食料品工業は4期ぶり低下。酒類、清涼飲料の低下が響き、今年上期の上昇分相当の急落。低落トレンドに復帰してしまった酒類生産の前期比低下の影響が大。 2017年11月28日
第3次産業活動指数や鉱工業生産指数等のデータから、飲食料品関連のデータを集めて、飲食関連産業の動向を指標化した「フード・ビジネス・インデックス(FBI)」のうち、食料品工業指数の2017年第3四半期の結果を紹介します。
4期ぶりの低下で、今年上期の上昇分相当の急落。

2017年第3四半期の食料品工業指数は95.7、4四半期ぶりに前期比マイナス2.7%と大きく低下に転じました。
2017年第1四半期の急上昇から、反動的な低下を見せることなく同年第2四半期も連続上昇していました。しかし、第3四半期には、それらの上昇分に相当する急落を見せました。消費税率引上げ直後である2014年第2四半期に大きく下がった指数値が95.2ですので、そこまでは行かないものの、かなりの低水準となってしまいました。
2017年の第3四半期までの指数の平均値は97.3となり、2014年からの3年間の平均値は96台のため、過去3年の水準よりはまだなんとか上回っているという状況です。
なお、第3四半期の業態別のFBI計に対する寄与をみると、3業態全てが低下寄与となるなか、FBI計の前期比マイナス0.9%低下に対し、食料品流通業のマイナス0.5%ポイントに次いで食料品工業はマイナス0.4%ポイントの低下寄与となり、両業態の低下がフードビジネス全体の低下に大きく影響しています。
「酒類」急落で消費税率引上げ直後に近い低水準

内訳を見ると、特に「酒類」の急落が目立ちます。2017年第2四半期に前期比3.3%と大きな上昇を見せていましたが、続く第3四半期は2四半期ぶりに低下に転じ、消費税率引上げ後に記録した指数値88.4以来の低水準となりました。
さらに「肉製品」が3四半期ぶり、「清涼飲料」が4四半期ぶりにそれぞれ低下に転じましたが、この2系列については引き続き高い水準を維持しています。
他方、「油脂・調味料」は2四半期ぶりの上昇、「乳製品」も僅かながら4四半期ぶりに上昇となりました。
長期低落傾向の「酒類」が2017年第2四半期に大きく上昇しました。これには、ビール類の廉売規制変更前の「駆け込み生産」の影響があったとみられます。しかし、そもそも駆け込み需要自体があまり顕在化しなかったようで、第3四半期に大きく生産が低下しました。消費税率引上げ直前にもビールの買いだめ等、駆け込み需要があり、消費税率引上げ直後に反動で生産が大きく低下しました。この第3四半期には、その2014年の消費税率引上げ直後に近いレベルに落ち込んでしまったことになり、やはり、「酒類」の生産は低落トレンドに戻ってしまったように見えます。
食料品工業急落の要因は「酒類」の急落と「清涼飲料」の低下。

食料品工業全体は前期比マイナス2.7%低下となりましたが、その前期比低下に対して、「酒類」がマイナス1.4%ポイント、次いで「清涼飲料」がマイナス0.7%ポイント、さらに「肉製品」がマイナス0.2%ポイントの低下寄与となりました。
やはり「酒類」の急上昇によって変動した前期と同様、2017年第3四半期も「酒類」の急落が大きな影響を及ぼしました。昨年度は、「清涼飲料」の動きが食料品工業指数の動きを左右しましたが、今年度は「酒類」の動きが、食料品工業の動きを左右しています。
- ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2017年第3四半期)」のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20171128minikeizai.html
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