-
- 政策について
- 白書・報告書
- 製造基盤白書(ものづくり白書)
- 2018年版
- モバイル版
- 第1部第1章第2節
- 4.「働き方改革」を通じた生産性向上・人手不足対策の推進

第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望第2節 人手不足が進む中での生産性向上の実現に向け、「現場力」を再構築する「経営力」の重要性
4.「働き方改革」を通じた生産性向上・人手不足対策の推進
我が国ものづくり企業における人手不足が深刻化する一方でデジタル技術革新に伴う第四次産業革命が進む中、生産性の高い強い現場を構築するには、省人化などを可能とする「デジタルツールなどの利活用」や、付加価値の高い仕事への人的リソースシフトを可能とする「人材育成」に加え、多様な働き方などを通じてあらゆる社員の潜在能力を引き出す「働き方改革」が重要となる。そうした中、ここでは図124-1の赤枠で示すように「働き方改革」の重要性及び、そのあり方などについて先進事例も交えて論じる。
図124-1 環境変化及び、ものづくり現場が目指す方向性

資料:経済産業省作成
前出の人手不足対策として最も重視している取組に関する現状と今後の分析の中でも、今後の取組として重視したいこととして、ロボットやIoT・AIなどの利活用に加え、企業規模問わず、「人事評価、昇進・異動などの人事制度の抜本的見直し」「賃金引上げや福利厚生の充実化など待遇の強化」「テクノロジーを活用した人材マネジメント」などの増加が顕著であり、人材活用の制度的な面の改善を今後重視したい企業の姿勢がみてとれる(図124-2・3)。その他、「国籍にこだわらない人材活用」の項目を規模別にみてみると、中小企業においては現在より今後の取組の比率が高い傾向にあり、多様な人材活用も人材確保の取組として検討していることがうかがえる。
図124-2 人材確保対策に向けた最重要取組(現状と今後比較)大企業

資料:経済産業省作成
図124-3 人材確保対策に向けた最重要取組(現状と今後比較)中小企業

資料:経済産業省作成
今日、旧来の製造業の産業構造が、異業種の広域なプレーヤーの新規参入などによって大きく変化している中、既存の枠を超えた知識の獲得や融合が必要であり、そのすべてを自前で完結する「自前主義」は限界を迎えつつある。このような大きな変化に対し、外部人材を含めたリソースをうまく活用することが重要であり、働く人のニーズに応じて、「多様で柔軟な働き方」を選択肢として選べるようにすることが求められている。従来の「日本型雇用システム」から、より柔軟性が高く、多種多様な人の能力を最大限発揮できる職場環境の整備や雇用システムへの移行が期待される。