5月の生産計画は、下方修正され、前月実績と比べて微増に留まっている。6月の生産計画は、5月計画比で減産計画。先行きの生産計画は慎重なものになってきている。 2018年5月31日
5月の生産計画は微増、実績段階ではマイナスの可能性も高い
5月上旬に実施した平成30年5月、6月の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。
5月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比0.3%と微増を見込むという結果になっています。この5月計画値に含まれる、バイアスを補正して、5月の実績を試算してみると、前月比マイナス1.3%程度の低下という計算結果です。
この5月生産計画値は、4月上旬に実施した調査値からマイナス1.2%の下方修正となっています。4月の生産実績が生産計画から3%程の下方修正だったことと合わせると、生産計画が慎重になっていると言えるでしょう。
6月の生産計画は、補正前の5月計画から前月比マイナス0.8%と低下するという結果でした。5月実績が低下することによって、この6月の生産計画の低下幅も緩和されるはずですが、他方、計画の下方修正もあるかと思われます。よって、6月の生産も実績段階でそれほど大きな伸びがあるとは想定できない調査結果でしょう。

5月生産計画では、輸送機械工業が重石に
5月の生産計画では、全体11業種のうち、7業種が前月比で上昇、4業種が低下という生産計画となっています。上昇寄与が大きいのは、生産用機械工業、電気・情報通信機械工業、そして汎用・業務用機械工業です。
逆に、大きな低下寄与を見せているが、4月の鉱工業生産上昇の立役者であった輸送機械工業です。
上昇寄与業種の内訳分類をみると、電気・情報通信機械工業において民生用電子機械が上昇寄与分類となっているほかは、概ね設備投資向けの財の生産計画が増産となっているようです。これを反映して、需要先用途別分類である財別分類でみても、輸送機械を除く資本財の増産計画が、5月の生産計画の上昇要因となっています。
他方、5月の生産計画において引き下げ要因となっている輸送機械工業は、部品、完成車ともに生産計画が慎重なものとなっています。

6月の生産計画は、5月計画比マイナス
6月の生産計画では、全体11業種のうち、7業種が5月計画比で低下、4業種が上昇という計画になっています。汎用・業務用機械工業は2か月連続で増産計画となっていますが、それ以外の上昇3業種は、5月計画において減産計画となっている業種です(「その他」が2か月連続で減産計画となっている)。
6月の生産計画を押し下げているのは、化学工業、電気・情報通信機械工業といった業種ですが、主として5月に増産寄与の大きい品目の低下によって、生産計画が低下しています。上昇業種についても同様で、5月の生産計画において低下要因となった品目が軒並み上昇要因に転じています。

5月、6月の生産計画の変化を通してみると。。。
5月と6月の生産計画の変化を累積させてみると、製造工業全体の6月の生産計画水準は、4月の生産実績を若干下回る結果となっています。
輸送機械工業と電子部品・デバイス工業では、5月の減産を6月の増産でカバーできない計画となっています。生産用機械工業や電気・情報通信機械工業といった5月の資本財生産が好調な業種でも、その勢いが6月まで持続しません。

これまで、翌月見込みの生産計画は前年同月の実績をかなり上回る計画となっていましたが、今回の調査結果では、6月の生産計画の前年同月比は1.7%上昇にとどまっています。
補正値では5月生産はマイナスになる見込みですし、調査結果そのままでも6月の生産計画は4月の生産実績に届かないというものになっていますので、向こう2か月間の生産計画としては、慎重なものとなっていると言わざるを得ないところです。

なお、企業の生産マインドを指標化した「アニマルスピリッツ指標」については、6月14日(木)に5月調査分に更新する予定です。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201804s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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