今年8月は、11業種が生産上昇で、7月からの反転業種が多い。はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業の上昇寄与が大きい。半導体関連も薄く広く上昇。 2017年9月29日
15業種のうち、11業種が生産上昇
平成29年8月の鉱工業生産は、前月比2.1%と2か月ぶりの上昇だった訳ですが、15業種のうち11業種が前月比上昇となりました。この上昇11業種のうち7業種と大部分が前月7月からの反転上昇業種でした。全体15業種のうち、反転上昇業種が7業種と半分を占めていることが、8月の比較的大きめの前月比上昇幅の背景の一つかと思います。他方、前月比低下4業種では、化学工業(医薬品除く)が2か月連続の前月比低下のほか、他の3業種は、3か月ぶり、4か月ぶりの低下です。第2四半期に比較的好調だった業種が、8月の生産を低下させていたことになります。
生産上昇への影響が大きいのは、はん用・生産用・業務用機械と輸送機械
8月の生産上昇への影響度、寄与が特に大きいのは、はん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業で、それに少し離れて、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業が続くという順位になっています。
はん用・生産用・業務用機械工業と輸送機械工業の上昇寄与の寄与率(変動に占める構成比)は共に2割を超えており、この2業種の上昇寄与が特に大きくなっています。3位の電子部品・デバイス工業は2か月連続の生産前月比上昇ではありますが、8月の生産上昇への寄与としては、輸送機械工業の3分の1程度であり、大分離れています。

はん用・生産用・業務用機械工業では、工場内の運搬機械であるクレーンや半導体製造装置、数値制御ロボットなどの品目の生産上昇の影響が大きくなっています。クレーンの生産は前月比200%の伸びとなっており、7月の生産から3倍増となっていました。これらの工業設備系の品目の生産指数は100を超えており、クレーンと数値制御ロボットにいたっては200を超えています。やはり設備投資向けの品目の生産が8月は好調だったということかと思います。
輸送機械工業については、完成車である乗用車もさることながら、自動車部品の生産が好調で、前月比4.0%上昇でした。乗用車の生産は前月比1.9%上昇でしたが、このうち普通乗用車、軽乗用車の生産は前月比プラスでしたが、小型乗用車が前月比マイナスとなり、多少伸び幅を抑制しました。とは言え、いずれの車種の生産も前年同月比プラスで、軽乗用車2割増、小型乗用車15%弱増(普通乗用車は1.4%増)で、堅調な生産となっています。

8月の鉱工業生産では、寄与3位、4位として、電子部品・デバイス工業と情報通信機械工業が上昇寄与業種として上がってきています。電子部品・デバイス工業は2か月連続上昇となっており、堅調な推移となっています。情報通信機械工業では、外部記憶装置、デスクトップ型パソコンといった企業の情報化投資向けの品目の生産が上向いています。さらに、電気機械工業における半導体・IC測定器や窯業・土石製品工業における半導体集積回路のパッケージに利用されるファインセラミックスの機能材なども生産上昇寄与品目となってきています。
鉱工業全体への寄与が特に大きいということではありませんが、エレクトロニクス関連の品目の中に、生産上昇寄与品目が散見されるという結果になっています。

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- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201708s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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