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- 第2部第2章第3節 ものづくりに関する能力の適正な評価、労働条件の確保・改善

第2部 平成27年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策
第2章 ものづくり労働者の確保等に関する事項第1節 失業の予防その他雇用の安定第3節 ものづくりに関する能力の適正な評価、労働条件の確保・改善
1.職業能力評価制度の整備
(1)技能検定制度の運用(24億53百万円)
技能検定制度は、労働者の有する技能の程度を検定し、これを公証する国家検定制度であり、労働者の地位の向上を図ることを目的とした国家検定であり、機械加工、電子機器組立て等のものづくり産業に関係の深い職種を中心に128職種について実施している。
また、128職種のうち111職種は都道府県知事が、17職種は民間の指定試験機関が実施することとなっている(2018年4月1日現在)。
(2)職業能力評価基準の整備(1億38百万円)
職業能力が適正に評価されるための社会基盤として、能力評価のいわば、“ものさし”、“共通言語”となるよう、職業能力評価基準の整備に取り組んでおり、これまでに、業種横断的な事務系9職種のほか、業種別のものとして電気機械器具製造業、自動車製造業等55業種の職業能力評価基準を策定した。
(3)社内検定認定制度の推進(1億32百万円)
社内検定認定制度は、職業能力の開発及び向上と労働者の経済的社会的地位の向上に資するため、事業主等が、その事業に関連する職種について雇用する労働者の有する職業能力の程度を検定する制度であって、技能振興上奨励すべき一定の基準を満たすものを厚生労働大臣が認定する制度であり、2018年4月1日現在、49事業主等130職種が認定されている。
2.「ものづくり立国」の推進
(1)各種技能競技大会等の実施
①各種技能競技大会等の推進(9億82百万円)
技能の素晴らしさ、重要性について若者を始めとした国民各層に深く浸透させるため、各種技能競技大会を開催した。そのうち最も規模の大きい技能五輪全国大会は、都道府県ごとに行われる地方大会で選抜された青年技能者(原則23歳以下)が参加して毎年開催しているが、2017年度(第55回技能五輪全国大会)は2017年11月24日から11月27日にかけて行われ、42職種に1,137名の青年技能者が参加した。
②卓越した技能者(現代の名工)の表彰制度(25百万円)
広く社会一般に技能尊重の気運を浸透させ、もって技能者の地位及び技能の向上を図るとともに、青少年が、その適性に応じ、誇りと技能を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高めることを目的として、卓越した技能者(現代の名工)の表彰を実施しており、2017年度は2017年11月6日に表彰式を開催し、149名を表彰した。
なお、1967年度に第1回の表彰が行われて以来、2017年度の第51回の表彰までで、被表彰者は6,196名となった。
(2)若年技能者人材育成支援等事業(33億76百万円)<厚労省、文科省>
若年技能者の技能向上、若者が進んで技能者を目指す環境の整備等を目的として、2013年度に若年技能者人材育成支援等事業を創設した。
2017年度末までに、ものづくりに関して優れた技能や経験を有する9,624人を「ものづくりマイスター」として認定・登録した。「ものづくりマイスター」を企業、業界団体、教育訓練機関に派遣し、若年技能者等に対する実技指導を行った。
また、2017年度末までに、ITリテラシーの強化や、将来のIT人材育成に向けて、小学生から高校生にかけて段階的に情報技術に関する興味を喚起するとともに、情報技術を使いこなす職業能力を付与するため、情報技術関連の優れた技能をもつ技能者206人を「ITマスター」として認定・登録し、学校等に派遣した。
さらに、地域関係者の創意工夫による取組を一層推進することとし、地域における技能尊重気運の醸成を図った。
3.労働条件の確保・改善
(1)労働条件の確保対策
労働基準監督署等において、製造業も含め、長時間労働の抑制や賃金不払事案の解消等の一般労働条件の確保・改善及び安全衛生の確保に的確に対応するとともに、解雇等の事案にも適切に対応した。
(2)製造業の労働災害防止対策
機械災害は労働災害の約4分の1を占めており、死亡災害や後遺障害が残る重篤な災害も多いため、労働安全衛生規則による規制のほか、危険性の高い機械の種類ごとに構造規格や労働災害防止対策ガイドラインを作成するなどの個別対策を行っている。一方で、産業現場では新たな機械設備が導入されていることから、機械一般について、メーカー、ユーザーの両者が製造段階及び使用段階で機械のリスクの低減を図ることを目的とした「機械の包括的な安全基準に関する指針」(平成13年6月公表、同19年7月改正)の普及・定着を図っている。
また、電気・電子技術やコンピュータ技術の進歩に伴い、これら技術を活用することにより、機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)に対して高度かつ信頼性の高い制御が可能となってきている。従来の機械式の安全装置等に加え、新たに制御の機能を付加することによって、機械等の安全を確保する方策(機能安全)を労働安全衛生法令に位置づけることとし、機能安全において要求される事項を定めた「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」(平成28年厚生労働省告示第353号)を制定した。併せて、機能安全に係る信頼性(安全度水準)が一定以上である自動制御装置を備えたボイラーについて、制御装置の点検の頻度を緩和するボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年9月30日労働省令第33号)の改正を行った(平成28年9月公布、同29年4月施行)。
さらに、いわゆる装置産業における高経年設備の劣化状況を調査した結果をまとめたリーフレットを作成して、計画的な設備の更新・補修を指導している。
本年、小型の移動式クレーンの転倒事故災害の防止を強化するため、つり上げ荷重3t未満の移動式クレーン等に定格荷重制限装置を備えることを義務づけること等を内容とする移動式クレーン構造規格(平成7年労働省告示第135号)の改正を行った(平成30年2月告示、同3月施行)。
(3)製造業安全対策官民協議会
2017年3月、官民連携と経営層の参画の下、業種横断的に、現下の安全に関わる事業環境の変化の分析・共有と既存の安全対策の改善を検討するため、厚生労働省、経済産業省、中央労働災害防止協会及び製造業主要10団体で構成する「製造業安全対策官民協議会」が発足したところであり、製造業における安全対策の更なる強化にむけ、リスクアセスメントの有効性等に関する分析など、事業者の自主的な改善や新たな取組みを促進している。
(4)あんぜんプロジェクト等の推進
事業場等における安全活動の活性化のため、安全な職場づくりに熱心に取り組んでいる事業場等が国民や取引先に注目されるよう「あんぜんプロジェクト」を実施した。また、同プロジェクトの一環として、「『見える』安全活動コンクール」及び「職場見学会」を実施した。