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5月の生産、出荷では、輸送機械工業の低下寄与が特に大きい。耐久消費財、資本財の出荷も低調。10年前のレベルに匹敵する高い水準だった4月から多少反動が顕在化している。 2018年6月29日

5月は6業種が前月比低下

2018年5月の鉱工業生産は、前月比マイナス0.2%と4か月ぶりに前月比低下となった訳ですが、業種別にみると、6業種が前月比低下、8業種が前月比上昇、横ばい1業種となりました。低下幅が小さいこともあり、業種数としては、上昇業種の数の方が多くなっています。

5月の生産低下への影響度、寄与が大きい3業種は、輸送機械工業、鉄鋼業、電気機械工業でした。ただ、輸送機械工業の低下寄与が圧倒的に大きく、2位の鉄鋼業の低下寄与は、輸送機械工業の20分の1程度だったので、5月の鉱工業生産の低下は、主に輸送機械工業によるものだったと言えます。

逆に、電子部品・デバイス工業やはん用・生産用・業務用機械工業といった業種の生産上昇によって、この輸送機械工業の生産低下が補われ、小幅な生産低下に留まったということになります。

生産、出荷ともに輸送機械工業が低下要因

5月の輸送機械工業の生産は、前月比マイナス6.9%と大きく低下しました。昨年の5月もマイナス10%を超える生産低下となっていました。4月や5月の初旬に実施した生産計画の調査においても、すでに5月は生産を大きく低下させる計画となっていましたので、安定的な季節変動になっているとまでは言えませんが、5月に生産が低下するというのがパターンになっているようです。調査対象メーカーの話では、5月のGWには工場の操業度合いを落としたそうです。

生産、出荷が低下した品目をみると、主に、普通乗用車、自動車用エンジンの低下が大きかったのですが、出荷については鋼船の影響も大きくなっていました。

また、4月の生産レベルが歴史的にみても高いレベルにありましたので、そこからある程度低下することは仕方ない面があります。

耐久消費財と資本財の出荷が低調

5月の鉱工業出荷は、前月比マイナス1.6%と4か月ぶりの前月比低下でしたが、財の需要先の用途別分類である財別分類出荷指数をみると、非耐久消費財と建設財の出荷がかろうじて前月比プラスではありましたが、ウェイトの大きい生産財、資本財、耐久消費財の出荷は、前月比マイナスとなりました。

5月の出荷低下に対する寄与、影響度では、耐久消費財の出荷低下の影響が特に大きくなっており(全体の半分以上の影響度)、前月比マイナス9.1%と4月に比べて1割近い低下となっています。やはり、普通乗用車(前月比マイナス13.1%低下)、小型乗用車(前月比マイナス6.5%低下)の出荷減の影響が強く出ています。

また、企業の設備投資に供される資本財の出荷も前月比マイナス4.6%と低下し、耐久消費財に次ぐ低下寄与となりました。マシニングセンタや半導体製造装置といった生産設備の低下の影響によるものでした。

ただ、生産財の出荷は前月比マイナス0.3%と小幅の低下に留まっており、鉱工業生産の小幅な低下に即して、若干の低下に留まりました。

まとめ

5月の鉱工業生産の低下は、ほぼ輸送機械工業、特に自動車、そしてその部品類の生産低下によるものでした。この生産低下は、ほぼ計画されていた想定通りの低下ということができます。他方、電子部品・デバイス工業やはん用・生産用・業務用機械工業といった業種の生産は前月比プラスであり、業種数としては、上昇業種の数の方が多くなっていました。業種別の生産をみると、5月の生産は全般的に調子が良くなかったということでないようです。

そして耐久消費財や資本財の出荷についても、4月の出荷レベルがほぼ10年前のかなり高い水準に近くなっていたこともあり、多少反動減的な面が顕在化するのは仕方がない面があります。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201805s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

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