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平成29年10-12月期の専門量販店は、勢いのある家電大型専門店、ドラッグストアに対し、ホームセンターの弱さが目立つ。 2018年3月9日

経済産業省の商業動態統計では、専門量販店として、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンターの商品カテゴリー別の販売額も調査しています。この調査結果を用いて、買い物先として、すっかり定着している専門量販店の平成29年10-12月期の販売動向を見ていきます。

平成27年、28年からは一変し、平成29年の家電大型専門店には勢い

平成29年10-12月期の家電大型専門店販売額は1兆1,288億円で、前年比3.7%の増加となりました。平成29年第3四半期(7-9月期)の販売額が前年同期比5.8%上昇であったことと比べると、プラス幅は縮小しましたがここ2年(平成27・28年<通年ベース>)は前年比マイナスが続いていたことから見ると、平成29年の家電大型専門店には勢いがあると言えそうです。

その販売額の前年同期比上昇幅に対する商品別寄与度を見ると、最も上昇に寄与しているのは、販売額に占める構成比が最も大きい「生活家電」で、その販売額は前年比3.4%の上昇でした。上昇寄与の2番目は、構成比は5位と小さい「通信家電」で、前年比は13.2%と大きな上昇幅となりました。

逆に、低下に寄与しているのは、構成比3位の「AV家電」ですが、前年同期比マイナス1.5%と低下幅は小幅です。

当期の家電大型専門店は、内訳品目を見ても総じて勢いがあったと評価できます。

この家電大型専門店を含む機械器具小売業の販売額の前年同期比変化を価格要因と数量要因に分解してみると、平成28年第3四半期から当期まで、数量要因によって販売額が上昇しているようです 。

家電大型専門店でも、生活家電等の販売数量の増加によって、目下の好調さが生み出されているものと推測されます。

ドラッグストアなのに食品販売額が好調で、従来の勢いが継続

ドラッグストア販売額は1兆5,659億円で、前年同期比6.1%の増加となりました。ここ2年、前年比6%を超えるプラスが続いており、平成29年は前年比5.3%と伸び幅が縮小しましたが、引き続き高い上昇幅を維持しています。

ドラッグストアで、販売額に占める構成比が最も大きいのは、実は「食品」です。平成29年10-12月期の販売額は4,172億円(健康食品を加えると4,684億円)と、飲食料品小売販売全体12兆円に占める割合は大きくはありませんが、前年同期比9.0%と大きく伸びている販売ルートです。ドラッグストア販売額前年比に対する商品別寄与度を見ても、最も上昇に寄与しているのはやはりこの「食品」でした。

次に上昇に寄与しているのは、構成比で3番目(2,363億円)の「ビューティケア(化粧品・小物)」でした。前年同期比も7.2%と大きく伸びています。化粧品は百貨店でも売れていると言われ、国内生産も活発になっており、同様の傾向を、ドラッグストアでも見ることができます。

「ドラッグ」ストアなので、医薬品の販売額もみてみると、いわゆる一般薬であるOTC(Over the Counter)医薬品の販売額が2,228億円、調剤医薬品が1,008億円と、OTC医薬品が倍以上の販売額となっています。調剤医薬品は、平成28昨年度の薬価改定以降伸び悩んでいましたが 、10-12月期の前年同期比は9.5%の上昇となっており、その影響も緩和されてきたようです。ただ、今年4月にも薬価改定が予定されているので、その影響がどのように出てくるかは注目です。

一方、OTC医薬品の伸びは安定した上昇基調と言えるかと思います。

ホームセンターは、5期ぶりにプラスとなった前期から一転、再びマイナスに

ホームセンターの販売額は8,720億円で、前年同期比マイナス0.8%と、2期ぶりに前年水準を下回りました。暦年でみると、平成27年は前年比マイナス、平成28年は前年比0.2%と小幅なプラスでしたが、平成29年は再び前年比マイナス0.4%と低迷しました。

ホームセンターのここ数年の動きからは、勢いがあるとは言い難い業態と言えそうです。

販売額に占める構成比が大きいのは、「家庭用品・日用品」(1,904億円)、「DIY用具・素材」(1,864億円)、「園芸・エクステリア」(999億円)です。

平成29年10-12月期の販売額の変動に対する、商品別寄与度で見ると、衣料品や食品などを含む「その他」などが上昇寄与となりましたが、「園芸・エクステリア」や「家庭用品・日用品」など構成比の高い主要商品の低下寄与が大きくなっていました。

このため、全体としては1年以上ぶりにかろうじて前年同期比プラスとなった7-9月期から、10-12月期は再びマイナスに転じました。

ホームセンターの販売額に占める構成比が最も大きい「家庭用品・日用品」というカテゴリーは、バス・トイレ・キッチン用品や洗剤、防虫剤といった日用消耗品などを含む商品分野で、勢いのあるドラッグストアと重なる商品領域でもあり、競合が多い流通ルートだと言えます。そのため、ホームセンターの中でも大きく伸びる分野ではないのかもしれません。

平成29年10-12月期の「家庭用品・日用品」の販売額は2四半期ぶりに前年同期比低下となりました。

12月末の店舗数を見ると、ドラッグストアの14,903店に対し、ホームセンターは4,304店と3分の1以下となっており、より利便性の高いネット通販やドラッグストアとの競合で、同分野の販売額の推移は、今後も厳しいのかも知れません。

ミニ経済分析「平成29年10-12月期小売販売を振り返る」のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20180309minikeizai.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
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