経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望
第3節 価値創出に向けたConnected Industriesの推進

4.分野ごとの事例

(1)生み出す、手に入れる〈2〉

①スマートに生み出す、スマートに手を入れる(スマート製造など)

<HILLTOP(株)>

「事業拡大」「価値最大化」

【業務プロセス変革×海外進出】

・かつて油まみれの典型的な下請けの町工場だった同社では、積極的なIT化により職人の技のデータ・デジタル化を進め、24時間無人稼働での多品種・単品・短納期加工を実現し、若者が集まるこれまでとは一味違った工場に変貌を遂げている。同社では、日中に図面を見ながらデザインやプログラミングを行い、夜には機械がデータどおりの加工を行い、朝には加工品が仕上がる仕組みを構築。「新規5日リピート3日の短納期」「小ロット(1個から)対応」をアピールポイントにしながら、積極的にビジネスを展開。IT化により脱下請けを遂げるとともにビジネスモデルを大きく変革し、今やカリフォルニアにも進出。現地企業には超短納期かつ高品質の試作品開発が認められ、3年で400社の顧客を獲得。

<(株)ミラック光学>

「ビジネスモデル変革」「事業拡大」

【蓄積技術×AI】

※コラム参照

コラム:光学に関する経験や知見とAIによって生まれた画像検査システム「AIハヤブサ」・・・(株)ミラック光学

1963年創業の製造中小企業である(株)ミラック光学(東京都八王子市)には、自動車や半導体、食品、エネルギーなどの多種多様な業種から、同社が手掛ける画像検査システム「AIハヤブサ」を導入できないかという多くの相談が寄せられている。

「AIハヤブサ」は、これまでの同社の光学に関する経験や知見(光の当て方や波長、シャッタースピード、レンズ光学系など)とAIを組み合わせた画像検査システムである。これまでの検査では、特に人の目で確認することが困難な微細で複雑な製品において判断のばらつきが生じたり、微妙な色の違いや光沢物の細かなキズなどの識別に時間がかかるといった課題があったが、「AIハヤブサ」では、最先端の画像処理技術及び人工知能・機械学習を活用し、検査の高度化と高速化を実現する。また、これまでの検査工程では熟練した検査員が大勢必要であったが、AIハヤブサ導入によって、必要な人員を少人数の監督者に省人化することもできる。

このような検査工程の高度化・高速化を実現した背景には同社の村松社長の思いが強く関わっている。村松社長が先代から事業承継した当時、同社の強みでもあった顕微鏡の微調整部分の「アリ溝摺り合わせ技術」に着目し、事業を拡大・成長させてきたが、創業50周年を迎えた際「このままで良いのか、業績が良い時こそ新たな挑戦が必要ではないか」と考えるようになり、第二創業に取り組む決断をした。村松社長は「このデジタル化という波が押し寄せる新たな時代の中で、現状に安住することなく、常に新しいことに挑戦することにこそ企業の未来がある」と考えていた。そんな中、同社の画像認識用レンズを組み込んだ装置メーカーの外観検査装置を使う企業から、「汎用画像処理ソフトでは誤判定が多く、使いものにならない」、「システムチェック後に人間が目視検査している」という実態があることを耳にした。以前からAIに対する漠然とした関心があったこともあり、これまで培ってきた光学に関する経験や知見をAIと組み合わせることで、人手不足で困っている工場現場の助けになれないかと考えた。米国シリコンバレーにおけるAIの動向に関する現地調査などを経て、ニッチ領域でトップの地位を確立する戦略を立て、2016年に同社の光学に関する強みを生かしつつ、新たにAIを組み込んで品質管理や検品作業を自動化する画像検査システム「AIハヤブサ」をリリースした。

冒頭の通り「AIハヤブサ」に対する世の中の関心は高く、非常に多岐に渡るニーズが多数寄せられている。例えば、ドリル用材料の「キズ」「クラック」「カケ」を同時に検知したい、ゴーグルグラスの表面キズは乱反射するため検知しにくいが自動検知したい、人の目でも判断できない自動車部品のネジ穴の深さと方向を自動検査したいなどである。また、素人目には不良品と思われるものでも、その後の製造工程でカバーできるため良品であるケースなどもあり、同じ業種・製品でも良否判別の線引きが異なってくる。このため、一件ずつ個別にヒアリングを行い、これまで培ってきた経験や知見を活かした良質画像を顧客のニーズに合わせて取得し、AIによって自動化するソリューションの提案・コンサルティングを行っている。その際、同社の画像認識用レンズを販売するケースもあるというが、既に顧客が製品を持っている場合には他社製品でもできる限り生かすことでコストを抑えており、より多くの中小企業の課題解決に役立ちたいと考えている。

このように、光学に関する経験や知見を活用したコンサルティングを行っている同社だが、相談や引き合いが非常に多いこともあり、これまでは協業していたAI・ソフトウェアを内製化する目的で、AIの学術的権威であるはこだて未来大学の松原仁教授と共同で北海道函館市に(株)AIハヤブサを2017年に設立した。村松社長は、(株)AIハヤブサが、AI・ソフトウェア技術に長けたはこだて未来大学と、ロボット・ハードウェア技術に長けた函館高専の橋渡しとなり、函館をハード・ソフト技術のハイブリッド人材の輩出拠点にする構想を描いており、「ハイブリッド人材を函館から日本各地のものづくり現場に派遣し、函館から日本全体を盛り上げていきたい」と意欲をみせる。(株)AIハヤブサには、松原教授の教え子も入社しており、今後AI技術開発の加速も見込まれる。

同社の取組は、経済・社会のデジタル化やサービス化などビジネス環境が変化する中で、新たなビジネス領域へと踏み込み、変化に対してうまく事業展開している事例と言える。社長のリーダーシップのもと、同社は野心的な挑戦を今後も続けていく予定である。

図1 AI化する外観検査ロボット

出所:(株)ミラック光学より提供

図2 AIハヤブサによる画像検査

<ダイキン工業(株)、(株)日立製作所>

「技能継承」

【匠の技×デジタル化技術】

・ダイキン工業(株)と(株)日立製作所は、2017年10月よりIoTを活用し、熟練技術者の技能伝承を支援する次世代生産モデルの確立に向けた協創を開始。ダイキン工業(株)では、国内外の各拠点における品質の向上・平準化のため、空調機の製造に欠かせないろう付けや旋盤・板金加工などを基幹技能として、技術者の育成や熟練技能の伝承に長期にわたり取り組んできた。一方、(株)日立製作所では、自ら製造業として培ってきた経験・ノウハウを基に、OT(制御・運用技術)とIT(情報技術)を融合したIoTプラットフォーム「Lumada」や先進の研究開発を活用した製造現場のデジタル化により、日本の製造業の強みであるものづくり力を高めるソリューションの創出に取り組んできた。このような中、(株)日立製作所は、現場作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検出する画像解析技術を応用し、熟練技術者と訓練者の技能を定量的にデジタル化し、比較・評価することで、熟練者の技能をより多くの技術者に効率的に伝承するための支援ができると考え、ダイキン工業(株)の協力の下、空調機の製造におけるろう付けのプロセスにおいて、作業者の動作や工具の使い方などをデジタル化、モデル化する検証を行った。

<オリンパス(株)>

「技能継承(暗黙知の可視化)」

【匠の技×デジタル化】

・同社は、内視鏡や顕微鏡などの生産技術をIoTツールなどを活用してデジタル化する「デジタルものづくり」の活動に着手。高度技能者の持つ「匠の技」を数値化して、機械化・自動化を推進する。これにより、生産効率の向上や若手技能者の育成に活かす。国内拠点を始め、アジアなど海外拠点にも展開予定。デジタルものづくりとは、人の五感に当たるセンシング技術や人の頭脳に当たるデータ処理・解析技術、人の手に当たるアクチュエーション(運動系)技術について、デジタル技術を取り入れ、技能者の暗黙知を機械化・自動化するもの。先行例として、顕微鏡の対物レンズを高精度に自動組み立て・調整する機械を開発。従来、高度技能者を育成するには、10~20年近くかかった。その高度技能者が手作業で行ってきた対物レンズの組み立て、調整・評価作業を数値化し、サブミクロン(1万分の1ミリメートル)単位で微細駆動する調整装置との組み合わせで、手作業でなければ不可能だった高度な組み立てを自動化した。

<(株)エクセディ>

「技能継承(暗黙知の形式知化)」「品質確保」「予知保全」「遠隔監視」

【匠の技×デジタル化(AIなど)】

・同社は、マニュアルトランスミッションに搭載されるクラッチ、オートマチックトランスミッション(AT)及び無段変速機(CVT)に搭載されるトルクコンバータの開発から生産までを手掛けるサプライヤー。同社では、これまで熟練技術・技能者が勘と経験に依存していた設備や金型の不具合への対応を情報システムで支援する仕組み(暗黙知の形式知化)を構築。プレス機において、荷重センサー、電流センサー、振動センサーなどのセンサーを配置し、わずかな変化を捉えることにより、ベテラン技術者が判断していた品質に影響する変化、あるいは設備故障につながる変化をシステムにより分析することにまで導く。さらに、蓄積されたビッグデータから様々な事象を時系列的に分析するなどして不良品検知や設備などの故障予兆をリアルタイムに検出し、不良品発生を未然に防ぐことや、設備の故障を未然に防ぐことを可能とした。

<富士通(株)>

「技能継承(熟練技術者などの暗黙知の可視化・自動化)」

【熟練技能×AI】

・過去の熟練技術者の製品設計データに含まれる知識やルールを活用できるように整理を行い、再利用する際の最適解の抽出にAIを活用。通常、スキルの高い設計者が製品の要求仕様や回路構成などを考慮し、要素の優先度を総合的に判断しながら数百時間かけて作成。回路設計から基板設計へ移行する際、基板の層数(製造コストに影響)を何層にするかの判断があり、部品の配置や配線経路、目標とする装置サイズなどから制約される基板許容サイズなど様々な要因を考慮する必要がある。熟練技術者が過去の経験に基づいて行っていたプリント基板の層数判断を含む基板設計を、AIを活用することにより製造期間を20%短縮する。

<(株)川田製麺>

「人材不足対策」「品質確保」

【検査工程×デジタル技術(AI、IoT)】

・乾麺、半生麺、生麺の製麺業である同社は、検査工程に人工知能(AI)機能を搭載した検知器やIoT技術を製麺業界で初導入。食品製造業者を対象に、食品衛生管理の手続きを定めた国際基準のHACCPが段階的に導入されるなど検査基準が厳しくなる中、人手不足により熟練検査要員の確保が難しくなり、これまで目視で行っていた点検に限界を感じていた。AI機能で、包装のシール部分に一部の麺が入り込み、密封を妨げる「麺がみ」と呼ばれる不良品を検知する。さらに、IoTによって、従来手書きで行っていた検査記録の収集を自動化するのに加え、金属探知器や重量チェッカー、X線麺がみ検知装置をネットワーク化し、全データを管理端末で監視・分析する仕組みを構築。AIやIoTを活用することによって、包装不良の出荷は減少し、不良品発生の原因特定や改善措置の迅速化が可能となった。

<月井精密(株)>

「技能継承」「省人化」「ソリューション展開」

【暗黙知×デジタル化】

※コラム参照

コラム:切削加工業がクラウド見積サービスで新会社を設立・・・月井精密(株)

月井精密(株)(東京都八王子市)は、小惑星探査機「はやぶさ」に使用されるコンピュータボックスを製造するなど、技術力に強みを持つ精密機械部品メーカー。CAD/CAMソフトやNC工作機械などの情報技術を活用した製品加工を行う。

適切な見積作成には、相場感や時期ごとの価格変動、見積り依頼した顧客層など、社内外の状況を経験的に熟知している必要があるため、長年の現場経験と経営的な知見のある経営者などが対応する必要があるが、1日に複数の見積依頼が舞い込むと、他の業務ができないという課題があった。また、同社では、先代から事業承継した2年間は、工作機械の操作と同様、見積についても暗黙知の承継が困難であり、値頃感がわからず、どんぶり勘定になりがちであった。

このような課題を解決するため、同社では、見積作成のノウハウをデジタル化(見積に必要なすべての要素を係数として設定)することで、見積作成を誰もが容易に行えるシステム「Terminal Q」を開発した。同システムは、見積作成者が図面記載データを入力するだけで、自動的に見積額を計算する仕組みである。また同システムは、顧客からの見積依頼、担当者による見積作成、経営者などによる見積承認、データの保存など、すべての作業をシステム内で完結する仕組みとして構築した。

同システムを導入している企業に(株)栗原精機(埼玉県川口市)がある。精密機械加工として、削り出し加工を行う切削加工事業者であるが、切削加工は、特に相応の業務経験がないと見積作業を行えない分野であるため、同システムの導入により、通常の事務職員でも見積作業が可能になることに大きな期待を寄せている。また、見積依頼は依頼件数の変動が激しく、数日で数百件の見積依頼がたまることもある。見積作業はこれまで負荷の掛かる作業であったため、同システムによって、図面の情報などを項目別に入力するという単純作業で見積額が算定できれば、見積作業の大幅な省力化につながる。さらに、同システムの活用を進め、自動見積結果にフィードバックをかけることにより、より精度の高い見積が可能になるなど、見積実績データを蓄積することが同社のさらなる作業効率化につながると期待している。

図1 TerminalQについて
図2 TerminalQの活用例

出所:月井精密(株)より提供

<長島鋳物(株)>

「品質確保」「省人化」「遠隔監視」「技能継承」

【匠の技×IoT】

※コラム参照

コラム:設備更新に併せて、自らの創意工夫で鋳物工場をIoT化・・・長島鋳物(株)

長島鋳物(株)は、1945年に鋳物のまちとして知られる埼玉県川口市で創業して以来、日本の上下水道の歴史とともに歩んできた国内有数のマンホール蓋枠のメーカー。長年培ってきた高度な鋳造技術と最新鋭の鋳造機器を融合させ、高品質な製品を供給している。また、業界のトップランナーとして、簡便で短時間にマンホール蓋の交換ができる工法の普及や、下水道を利用した災害用トイレの普及、液状化しないマンホール補強工法の普及など、時代に対応した事業を展開している。

マンホール蓋の仕様は多種多様であることもあり、同社の生産方式は多品種少量生産となっている。納期を守りつつ、製品品質を担保するには、熟練作業者の勘やスピードなどの経験知やノウハウが不可欠であり、その経験知やノウハウをいかに継承・改善していくかについて課題を感じていた。また、マンホール蓋の製造の際に使用する多種類の金型は、人の手で管理されていたことから、費用と労力がかかっており課題となっていた。そこで、同業他社との差別化を図るという点で、さらなる製品品質の向上を目指すために、ITなどを活用した製品の製造工程にかかるトレーサビリティが実現できないかと考え、同社に在籍していた電気関係の資格を持つ社員や、過去にIT関連企業に在籍していた社員などIT/IoTに精通する人材とともに、自社でIoTの仕組みを開発。

制御機器であるPLCなどから取得できる各生産設備の動作データなどを取得し、生産管理上の注文情報などと紐づけることで、情報を一元管理する仕組みを開発した。これにより、モバイル端末や大型ディスプレイなどで稼働状況、生産履歴、注文状況などをリアルタイムで把握可能となるとともに、これまで人が行っていたシステム入力を自動化した。また、電気炉や注湯機にセンサーを設置し、温度や重量などのデータを取得・管理可能としつつ、自動的に最適に注湯される仕組みを構築した。

このように機械情報と生産管理がつながることによって、現場で生産数などの情報を紙に記録し、作業終了後PCに入力する作業など様々な工程でのタイムロスや作業負荷を減らすことができた。また、これまで人手に頼っていた電気炉の温度計測は、遠隔でのリアルタイムな温度管理が実現したことにより、各工程を踏まえた細かな温度設定が可能になり、過度な高温状態による電気炉の損傷軽減や電気代削減を可能にした。さらに、PLCで蓄積した砂の温度や水分量などの記録をデータ分析することで、今まで熟練作業者が指先で判断し限られた社員のみしか行えなかった技術の継承を可能とし、これまでの品質を保持したまま自動化を実現した。

図1 鋳造ラインに設置したディスプレイ

出所:長島鋳物(株)より提供

図2 モバイル端末による進捗確認

<(株)フクル>

「マスカスタマイゼーション」

【複数企業とのネットワーク×顧客ニーズ】

・縫製業を営む同社では、複数の企業の生地や副資材などの在庫データ、デザインパターン、縫製工場などをデータベース化し、世界で1着だけの服をオンデマンドで製造・購入できるシステムを開発した。同システムでは、縫製の手前までの工程をIT技術で自動連携させることでマスカスタマイゼーションを可能にしている。同社のシステムで顧客と生産者をつなぐことにより、海外製品との価格競争や人材不足などの問題を抱える繊維業界の活性化を目指す。

<山中漆器産地 >

「生産最適化」

【地域内連携×管理システム】

・伝統工芸品である山中漆器(石川県)の産地で、産地全体で情報を共有する共通基盤を設けることで、産地内事業者間の連携をより密接し、全体で最適化を図る取組を推進している。生産の各工程は分業制であることから、発注する問屋にとって各職人の進捗状況は把握しにくく、また、受発注の業務も手作業で行っており時間と手間がかかっていた。生産工程や事務処理にICT(情報通信技術)を活用し、受発注業務や請求支払などの情報をクラウドで共有し、産地全体の効率化につなげる。

<LANDLOG、(コマツ、(株)NTTドコモ、SAPジャパン(株)、(株)オプティム)>

「人手不足(生産性の向上)」「安全性の向上」

【全体最適化に向けた協業:建機メーカー×通信×PF支援×AI・IoT企業】

・建設業界の深刻な人手不足の課題解決に向けては、建設生産プロセス全体の最適化により生産性向上や安全性向上を図る必要があるとの認識の下、コマツ、(株)NTTドコモ、SAPジャパン(株)、(株)オプティムは建設業務における生産プロセスに関与する土・機械・材料などあらゆる「モノ」のデータをつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG」の企画・運用を開始した。これまで、コマツが建設現場向けに展開するソリューション事業「スマートコンストラクション」で運用しているプラットフォーム「KomConnect」は建設機械による施工プロセスを中心に構築されたものであったのに対し、「LANDLOG」は建設生産プロセス全体を包含する新プラットフォーム。情報の収集・蓄積・解析の機能について、施工会社などの要望に応じて様々なアプリケーションプロバイダーにデータを提供していく。これにより、建設生産プロセス全体のあらゆる「モノ」のデータを集め、そのデータを適切な権限管理の下に多くのプロバイダーがソリューション・アプリケーションを提供し、建設現場のユーザーがそれを活用することで、安全で生産性の高い現場の実現を図ることを目指す。

<(株)クボタ>

「農作業の無人化」

【農機×自動運転】

・同社では業界に先駆けて、有人監視下で無人自動運転作業を可能にするトラクタ「アグリロボトラクタ」を開発した。同トラクタには、高精度GPSやオートステアリング(自動操舵)、自動旋回機能、安全装置を搭載しており高精度な作業を可能にする。付属リモコンによる作業開始・停止などの遠隔指示ができ、無人での耕うん、代かき作業を実現する。

<カゴメ(株)、日本電気(株)>

「農作物生産の最適化」

【環境データ×地形データ×シミュレーション】

・圃場に設置した気象・土壌などの各種センサーや人工衛星・ドローンなどから得られるデータと、農場から得られる実際の生育データをもとにPC上に仮想の農園を作る。仮想農園での育成シミュレーションから、当該圃場に応じた最適な営農アドバイスや将来の収穫量、最適な収穫時期などの予測を行い、農薬や肥料などの使用量の最適化、収穫量の最大化を目指す。

<JAFIC(漁業情報サービスセンター)>

「熟練者の勘や経験の見える化」「生産性向上」「エネルギー消費削減」

【衛星データ・現場データ×データ分析】

・同法人が提供する漁場探索システム「エビスくん」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の人工衛星GCOM-W「しずく」を始め、各種人工衛星から海色、海面水温、海面高度データを収集し、分析することで、漁労長の勘や経験でしか判断できなかった漁場の把握を一般的なものにした。また、現場の漁船から水温データを収集・解析し、高精度の水温図や潮流図を漁船や漁業関係者、試験研究機関に提供している。同システムを活用することにより、従来と比較して漁場探索時間は15~33%の幅で短縮(平均29%短縮)、給油量は4~23%の幅で削減(平均13%削減)、漁獲量は10~25%の幅で増加(平均21%増加)した。

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