日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その2);企業規模の分布が、ゲームでは2極化、アニメでは中間層が厚い。制作する作品本数をみると、ゲームでは数が絞り込まれ大作志向、アニメは制作本数が多くなっているという違いアリ。 2017年7月27日
情報通信業基本調査(注)等のデータから、日本の2大コンテンツであるゲーム制作企業(以下、ゲーム会社)とアニメの制作企業(以下、アニメ会社)の実像に迫る記事を連載しています。
まず、市場規模を比較しみましたが(日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その1);アニメとゲームの国内市場規模では、「二次市場」の重要性が大きく異なる。ゲームの1.8兆円に対して、アニメ制作の直接市場は1,700億円。しかし、広義のアニメ市場規模は1.24兆円に拡大。)、ここでは、企業規模と1社あたりの制作(開発)本数という切り口で、ゲームとアニメの比較をしていきます。
規模の分布;ゲームは2極化、アニメは中間層が厚い

ゲーム会社、アニメ会社について、企業規模のカテゴリー(階層)別企業数を、全体に対する割合で表したのが上のグラフです。グラフは、常時従業者数、資本金、売上高の3つに分かれています。
ゲーム会社、アニメ会社とも、常時従業員数については300人未満、資本金規模については5億円未満、売上高については50億円未満に、約8割の企業が当てはまっています。
しかし、ゲームとアニメでは、
- 3つの基準のいずれにおいても、ゲーム業界には、アニメ業界には存在しない上位階層の企業が存在すること
- ゲーム業界では最低階層の企業の割合がアニメ業界のそれよりも多い
という違いがあります。
つまり、ゲーム会社の分布は、アニメ会社に比べて、規模が大きい方でも小さい方でも裾野が広くなっているということになり、ゲーム業界は企業規模が「2極化」しているのに対して、アニメ業界は「中間層が厚い」という特徴にまとめることができます。
制作本数と単価;ゲームは寡作で単価が高く、アニメは多作で単価が安い

次に、1社あたりの平均自社開発コンテンツ数を比較してみます。
2015年度のゲーム会社の平均開発コンテンツ数が10作品に届かない状態であるのに対して、アニメ会社は平均20作品を制作と、アニメ会社がほぼ倍の作品数を制作しています。しかし、平均売上高(折れ線グラフ)を見ると、ゲーム会社が100億円近いのに対して、アニメ会社は約35億円と半分以下です。アニメの制作単価はゲームと比べて安いと言えます。
企業規模の違いも含めてまとめてみると、平均的にみて、ゲーム会社はアニメ会社よりも企業規模が大きく、開発本数が絞られていて、作品の単価は高い(大作志向)と言え、逆にアニメ会社は中堅規模の企業が多く、その中で、作品数を増加させて、1社あたりの売上を伸ばしているという構造になります。
次回は、ゲーム会社とアニメ会社の従業員構成の違いという切り口で、実像に迫ってみようと思います(日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(その3);従業員規模は、ゲーム会社が倍程度の大きさだが、正社員比率が高いことは共通している。この正社員比率は、どうも作品の単価が上がると増加している模様。)。
(注)ゲーム会社とアニメ会社については、当該事業に属する事業所を有する企業のうち、資本金額又は出資金額3,000 万円以上の企業を調査対象としています。
- ミニ経済分析「日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20170727minikeizai.html
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