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横ばいの昨年から、大きく伸び幅を拡大させた平成29年上半期の訪日外国人消費指数。長期的に伸びているのは、アジアからのお客様の消費行動。 2017年10月24日

訪日外国人消費指数(TCI)とは、訪日外国人の消費金額を、消費者物価指数を用いて実質指数化したものです。費目ごとに実質化することにより、日本国内の価格変化の影響を除外した動きを見ることができるようになります。

今回、平成29年第2四半期の訪日外国人消費指数(TCI)の結果がまとまりましたので、そのポイントをご紹介していきます。

第1四半期は前期比3.4%、第2四半期は前期比4.1%と3期連続の上昇

平成29年第2四半期の訪日外国人旅行消費額は、1兆776億円で、前年同期比13.0%上昇と過去最高値を更新しました。1人当たりの旅行支出額は同マイナス6.7%と低下しましたが、訪日外国人数が同21.1%と大きく上昇したことが影響しています。

このデータを実質化するなどして作成した29年第1四半期の訪日外国人消費指数は、平成22年=100とした指数値で319.6、前期比3.4%上昇。そして、第2四半期は指数値332.7、同4.1%上昇と3期連続の前期比上昇となりました。訪日外国人消費指数は、27年後半から28年にかけて横ばいの状態となっていましたが、29年に入ってからは安定的に上昇しており、28年の平均指数値301.7を大きく上回る水準で推移しています。

1-3月期はインバウンド消費が対個人サービスを支えていた

次に、この訪日外国人消費が国内のサービス産業にどれ位のインパクトを持っていたのかをみるために、第3次産業活動指数の広義対個人サービスの前期比の動きに対する訪日外国人消費指数の寄与度の推移をみてみます。

訪日外国人消費指数は、第3次産業活動指数の広義対個人サービスの前期比変動に対し、平成23年第3四半期以降、28年第1四半期まで、プラスの貢献をし続けていました。28年第2四半期に一度マイナスに転じましたが、その後再びプラスとなりました。

特に、29年第1四半期は、対個人サービスが前期比マイナス0.1%と低下だったにもかかわらず、訪日外国人消費指数は0.04%ポイントのプラス寄与となっていました。この期は、日本人による個人サービス消費の不振を、訪日外国人、すなわち、インバウンドによる消費行動が補ってくれていたといえます。

29年第2四半期には、対個人サービスの前期比は0.9%上昇となり、これに対する訪日外国人消費指数の寄与は0.05%ポイントと、邦人消費の好調に隠れて目立ちませんが、引き続きプラス方向に貢献しました。

アジアからのお客様の構成比が6割から7割に上昇

今回、訪日外国人消費について、「アジア」からの訪日客及び「欧米」からの訪日客についての地域別指数も試算してみました。

両地域の訪日外国人旅行消費額の構成比は、基準年の平成22年では、アジア6割、欧米2割と、この時点で既にアジアからのお客様の割合がとても高かったのですが、28年にはアジアの割合は実に7割に達しており、そのインパクトはますます強いものとなっています。

訪日外国人旅行消費額全体をみても、22年には1兆1,490億円だったものが、28年には3兆7,476億円と、その額は6年間で3倍強に膨れあがっており、訪日外国人消費の勢い、特にアジアからの訪日客の増加の影響の大きさを、改めて認識させられる結果となりました。

今年第1四半期はアジアの寄与大、第2四半期はアジアと欧米の寄与がほぼ同じ

アジア指数は、平成26年後半から急拡大を遂げましたが、27年第4四半期に一転して低下となりました。しかし、28年第2四半期を底として、その後再び上昇基調となり、29年第2四半期は指数値391.5、前期比1.9%と4期連続で上昇し、指数値400が目前です。

一方、欧米の旅行消費全体指数は、アジアほど指数水準は高くはないものの、継続的に安定した上昇をみせています。29年第2四半期の指数値は218.2、同9.6%と3期連続の上昇と、アジア以上の伸びをみせました。

訪日外国人消費指数全体の前期比変動に対するアジア指数と欧米指数の寄与をみると、29年第1四半期は、全体の前期比3.4%上昇に対し、アジアは4.05%ポイント、欧米は0.85%ポイントと両地域とも上昇に寄与しましたが、アジアの寄与が欧米の約5倍と、全体の伸びに大きく貢献しました。一方、翌29年第2四半期は、全体の同4.1%上昇に対し、アジアは1.39%ポイント、欧米は1.31%ポイントと、こちらも両地域とも上昇寄与となり、アジアと欧米の寄与はほぼ同程度でした。

昨年、平成28年の訪日外国人消費指数は、じつはその前年、平成27年の動きと異なり、横ばい推移でしたが、29年に入って勢いを取り戻しました。

今回、アジアと欧米からの訪日客で分けて集計した地域別指数を作成しましたが、今年に入っての訪日外国人消費指数の勢いの内訳をみると、第1四半期は構成比の高いアジアからの訪日客の伸びが、そして第2四半期には、それと並んで欧米からの訪日客の伸びが、インバウンド消費を支えていたことが分かりました。

ミニ経済分析「訪日外国人消費指数の動きとアジア・欧米からの訪日客の消費行動比較」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171024minikeizai.html

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