-
- 政策について
- 白書・報告書
- 製造基盤白書(ものづくり白書)
- 2018年版
- モバイル版
- 第1部第3章第2節
- 4.ものづくりの理解を深めるための生涯学習

第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第3章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発第2節 ものづくり人材を育む教育・文化基盤の充実
4.ものづくりの理解を深めるための生涯学習
(1)ものづくりに関する科学技術の理解の促進
(国研)科学技術振興機構が運営する「日本科学未来館」では、先端の科学技術を分かりやすく紹介する展示の制作や解説、講演、イベントの企画・実施などを通して、研究者と国民の交流を図っている。常設展示「未来をつくる」では、“創造力” をテーマにした「技術革新の原動力」、“情報社会”をテーマにした「アナグラのうた」などの展示を通じ、持続可能な社会システムや人間の豊かさを実現する未来について考える機会を提供している。
また、制作した展示や得られた成果を全国の科学館に展開することで、全国的な科学技術コミュニケーション活動の活性化に寄与している。日本科学未来館が提供する実験教室は、第一線の研究者と科学コミュニケーターが一緒に作り上げている。「導電性プラスチックを作ろう~有機ELへの応用」などのプログラムでは、実験と対話を通じて、先端科学技術への理解を深めるとともに、子供にものづくりの面白さを伝えるなどの取組を実施している。
図324-1 日本科学未来館の入館者数推移

資料:(国研)科学技術振興機構日本科学未来館作成
(2)公民館・図書館・博物館などにおける取組
地域の人々にとって最も身近な学習や交流の場である公民館や博物館などの社会教育施設では、ものづくりに関する取組を一層充実することが期待されている。
公民館では、地域の自然素材などを活用した親子参加型の工作教室や、高齢者と子供が一緒にものづくりを行うなどの講座が開催されている。このような機会を通じて子供たちがものを作る楽しさの過程を学ぶことにより、ものづくりへの意欲を高めるとともに、地域の子供や住民同士の交流を深めることができ、地域の活性化にも資する取組となっている。
図書館では、技術や企業情報、伝統工芸、地域産業に関する資料など、ものづくりに関する情報を含む様々な資料の収集や保存、貸出、利用者の求めに応じた資料提供や紹介、情報の提示等を行うレファレンスサービス等の充実を図っており、「地域の知の拠点」として住民にとって利用しやすく、身近な施設となるための環境整備やサービスの充実に努めている。
博物館では、実物、模型、図表、映像などの資料の収集・保管・展示を行っており、日本の伝統的なものづくりを後世に伝える役割も担っている。最近はものづくりを支える人材の育成に資するため、子供たちに対して、博物館資料に関係した工作教室などの「ものづくり教室」を開催し、その楽しさを体験し、身近に感じることができるような取組も積極的に行われている。
また、(独)国立科学博物館では、自然史や科学技術史に関する調査研究と標本資料の収集・保管を行い、人々のものづくりへの関心を高める展示・学習支援活動を実施している。展示においては、ものづくりに関連して、常設展では「科学と技術の歩み」をテーマに江戸時代以降における我が国の科学技術の発展について実物資料を中心に展示している。
あわせて、人々の興味や関心の高いテーマの特別展や企画展を開催しており、特別展「古代アンデス文明展」では、先史時代から16世紀までの約1万5000年間に栄えた、アンデス文明を代表する九つの文化を取り上げ、古代遺物や黄金の仮面、ミイラなどを展示するとともに講演会を開催し、いくつもの文化が連なり、影響を与え合う中で育まれた高度な技術や自然環境に適応した独自の生活様式などを学ぶ機会を提供した。
また、企画展においては、「ものづくり展」を開催し、2017年度第7回「ものづくり日本大賞」の受賞者とその優れた技術を紹介する展示を行った。このほか、青少年から成人まで幅広い世代に自然や科学の面白さを伝える学習支援活動を実施している。
このほか、各種団体等においても、子供たちのものづくりへの意識啓発を進める取組が行われており、我が国のものづくり人材の育成に大きな役割を果たしている。

写真:夏休みサイエンススクエア「化石のレプリカづくり」
(国立科学博物館)
図324-2(独)国立科学博物館の入館者数推移

資料:(独)国立科学博物館作成
表324-3 特別展・企画展について
