平成30年4月の鉱工業生産は、前月比0.3%と3か月連続の上昇。先行きでは、5月は微増計画だが、6月は減産計画と慎重なものに。4月の基調判断は、「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き。 2018年5月31日
- 4月生産は前月比0.3%と3か月連続上昇
- 鉱工業出荷も3か月連続の前月比上昇
- 在庫は3か月ぶりの前月比低下
- 5月の生産計画は微増、実績段階ではマイナスの可能性も高い
- 基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き
4月生産は前月比0.3%と3か月連続上昇
平成30年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.4、前月比0.3%上昇と3か月連続の前月比上昇となりました。本年1月に鉱工業生産は前月比で大きな低下を見せました。その後、連続して増産が続いています。

生産指数のレベルとしては高めの推移になっていますが、多少気になるのは、4月当初の生産計画では、上方バイアスを補正した値でも前月比1.4%の増産見込みであったものが、結果的には前月比0.3%に上昇幅が留まっていることです。
第1四半期末には、在庫循環が「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に到達し、在庫指数も高止まりしていたことから、強気の生産が、4月の月の半ばに、一部の業種で慎重な方向に修正され、増産の勢いに若干ブレーキがかかったということができると思います。
鉱工業出荷も3か月連続の前月比上昇
4月の鉱工業出荷は、指数値103.3、前月比1.8%と3か月連続の前月比上昇となりました。この指数値103.3は、近時の出荷指数として最も高い水準であった昨年12月と同じ水準となっています。
今年第1四半期の出荷指数が100.2でしたので、第2四半期の鉱工業出荷は1月の低下分を完全に払拭したレベルから開始することになります。

在庫は3か月ぶりの前月比低下
4月の鉱工業在庫は、指数値113.0、前月比マイナス0.4%と3か月ぶりの前月比低下となりました。
鉱工業在庫は、昨年10月から前年同月水準を上回るようになり、今年3月に大きく在庫水準が上昇し、平成28年当初の高い在庫レベルになってしまいました。ここ2年ほどで削減されていた在庫が再び積み上がってしまったことになります。
在庫の積み上がりにはストップがかかりましたが、水準自体は高いままです。

5月の生産計画は微増、実績段階ではマイナスの可能性も高い
5月上旬に実施した平成30年5月、6月の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。
5月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比0.3%と微増を見込むという結果になっています。この5月計画値に含まれる、バイアスを補正して、5月の実績を試算してみると、前月比マイナス1.3%程度の低下という計算結果です。
この5月生産計画値は、4月調査値からマイナス1.2%の下方修正となっています。4月の生産実績が生産計画から3%程の下方修正だったことと合わせると、生産計画が慎重になっていると言えるでしょう。
6月の生産計画は、補正前の5月計画から前月比マイナス0.8%低下するという結果でした。5月実績が低下することによって、この6月の生産計画の低下幅も緩和されるはずですが、他方、計画の下方修正もあるかと思われます。よって、6月の生産も実績段階でそれほど大きな伸びがあるとは想定できない調査結果でしょう。

基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き
平成30年4月の鉱工業生産は、3か月連続のプラスで、水準的に昨年12月の高い生産水準には及びませんが、大分今年1月の低下を回復してきています。出荷には勢いがあり、その結果、在庫は3か月ぶりに前月比低下となりました。
他方、先行きの生産計画には、必ずしも勢いがあるとはいえず、在庫も積み上がりはストップしましたが、水準自体はまだまだ高い水準であり、生産の重石となる可能性が払拭できたとは言えません。
これらの結果を踏まえ、4月の鉱工業生産の基調判断については、「緩やかな持ち直し」で据え置きとしたいと思います。

4月までの鉱工業生産が、緩やかなペースで持ち直していること自体は認められますが、先行きについては、慎重に見る必要があるように思います。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201804s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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