2018年6月のサービス産業活動は、前月比マイナス0.5%と大きめの低下。しかし、第2四半期としては、過去最高の指数値で、2四半期ぶりに前期比プラス。そこで、基調判断は、「持ち直しの動き」に据え置き。 2018年8月10日
6月のサービス産業活動指数は、前月比低下
2018年6月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値105.6、前月比マイナス0.5%と3か月ぶりの低下でした。それでも、その指数値は、2014年3月の消費税率引き上げ直前の105.5(これは、昨年11月、12月の水準)を上回ります。前年同月比も16か月連続上昇が続いています。これらを踏まえれば、6月のサービス産業活動指数の前月比低下幅は大きめではありますが、比較的高い水準を維持しているといえるでしょう。後方3か月移動平均の折線グラフも上昇基調を維持しています。

2018年第2四半期、4-6月期のサービス産業活動指数は、指数値105.9,前期比0.8%と2四半期ぶりにプラスでした。この四半期の指数値105.9は歴代最高値となっています。月々の動きには上下動はあったとしても、今年第2四半期のサービス産業の動きは堅調だったといえるでしょう。

低下寄与業種の動向
6月の業種別の動きみると、全11業種のうち、5業種が前月比低下、6業種が前月比上昇でした。低下業種をみると、2か月ぶり、3か月ぶりと、4月、5月好調だった業種で占められており、これら第1四半期後半から第2四半期の各業種の推移が一旦落ち着いたという様相が見て取れます。他方、上昇業種では、インフラ関連業種で連続上昇がある外は、2か月ぶりの上昇等となっており、5月の不調からの反動的側面を見いだすことができます。
低下業種の内で、低下寄与が比較的大きかった業種は、卸売業と「金融業,保険業」でした。上昇業種については、特に上昇寄与の大きかった業種はなく、物品賃貸業を除く5業種が同じ程度の上昇寄与を見せていました。

低下寄与が大きかった卸売業は、5月の上昇寄与筆頭業種で、指数値は消費税率引き上げ前の水準に到達していましたので、その反動が出た形です。内訳では、設備投資向けの財(輸送機械を除く資本財)や鉱工業生産の低下にともなう生産財などの国内向け出荷の低下もあり、電気機械器具卸売業や鉱物・金属材料卸売業が低下していました。
「金融業,保険業」では、金融業の中の資金決済(全銀システム取扱高)や証券取引(流通業務)に関連するサービスの活動が不活発でした。

対個人、対事業所サービスの動き
サービス産業活動指数は、大きく「広義対事業所サービス」と「広義対個人サービス」に分けることができます。
6月の対個人サービス活動指数は、指数値105.7、前月比0.2%と2か月ぶりの前月比上昇です。対事業所サービス活動指数は、指数値105.7、前月比マイナス0.2%と2か月連続の前月比低下となりました。ここから、6月のサービス産業活動指数の低下は、対事業所サービスの低下によるものであることが分かります。

さて、6月は、対個人サービスと対事業所サービスの指数値が同じとなりました。指数値が同じということは、基準年である2010年の平均的活動レベルからの伸びが同じになったということです。
両サービスの折線グラフの推移を確認すると、基本的には、対個人サービスの折線が、対事業所サービスの上に描かれています。と同時に、2014年の消費税率引き上げ後の「回復」プロセスでは、対個人サービスが横ばいに近い状態にある一方、対事業所サービスが低水準から安定的に上昇してきていたことが分かります。
そして、ようやく対事業所サービスの勢いが、対個人サービスの勢いに追い付いてきたということになります。

2018年第2四半期でみると、対個人サービスの指数値は105.7、前期比0.3%と2期ぶりの上昇、対事業所サービスの指数値は105.9、前期比0.5%と3期連続の上昇となりました。
特に、対個人サービスの今年第2四半期の指数水準は、四半期ベースで過去最高でした。
また、いわゆるリーマンショックによる落ち込みが相対的に大きかった対事業所サービスですが、今年第2四半期の指数値は、2008年第3四半期以来の水準となりました。2008年の第1四半期は111.6、第2四半期は110.3ですので、水準的には、まだ差がありますが、対事業所サービスも、リーマンショック後(2008年第4四半期以降)では、最高値を更新したことになります。

し好的個人向けサービスの動き
対事業所サービスの「回復」に比べると動きの鈍い対個人サービスですが、6月のその内訳をみると生活必需的性格の強い非選択的個人向けサービスは前月比0.2%低下の一方、選択性の強いし好的個人向けサービスが前月比0.6%上昇でした。6月の対個人サービスの上昇は、し好的サービスの上昇によるものであったことが分かります。

個人消費に関連して、観光関連産業活動指数や飲食関連産業活動指数の動きをみても、ともに6月は2か月ぶりに指数値を前月比で上昇させています。デパート(各種商品小売業)などの小売業活動指数も6月は2か月ぶりに前月比上昇となっています。生活必需的側面の強い「医療,福祉」が低下しているので、対個人サービス全体としては、生活を楽しむためのサービス消費には、少し動きが見えたといえるかもしれません。

6月の基調判断は、「持ち直しの動き」で据え置き
6月のサービス産業活動指数は、3か月ぶりの前月比低下となりましたが、後方3か月移動平均では上向き基調であり、2018年の4-6月期、第2四半期としては、2期ぶりの前期比上昇となり,四半期ベースでの指数としては過去最高となっています。
6月の低下は、主に好調業種の推移、特に卸売業の動きに一服感が見られたことによるものでした。他方、対個人サービス、特にし好的個人サービスの活動指数には勢いが戻りました。

こういった動きを踏まえ、6月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」と据え置きたいと思います。

- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201806.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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