平成29年Ⅰ期の出荷海外比率は29.7%で昨年末より上昇、海外市場比率は40.8%で、共に過去最高に。逆輸入比率は前期より若干低下し、24.8%に。海外市場の重要性が高まった四半期だった。 2017年7月14日
日本の製造業のグローバル化の進展具合を見るべく、グローバル出荷指数を用いて、出荷海外比率や海外外市場比率といった、「グローバル化比率」を算出することができます。
出荷海外比率:グローバル出荷に占める海外拠点からの出荷の比率
海外市場比率:グローバル出荷のうち、海外市場向けに出荷される比率
逆輸入比率 :日本の輸入のうち、日系海外現地法人が日本向けに出荷したものの比率

上昇に転じ過去最高を更新した出荷海外比率
2017年Ⅰ期の出荷海外比率は29.7%でした。前年同期の値と比較すると、2016年後半の2期は、出荷海外比率が前年同期比マイナスでしたが、2017年Ⅰ期は、3期ぶりに前年同期比でプラスになりました。
出荷海外比率の前年水準からの変化はここ2年ほど緩やかなものとなっていましたが、2017年Ⅰ期は、海外出荷の伸び(海外出荷要因)によって、大きな前年同期比上昇を見せました。国内出荷指数は前年同期比4.1%と伸びを見せ、出荷海外比率の引き下げ要因になりましたが、それを上回る海外出荷指数の前年同期比6.7%上昇があり、出荷海外比率は昨年よりも高く、過去最高値を更新したということになります。

季節調整を施した出荷海外比率の経時的変化を確認すると、2015年Ⅳ期を比較的高い値として、2016年中はほぼ横ばい又はごく緩やかな低下という推移でしたが、今年のⅠ期は明確な前期比上昇となりました。
業種的にも、主要4業種全てで出荷海外比率は上昇していました。最も出荷海外比率が高いのは輸送機械工業で、48.3%となっており、グローバル出荷全体の5割近くが海外生産ということになります。他方、はん用・生産用・業務用機械工業の出荷海外比率は17.7%と、輸送機械工業の3分の1程度となっており、業種間で大きな差を見せています。
注:下のグラフに記載されている数値は季節調整であり、あくまで参考値。出荷海外比率の数値については、原指数で計算したものを採用。以下、同じ。

過去最高となった海外市場比率
2017年Ⅰ期の海外市場比率は40.8%でした。
季節調整を施した海外市場比率をみると、2期連続の前期比上昇となっており、2017年Ⅰ期に過去最高となりました。
国内拠点からの出荷の内訳でも、国内向け出荷の前期比0.7%上昇に対し、輸出向け出荷は同1.3%上昇、海外拠点からの出荷の内訳でも、自国向け(現地向け)出荷が前期比3.5%上昇、第3国向け出荷が同7.0%上昇となっており、海外市場向けの出荷が、国内外で上昇していました。2016年Ⅳ期は、海外生産の日本向け出荷が特異的に上昇しましたが、そのような動きは、継続されませんでした。

業種的にも、主要4業種全てで海外市場比率は上昇していました。最も出荷海外比率が高いのは輸送機械工業で、58.5%となっており、グローバル出荷全体の6割近くが海外市場向けということになります。他方、はん用・生産用・業務用機械工業の出荷海外比率は34.8%と、主要4業種の中でも最も低くなっています。ただ、2017年Ⅰ期の同業種の海外市場比率は、大きく上昇しており、比較的高い水準にあった2013年とほぼ同水準となっています。

逆輸入比率は、若干の低下だが、水準を維持
2017年Ⅰ期の逆輸入比率は、24.8%でした。
季節調整値で時系列変化をみると、前期と比べて若干の低下となっていますが、前期である2016年Ⅳ期の逆輸入比率のその前期からの上昇幅に比べて、今回の低下幅はとても小さいことから、逆輸入比率のレベル自体は、ほぼ維持されていると言ってよいと思います。
逆輸入比率は、2015年Ⅱ期から2016年Ⅰ期まで1年間低落傾向でしたが、その後上昇に転じています。そのため、逆輸入比率のレベルも、低落する前の2015年Ⅰ期に近い水準となっており、先の低落分を「取り戻し」ています。

業種的には、突出してこの比率が高いのは輸送機械工業で、2017年Ⅰ期の値は63.6%でした(輸入品の3分の2近くは、日系企業の海外生産品が占めている)。他方、突出して低いのは化学工業で、8.9%となっていました。ただ、主要4業種のうち、化学を除く3業種の逆輸入比率は前期比低下ですが、化学工業のみ若干上昇という違いを見せています。

2016年Ⅳ期は逆輸入比率が大きく上昇し、日系製造業にとって、日本市場の重みが増していたのですが、2017年Ⅰ期のグローバル化比率を概観すると、供給側の海外生産も伸びましたが、需要側の海外市場の「重み」が増していたという結果になるかと思います。
- ミニ経済分析「グローバル出荷指数について(平成29年Ⅰ期)」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170714minikeizai.html
- グローバル出荷指数のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai-result-gb.html
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