラエルイノベーションネットワーク(JIIN)」が設置されたことに触れ、若手起業家のイスラエル派遣、サイバー、イノベーション、バイオ等の先端分野のセミナーやマッチング等を推進予定である旨述べた。また、2019年1月には世耕経済産業大臣がイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相との会談のほか、第3回目の開催となる日・イスラエル経済イノベーション政策対話やJIIN総会等に参加した。これに合わせ、日本企業約100社、200名がイスラエルを訪問した。

トルコ共和国については、2018年9月にイスタンブールで3年ぶりとなる「第24回日本トルコ合同経済委員会」が日本経済団体連合とトルコ海外経済評議会の間で開催。また、11月にはメヴリュット・チャヴシュオール外務大臣が訪日し世耕経済産業大臣と会談、また2019年1月のダボス会議の場で世耕経済産業大臣とルフサル・ペキジャン貿易大臣が会談し、二国間の経済関係について協議をした。

カタール国については、2018年10月のムハンマド・ビン・サーレハ・アル・サダ・エネルギー工業大臣訪日時に開催されたLNG産消会議2018や第12回日・カタール合同経済委員会などの場を通じて、我が国へのLNGの安定供給を始めとする経済関係強化に向けた意見交換を実施した。2019年1月にはタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長が訪日し、安倍総理大臣と首脳会談を実施。会談において、両首脳は、LNGにかかる両国の協力関係の重要性を確認し、エネルギー・交通・発電等のインフラ事業へ日本企業の参加を歓迎しつつ、民間ビジネスの協力進展への希望を表明した。また、訪日の機会を捉え、外務省、経済産業省、一般財団法人中東協力センター、カタール商業・工業省の共催で日本・カタール・ビジネスフォーラムを開催し、日本企業の更なるカタール市場への進出を呼びかけた。

安倍総理大臣は、2018年4月から5月にかけての中東訪問に際し、ヨルダン及びパレスチナも訪問。

ヨルダンでは、安倍総理大臣はアブドッラー2世・イブン・アル・フセイン国王との首脳会談を行った。会談において、両首脳は、今般、日・ヨルダン投資協定が実質合意に至ったことを歓迎し、これが、両国の経済関係が飛躍するきっかけとなることへの期待を表明した。

パレスチナでは、安倍総理大臣はマフムード・アッバース大統 領と首脳会談を行った。

第Ⅲ-2-8-1図 イスラエル出張写真

第Ⅲ-2-8-2図 UAE出張写真

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