日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その1);アニメとゲームの国内市場規模では、「二次市場」の重要性が大きく異なる。ゲームの1.8兆円に対して、アニメ制作の直接市場は1,700億円。しかし、広義のアニメ市場規模は1.24兆円に拡大。 2017年7月27日
様々な統計データを用いて、日本の2大コンテンツであるゲーム制作企業(以下、ゲーム会社)とアニメの制作企業(以下、アニメ会社)の実像に迫っていく連載記事をアップしています。まずは、ゲームとアニメの市場企業を比較し、その違いを見ていきます。
ゲームの国内市場規模は約1.8兆円

売上高や販売額で計測したゲームの国内市場規模(ゲーム制作企業の売上)は、2015年で約1.8兆円です。推移を見ると拡大傾向にあり、リーマンショックで一時落ち込んだものの、2012年にはリーマンショック以前の水準を回復し、以降も拡大が続いています(但し、2015年については若干低下しています)。
アニメの狭義国内市場規模は1,700億円。しかし広義では1.24兆円に拡大

これに対して、アニメ会社の売上高で計測した狭義の国内市場規模は1,700億円と、かなり小さな規模です。
しかし、近時のアニメ製作では、様々な企業が参画する「製作員会方式」が主流となっており、アニメ作品の収益は必ずしもアニメ会社に帰属する訳ではありません。そこで、直接売上とは別に、エンドユーザーの多様な支払いベースでアニメの国内市場規模を計測(広義の市場規模)してみると、実は1.24兆円に達し、ゲームの市場規模と遜色がなくなります。
リーマンショック以前の時期の動きに若干違いがありますが、2009年以降は、狭義、広義のアニメの市場規模は安定的に上昇しています。
ゲームとアニメの売上の推移は連動している?

上のグラフは、情報通信業基本調査(注)のデータから算出した、ゲーム会社とアニメ会社の1社当たりの平均売上高とその推移です。左の棒グラフから平均売上高を見ると、ゲーム会社はアニメ会社より2倍以上大きいですが、右の折れ線グラフから前年比の推移を見ると、両者の動きは非常に似ています。
そもそも、ゲームの市場規模と、狭義のアニメの市場規模の推移も似ていることに気付かれたでしょうか?コンテンツ市場における2大コンテンツであるゲームとアニメは、市場全体で見ても、そして個々の製作企業の売上で見ても、連動しているように見えます。直接的な因果関係は不明かもしれませんが、やはり日本の2大コンテンツとして、その需要は関連しているようです。
次回は、ゲーム会社とアニメ会社の企業規模、そして1社あたり制作(開発)本数といった切り口で、実像に迫ってみようと思います(日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その2);企業規模の分布が、ゲームでは2極化、アニメでは中間層が厚い。制作する作品本数をみると、ゲームでは数が絞り込まれ大作志向、アニメは制作本数が多くなっているという違いアリ。)。
(注)ゲーム会社とアニメ会社については、当該事業に属する事業所を有する企業のうち、資本金額又は出資金額3,000 万円以上の企業を調査対象としています。
- ミニ経済分析「日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170727minikeizai.html
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