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11月の全産業活動指数は、2か月連続の上昇、指数値はリーマンショック前の水準に。3産業すべてが上昇で、モノ取引も復調。トレンド判断は「持ち直しの動き」へ。 2018年1月25日

11月は前月比大幅上昇で強い動き

平成29年11月の全産業活動指数は、前月比1.0%と2か月連続の上昇、伸び幅は大きく、今年度明け当初の勢いを感じさせる強い動きでした。指数値は直近ピークの今年4月を上回る105.9と、20年6月、7月の水準、つまり若干低下して来てはいましたが、リーマンショックが生じる前の水準にまで復帰しました。

3産業すべてが上昇、サービスが2か月連続の主役

11月の結果を産業別にみると、サービス産業活動、鉱工業生産、建設業活動のすべてが前月比上昇と、今年4月以来の3活動揃っての上昇となりました。いずれの活動においても、多くの内訳業種が幅広く上向きの動きをみせていました。

11月の鉱工業生産は、前月比0.5%で、今年初めてとなる2か月連続の上昇となりました。はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業など16業種中10業種が前月比上昇、6業種が前月比低下でした。

サービス産業活動は、11月は前月比1.1%と2か月連続の上昇、伸び幅が大きく強い動きをみせました。全産業活動の前月比1.0%に対し、0.84%ポイントと大きく寄与し、10月に続き全体の上昇の主役となっています。卸売業、生活娯楽関連サービスなど11業種中9業種が上昇、2業種が低下しました。

建設業活動は、11月は前月比0.6%と4か月ぶりの上昇でした。住宅建築は僅かながら低下、公共機関発注の土木工事が横ばいでしたが、民間発注の土木工事、非住宅建築、公共建築分野は上昇しました。

11月はモノ取引が復調

11月は鉱工業生産が前月比上昇し、サービス産業活動でも卸売業がサービス産業全体の上昇に最も大きく寄与するなど、「モノ(有形材)」の動きは順調でした。では、全産業活動のうち、この「モノ(有形材)取引」について、最近の動きをみてみましょう。

サービス産業活動の内訳要素である卸売業、小売業、不動産業の住宅販売と、鉱工業生産の季節調整済指数を再集計し、「モノ取引」指数を計算してみました。

11月の「モノ取引」指数は、前月比1.3%と3か月ぶりの上昇と、全産業活動の動きを上回る伸び幅となりました。指数値も101.0と消費税率引上げ月(平成26年4月)以降で最も高い水準となりました。今年2月からの10か月間で4ポイント以上と上昇とピッチを上げて復調しています。

「モノ取引」指数を企業間取引(BtoB)と消費者販売(BtoC)に2分割してみると、この11月は「モノの企業間取引」は指数値100.8で前月比1.2%、「モノの消費者販売」は指数値101.9で前月比1.6%と、ともに大きく上昇しました。11月の指数値水準では、「モノの企業間取引」の方が低いのですが、直近ピークの4月を上回っており「モノの消費者販売」よりも勢いを感じさせる動きです。

全産業活動の最近の動きに対する、「モノ取引」の寄与をみますと、この11月は全産業活動の前月比1.0%上昇のうち、「モノ取引」の寄与は0.5%ポイントで、「サービス取引(モノを除く)」の0.4%ポイントを上回っています。やはり11月の大幅上昇の立役者は「モノ取引」でした。

「モノ取引」の内訳寄与では、「モノの企業間取引」の寄与が0.37%ポイント、「モノの消費者販売」の寄与が0.12%ポイントでした。11月の「モノ取引」の回復は、企業間取引の上昇によるものであったことになります。

今年4月の大幅上昇時でも同様に「モノ取引」が最も大きく寄与していましたので、更なる全産業活動の上昇には「モノ取引」の一層の復調がキーとなるのかも知れません。

ちなみに、11月のモノ取引の季節調整済前月差は1.3ポイントで、これを産業連関表を用いて付加価値額換算してみると、11月は、「モノ取引」によって、10月よりも付加価値額(季節調整値)が約1826億円増加したと推定できます。

注)換算に用いた産業連関表は、現行全産業活動指数の基準年である平成22年の年間値となる平成22年産業連関表延長表(平成17年基準)による。換算方法はこちら。

11月の全産業活動は、高い水準での安定的推移から持ち直しへの動きへ

11月の各指数の基調判断は、鉱工業生産は「持ち直し」、サービス産業活動は「持ち直しの動き」と、両活動とも上方に引き上げています。他方、建設業活動は、前月比上昇とはいえ、10月までがの3か月連続低下だったことを踏まえれば上昇幅は小さめで、指数値も直近ピーク期の第2四半期の水準から5ポイント以上も下降しており、年度明け当初の「上昇の勢い」はみられません。

全産業活動全体では、2か月連続の前月比上昇、11月自体の上向きの動きも強いく、指数値も106台目前の高水準となりました。また、強弱はありますが、今年4月以来となる3活動揃っての前月比上昇で、各活動の内訳事業も幅広く上向きの動きをみせました。

よって、今年11月の全産業活動の基調判断は、10月までの高位安定推移から、「持ち直しの動き」がみられるとの評価に変更できるものと思います。

 

 

全産業活動指数 結果概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201711j.html
就活でもない、終活でもない「全活」(全産業活動指数を紹介するムービー)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170602zenkatu_umekomi.html

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