2018年5月の生産は4か月ぶり前月比低下。ただし、第2四半期は前期比プラスとなる可能性が大。在庫はなかなか低下せず、5月は前月比上昇。基調判断は据え置き。 2018年6月29日
5月生産は前月比マイナス0.2%と4か月ぶりに低下
2018年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.4、前月比マイナス0.2%低下と4か月ぶりの前月比低下となりました。1月の大きな低下から、2月以降の3か月連続で生産上昇となりましたが、5月は少し落ち着いた動きとなりました。

4月と5月の生産指数の平均値は104.5となります。これは、本年第1四半期の102.5を上回っています。このため、計算上は6月の生産指数が相当大きく低下しない限り、第2四半期は前期比プラスを維持できそうです。本年第1四半期は8四半期ぶりの前期比低下となりましたが、そのままズルズルと鉱工業生産が低下していくということは避けられそうな様相です。
鉱工業出荷も4か月ぶりの前月比低下
5月の鉱工業出荷は、指数値101.4、前月比マイナス1.6%と4か月ぶりの前月比低下となりました。低下幅マイナス1.6%は、4月の上昇幅1.6%と同じであるため、5月の出荷は3月の水準に戻っています。とはいえ、4月と5月の出荷指数の平均値は102.3なので、第1四半期の100.2を大きく上回っています。この分ならば、第2四半期の鉱工業出荷も前期比プラスになれそうです。

在庫は再び上昇
5月の鉱工業在庫は、指数値113.5、前月比0.6%と2か月ぶりの前月比上昇となりました。4月には在庫の積み上がりが止まりましたが、再び上昇することとなり、4月の在庫低下分だけ5月に在庫が上昇しており、結局、5月の在庫水準は比較的高い水準である3月の水準に戻ってしまいました。これで、前年同月水準を上回る状態が、8か月続いており、なかなか在庫積み上がりの解消とは行かないようです。

今年第1四半期の在庫循環図は、「(意図せざる)在庫積み上がり局面」となっていましたが、4月と5月のデータの在庫循環局面は、暫定的に「在庫積み増し局面」にもどってくれました。なんとか第2四半期としても、この状態が維持できればと思います。

基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き
2018年5月の鉱工業生産は、4か月ぶりマイナスです。ただ、低下幅はマイナス0.2%と小幅なものに留まりました。5月の生産予測調査の補正結果からは、もっと大きめの生産低下も想定されていたことからすると、むしろ生産は頑張っているということも言えるかも知れません。その結果、4月と5月の平均値は、第1四半期の水準を上回っており、前期比連続マイナスは避けられそうな状況です。
5月の生産、出荷の低下は、主に輸送機械工業の低下によるものでした。この輸送機械工業の低下は、4月の生産予測調査の段階から織り込まれているものでした。また、先行きについては、劇的な上昇が計画されている訳ではありません。堅調な生産計画となっています。
他方、在庫の状況はあまり改善されてはいない状況です。
これらの結果を踏まえ、4月の鉱工業生産の基調判断については、「緩やかな持ち直し」で据え置きとしたいと思います。

5月までの鉱工業生産が、緩やかなペースで持ち直していること自体は認められますが、在庫の状況には注視が必要かと思います。

- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201805s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
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