10月の建設業活動指数は3か月連続の低下、公共事業や土木工事の不調が続く。ただ、建設業に先行するサービスビジネスには10月に盛り返しもみられ、11月以降の建設業活動の復調への期待感を持たせる兆しも。 2017年12月20日
- 10月の建設業活動は3か月連続の前月比マイナス、指数水準も114台を割り込む
- 10月は、民間発注の土木工事や公共機関発注の建築工事が低下
- 建設業活動に附随する財やサービスを総合化、10月の動きは?
- 10月の建設業活動、年度明け当初の勢いはみられず低調
建設業活動指数は、平成29年第2四半期に120台目前まで迫る今基準内(平成20年~)最高の指数値を記録しました。
ところが、8月、9月と2か月連続で前月比マイナス2%以上の大きな低下、内訳5系列でも民間発注の住宅建築が9月微増、他の4系列はこの2か月は連続低下という結果でした。
このところ広範囲の業務にわたりその動きに弱さがみられる建設業活動ですが、10月の動きはどうだったのでしょうか。
10月の建設業活動は3か月連続の前月比マイナス、指数水準も114台を割り込む
平成29年10月の建設業活動は、前月比マイナス0.3%と3か月連続の低下、指数値は113.9となりました。ここ2か月のマイナス2%台を超える低下幅からすれば、前月比低下幅は小さくはなりましたが、10月の指数値は今年5月のピーク期に比べ7ポイント以上も下落しています。
ただ、29年第1四半期の指数値からみれば、まだ2ポイント以上の上積みがありますので、建設業活動が一気に活発化した第2四半期の反動減要素が残っていた、とも考えられます。

10月は、民間発注の土木工事や公共機関発注の建築工事が低下
10月の建設業活動は、民間発注工事の活動は前月比0.2%と3か月ぶりの上昇、国や地方公共団体等の発注する公共工事の活動は前月比マイナス0.4%と3か月連続の低下でした。内訳5系列では、民間・建築2系列(住宅、非住宅)と公共・土木が上昇、民間・土木と公共・建築が低下でした。
低下した公共事業活動は、公共・建築が前月比マイナス2.4%と3か月連続の低下、指数値も昨年12月以来の低い水準にまで下降しました。公共・土木工事は3か月ぶりの前月比上昇ですが0.1%の微増、8月、9月と2か月間連続した大幅低下を払拭する動きとは到底言えるものではありませんでした。公共事業活動全体の動きは、引き続き鈍いものとなっています。
上昇した民間発注工事活動では、民間・土木が前月比マイナス1.1%と3か月連続の低下でしたが、今年3月の水準からみれば、いまだ「大きな貯金」のある高い位置にあります。民間・建築では、今年6月まで17か月間連続して上昇を続けた民間・非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比0.5%と4か月ぶりに上昇に転じました。
また、民間・住宅建築も前月比0.7%と2か月連続の上昇といずれも上昇、全体の指数値は第3四半期水準を上回るなど、復調の兆しもみられます。

建設業活動に附随する財やサービスを総合化、10月の動きは?
建設業活動は前月比低下となりましたが、では、それを取り巻く財やサービスの全体の動きはどうだったのでしょうか?
下記のグラフは、鉱工業生産やサービス産業活動に含まれる事業系列のうち建設業関連の財やサービスの動きを総合化した指数(=建設関連事業総合指数)の最近の推移です。
10月の建設関連事業総合指数は、前月比1.6%の上昇と、建設業活動の動きとは逆にプラスとなっていることが解りました。この指数に建設業活動を加えた「建設工事・関連事業総合指数」も、前月比0.4%の上昇となっています。

建設業関連の財やサービスの動きを示す建設関連事業総合指数を、その事業の供給時期と実際の工事の時期によって、先行事業、並行事業、後発事業に3分割してみます。

建設工事施行期間と同時期に供給される建設資材調達などの並行事業は、前月比マイナス1.0%の低下と、建設業活動と動きは一致しています。一方で、建設工事前の企画、調査などの先行事業は前月比6.9%の上昇、住宅の登記や販売などの後発事業は前月比0.4%の上昇と共に上昇となっています。この10月の建設業活動自体は弱い動きでしたが、関連する先行事業は大幅に上昇するなど、今後の動きにはある程度の期待が持てそうです。
10月の建設業活動、年度明け当初の勢いはみられず低調
平成29年10月の建設業活動は、前月比では8月、9月の2%台の連続低下からみれば減少幅は小さくなったとはいえ、3か月連続の前月比低下となりました。指数水準は、年度末の今年3月との比較ではまだ高く、「貯金」はありますが、それでも指数値は114台を割り込みました。
内訳系列では、民間発注の建築工事には今後に期待感を持たせるような動きもみられます。このところ弱さがみられていた公共工事は、今月も復調には至りませんでした。ただ、過去の季節変動パターンからは、11月から公共発注の建設活動が活発化することも知られています。
今年第2四半期、年度明け当初に大きく上昇して水準が高くなっていることからの反動的動きが残存することと、先行きを期待させる要素とのせめぎ合いで、今後の建設業活動がどのように動くのか、引き続き注意が必要かと思います。
<参考記事>
「公共・建築・土木活動指数の季節変動パターンから、11月が公共建築月間であることが納得できます。」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20161128hitokoto.html
- 全産業活動指数 結果概要
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201710j.html
- 就活でもない、終活でもない「全活」(全産業活動指数を紹介するムービー)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170602zenkatu_umekomi.html
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