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第2部 平成29年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策
第3章 ものづくり基盤産業の育成に関する事項
第1節 産業集積の推進等

1.新たな集積の促進又は既存集積の機能強化及び新規産業等に係る支援機能の充実

(1)伝統的工芸品産業の振興対策事業(10.6億円+13.5億円の内数)

伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、(一財)伝統的工芸品産業振興協会及び伝統的工芸品の各産地の特定製造協同組合等に対し、後継者育成事業や需要開拓事業等に対する補助を行った。また、伝統工芸や繊維等の産地への観光客誘致・海外販路開拓を後押しするため、各産地に外部人材等を招聘する取組に対する補助を行った。

(2)地域中核企業創出・支援事業(25億円)

地域中核企業候補が新分野・新事業等に挑戦する取組を支援し、その成長を促すため、支援人材を活用して、全国大の外部リソース(大学、協力企業、金融機関等)とのネットワーク構築を支援した。また、地域中核企業の更なる成長のため、支援人材を活用して、事業化戦略の立案/販路開拓等をハンズオン支援した。さらに、国際市場に通用する事業化等に精通した専門家であるグローバル・コーディネーターを組織化した「グローバル・ネットワーク協議会」を活用し、グローバル市場も視野に入れた事業化戦略の立案や販路開拓等を支援した。

(3)地域イノベーション戦略支援プログラム(12億46百万円)<文科省、経産省>

文部科学省、経済産業省、農林水産省及び総務省では、地域イノベーションの創出に向けた地域主導の優れた構想を効果的に支援するため、大学等の研究段階から事業化に至るまで連続的な展開ができるよう、4省が連携して支援するシステムを構築し、「地域イノベーション戦略推進地域」を共同で選定することとしている。2017年度現在、45地域を選定し、そのうち文部科学省では、当該地域のうち、地域イノベーション戦略の実現に大きく貢献すると認められる14地域に対して、「地域イノベーション戦略支援プログラム」として、知的財産の取得、人材育成等のソフト・ヒューマンについて重点的な支援を行っている。

(4)BOP/ボリュームゾーンビジネスの促進

BOP/ボリュームゾーン・ビジネスを推進するため、ジェトロでは、現地コーディネーターなどを活用し、個別企業の事業フェーズに応じた一貫した支援を実施した。また初のアフリカ地域の横断的な取り組みとしては、医療機器を切り口にケニア、コートジボワール、南アフリカ、エジプト、モロッコよりバイヤー等を招聘し国内で商談会を開催した。この他、ミャンマーへは農業ミッションの派遣や国内での商談会、インドではeコマース上の試験販売等を実施した。

(5)インフラシステム輸出

官民一体でのインフラシステム輸出推進のため、2013 年3月に設置された経協インフラ戦略会議を計6回(第 30 回~第 35 回)開催。地域別・分野別・横断的テーマについて議論を行い、5月には「インフラシステム輸出戦略」を改訂した。また、同戦略及び「未来投資戦略2017」(2017年6月9日閣議決定)に基づき、10月には電力分野、鉄道分野、情報通信分野の海外展開戦略を策定。国内・海外の市場動向や我が国の強み、競合国の動向等を踏まえ、我が国として注力するべき重点領域を整理し、今後の海外展開の取組の方向性を示した。

(6)レアアース・レアメタル対策<経産省、文科省>

高付加価値産業に必要不可欠なレアアース・レアメタル対策については、特定供給国の政策に左右されない産業構造の確立を目指して、代替材料・使用量削減技術開発やリサイクル等を推進した。2012年度から実施している「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料開発」を新たに「輸送機器の抜本的な軽量化に資する新構造材料等の技術開発事業」と名称を変更し、モーターの高効率化・小型化を実現するため、従来以上に強力かつ希少金属の使用を大幅に削減した磁石材料の開発を行った。また、「高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発事業」により、我が国の都市鉱山の有効利用を促進し、資源の安定供給および省資源・省エネルギー化を実現するため、廃製品・廃部品の自動選別技術及び高効率製錬技術の開発を行った。

さらに、消費国間の連携強化として、レアメタル主要消費国である日米欧の政策当局者及び技術専門家が、レアメタル供給を取り巻く世界的な問題について共通理解を深め、レアメタル代替技術やリサイクル技術などといった将来の安定供給を目指した情報交換を行うため、日米欧三極クリティカルマテリアル会合を毎年開催している。2017年度は10月に米国ピッツバーグにおいて第7回目の会合を開催した。

(7)地域未来投資の活性化のための基盤強化事業(2016年度補正:10億円)

地域企業によるIoT関連技術の活用を促す環境を整え、地域イノベーション創出のための新たな基盤を整備すること等を目的として、公設試験研究機関等に対するIoT設備等の導入を支援した。

(8)地域における中小企業の生産性向上のための共同基盤事業(10億円)

地域の中小企業等の生産性向上を実現するため、公設試験研究機関等に対し、地域の複数の中小企業等による共同利用が込まれる高精度3Dプリンター等の先端的な設備の導入を支援した。

(9)医療機器産業の振興

日本の優れた「ものづくり技術」を活用した医療機関等との「医工連携」による開発・事業化事業及び医療機器開発支援ネットワークを通じた医療機器開発・実用化並びに日本が強みを持つロボット技術や診断技術等を活用した世界最先端の医療機器の開発を推進した。また、開発の指針となる開発ガイドライン(手引き)の策定を実施した。

2.環境性能の高い製品の普及促進等

(1)電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の導入促進(292億円)

運輸分野における二酸化炭素の排出抑制や石油依存度の低減を図るため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車、燃料電池自動車等を導入する者に対して補助を行った。2016年度は、例えば電気自動車については航続距離の向上を促進するなど、車種ごとの出口戦略を踏まえたスキームによる導入支援策を講じた。

また、電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車の普及に不可欠な充電インフラを整備するため、充電設備を設置する者に対して補助を行った。2016年度は、特に「道の駅」や「高速道路のサービスエリアやパーキングエリア」、「マンション」等への整備を進めた。

また、2014年12月に市場投入された燃料電池自動車の普及に向けて、2017年3月末までに約100か所の水素ステーションを整備し、燃料電池自動車や水素ステーションの低コスト化に向けた技術開発や規制の見直しなどを進めた。

(2)自動車税の減免措置

環境性能に優れた自動車に対する軽課措置(グリーン化特例)について、2016年度税制改正において、燃費性能の向上に応じて対象を重点化しつつも、2015年度燃費基準の一部に対する軽減を維持した上で、1年間の延長を行った。(2016年4月から2017年3月末まで)。

(3)住宅省エネリノベーション促進事業(672.6億円の内数)

既存住宅の省エネ化を図るリノベーションを促進するため、一定の省エネルギー性能を満たす高性能な断熱材や窓等を活用した断熱改修に対する支援を行った。

(4)J-クレジット制度(3億80百万円)

J-クレジット制度は、中小企業等の省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の導入における温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度である。本事業にて、クレジット創出・活用における中小企業等への手続支援等を実施することで、企業の温暖化対策取組として省エネルギー設備・再生可能エネルギー設備の導入等を促進した。

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