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- 第1部第2章第1節
- 3.人材育成における課題
第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 ものづくり人材の確保と育成第1節 労働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題
3.人材育成における課題
ここからは、ものづくり人材の育成の課題と、行政への支援の要望について確認する。
(1)人材育成の課題
ものづくり人材の育成の課題(複数回答)についてみると、人材育成の「成果あり企業」、「成果なし企業」ともに、「若年ものづくり人材を十分に確保できない」が最も高く、「指導する側の人材が不足している」が続く(図213-1)。
課題ごとに、「成果あり企業」と「成果なし企業」を比較すると、人材育成の「成果なし企業」の方が、「指導する側の能力や意欲が不足している」、「育成ノウハウがない」、「指導する側の人材が不足している」といった課題を挙げる割合がより高い。
図213-1 ものづくり人材の育成の課題(複数回答)

備考:( )内の数字は人材育成成果あり企業と、人材育成成果なし企業の%ポイント差。
資料:JILPT前掲調査
(2)ICT化を実施する場合の人材面での課題
さらに、「2(4)IT人材の確保と育成」(図212-11)において、「自社の既存の人材をIT人材に育成する」、「ICT専攻の人材を新卒採用する」と回答した企業に確認した、ICT(情報通信技術)化を実施する場合の人材面での課題(複数回答)をみると、人材育成の「成果あり企業」、「成果なし企業」ともに、「人材の不足」が最も高く、「育成のためのノウハウの不足」、「他に優先する課題がある」と続く(図213-2)。
課題ごとに「成果あり企業」と「成果なし企業」を比較すると、人材育成の「成果なし企業」の方が、「人材の不足」、「育成のためのノウハウの不足」、「確保・育成の効果がわからない」といった課題を挙げる割合がより高い。
図213-2 ICT化を実施する場合の人材面での課題(複数回答)

備考:1.IT人材の確保について、「自社の既存の人材をIT人材に育成する」、「ICT専攻の人材を新卒採用する」と回答した企業を対象に調査した結果。
2.( )内の数字は人材育成成果あり企業と、人材育成成果なし企業の%ポイント差。
資料:JILPT前掲調査
(3)人材の確保・育成にかかる行政からの支援の要望
人材の確保・育成にかかる行政からの支援の要望をみると、人材育成の「成果あり企業」、「成果なし企業」ともに、上位3項目は「職業訓練を実施する事業主への助成金の支給対象の拡大や支給額の増額」、「従業員の指導力強化に向けた勉強会の実施」、「ものづくり人材向け在職者訓練の充実」となっている(図213-3)。
要望項目ごとに、「成果あり企業」と「成果なし企業」を比較すると、人材育成の「成果なし企業」の方が、「製造現場の改善に向けたコンサルティングや相談窓口の設置」、「従業員の指導力強化に向けた勉強会の実施」といった要望を挙げる割合が高い。
厚生労働省では、中小企業等の労働生産性向上を支援するために、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する全国の職業能力開発促進センター及び職業能力開発大学校・短期大学校等に「生産性向上人材育成支援センター」を設置し、企業の人材育成に関する相談支援から、課題に合わせた「人材育成プラン」の提案、職業訓練の実施までを一貫して支援している(詳細は第2章第2節2(1)に後述)。同センターが実施する在職者訓練及び生産性向上支援訓練については、条件を満たせば、人材開発支援助成金を受けることができる(詳細は第2章第2節3(1)に後述)。今後も、企業ニーズに即した公的職業訓練の実施により、人材育成・確保の支援を行っていくことが必要である。
図213-3 人材の確保・育成にかかる行政からの支援の要望(複数回答)

備考:( )内の数字は人材育成成果あり企業と、人材育成成果なし企業の%ポイント差。
資料:JILPT前掲調査