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2018年8月の鉱工業生産は、前月比0.7%上昇と、ようやく4か月ぶりに前月比上昇。上昇幅は小さく、基調判断は、「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」を据え置き。 2018年9月28日

8月生産は前月比0.7%上昇

2018年8月の鉱工業生産は、季節調整済指数103.0、前月比0.7%と4か月ぶりの前月比上昇となりました。ただ、8月初旬段階の生産計画値からは、約4%の下方修正となっており、その当時に想定されていた伸びを下回る結果となりました。

生産指数のレベルも、6月の大きな生産低下前の3月から5月は104台でしたので、そのレベルには回復できていません。7月と8月の生産指数の平均は102.7ですから、2018年第2四半期の103.8をかなり下回っています。第2四半期と比べると、第3四半期の鉱工業生産は、低い水準での推移となっています。

8月は10業種が上昇、5業種が低下

8月の鉱工業生産を業種別にみると、10業種が前月比上昇、5業種が前月比低下となりました。

8月の生産上昇への寄与が大きかった業種は、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業の2業種です。寄与3位のプラスチック製品工業の上昇寄与幅は、2位のはん用・生産用・業務用機械工業の4分の1程度ですので、上位2業種の寄与度合いが突出していることが分かります。一方、低下寄与業種の中では、電子部品・デバイス工業と医薬品を除く化学工業の低下寄与度合いが大きくなっています。

業種的にみれば上昇業種の数が多いのですが、8月の生産上昇は、7月の低下要因となった輸送機械工業とはん用・生産用・業務用機械工業の上昇によるものであり、他の上昇業種の勢いはそれほどではありませんでした。そして、この上昇寄与上位2業種の上昇寄与を、電子部品・デバイス工業や医薬品を除く化学工業の低下が相殺してしまった結果、8月の生産の伸びは、想定されたものよりも小さいものとなりました。

生産変動寄与業種の動向

上昇2業種の8月生産計画を確認してみると、最も上昇寄与の大きかった輸送機械工業の生産計画は、8月初旬段階では前月比6%を超える見込みでしたが、8月実績段階では、普通乗用車、自動車部品類の生産上昇はあったものの、前月比5.2%上昇に留まりました。

はん用・生産用・業務用機械工業では、内訳の「汎用・業務用機械工業」、「生産用機械工業」ともに増産計画でした。特に、生産用機械工業については、10%以上の生産上昇見込みでした。しかし、生産機械工業に属する半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置の生産上昇が、その計画ほどのものとはなりませんでした。

一方、低下業種のうち、化学工業については計画段階ですでに減産計画だったものの、微増計画だった電子部品・デバイス工業の生産が、メモリや液晶素子の生産低下によって、実績において5%以上の下方修正となりました。

8月の計画段階での大きな伸びの要因となった、輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業の生産上昇の勢いが計画通りとはいかなかったことに加えて、電子部品・デバイス工業の生産が下方修正となったことが、8月の鉱工業生産の伸び悩みの業種的な要因となります。

鉱工業出荷も前月比上昇

8月の鉱工業出荷は、指数値101.9、前月比2.1%と2か月ぶりの前月比上昇となり、7月の出荷低下分を回復しています。

業種的にも、生産同様に、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業といった業種の出荷が上昇していますが、上昇寄与の大きさでは、輸送機械工業の上昇寄与が非常に大きく、2位のはん用・生産用・業務用機械工業の3倍近くとなっていました。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比3.1%上昇、生産財の出荷は前月比1.3%上昇でした。生産と比較して、出荷の伸びは大きかったのですが、この出荷上昇には、最終需要財が大きく伸びたことが寄与しました。

8月の出荷上昇に対する寄与、影響度の大きかった最終需要財の内訳では、耐久消費財、資本財の出荷上昇の影響が大きくなっていました。耐久消費財では、普通乗用車や小型乗用車の出荷上昇、資本財ではフラットパネル・ディスプレイ製造装置、半導体製造装置の出荷上昇がけん引役となりました。

在庫低下はあまり進まず

8月の鉱工業在庫は、指数値110.7、前月比マイナス0.4%と3か月連続の前月比低下となりました。生産上昇の勢いよりも、出荷上昇の勢いが強く、在庫水準は連続低下となりました。ただ、在庫水準自体は、まだ決して低い水準とは言えず、昨年2017年平均の109.0に比べると高くなっています。前年同月比プラスも11か月連続となっており、なかなか在庫積み上がりの解消とはいかないようです。

基調判断は据え置き

2018年8月の鉱工業生産は、4か月ぶりの前月比プラスです。ただ、その上昇幅は、8月初旬段階の生産計画の伸びからすると、小さいものとなりました。生産指数の水準も、第2四半期と比べると、第3四半期は低めの推移となっています。

8月の輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業の生産上昇の勢いが計画よりも弱かったこと、そして電子部品・デバイス工業の生産が回復しなかったことで、鉱工業生産全体の生産上昇に勢いがない要因となっています。在庫の前月比も連続低下ではありますが、昨年水準と比べると高い状態が続いています。

これらの結果を踏まえ、8月の鉱工業生産の基調判断については、「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」と据え置きたいと思います。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201808s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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