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2018年10月のサービス産業活動は前月比1.9%と、9月から大きく反転上昇。9月の低下分をカバーし、指数値106.7は、リーマンショック前の2008年3月に並ぶ最高値。 2018年12月12日

10月のサービス産業活動指数は、前月比で大きく上昇

2018年10月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値106.7、前月比1.9%と2か月ぶりの上昇でした。前月9月は、前月比マイナス1.2%と大きな低下をみせましたが、一転、10月はこの低下分を大きく上回る上昇をみせました。指数値106.7は、リーマンショックの発生する前の2008年3月にみせた、2010年基準で最も高い(それ故、過去最高)値となっています。

また、9月には、19か月ぶりに、サービス産業活動指数の前年同月比がマイナスとなりましたが、10月の前年同月比は2.2%上昇と、再び前年水準を上回る動きに復帰しました。

2018年第3四半期、7-9月期のサービス産業活動指数は、指数値105.4で、前期比マイナスでしたが、第4四半期の開始に当たる10月のサービス産業は、反転上昇の勢いが大きく、過去最高レベルの指数水準となりました。

上昇寄与業種の動向

10月の業種別の動きみると、全11業種のうち、9業種が前月比上昇、2業種が前月比低下でした。

上昇低下業種の内で、上昇寄与が特に大きかった業種は、卸売業でした。また、これに生活娯楽関連サービスと情報通信業が、半分弱の上昇寄与で続くという形です。これらの3業種は、9月の低下寄与が高かった3業種となっており、9月の低下要因となった業種が、10月に反転上昇要因の業種となりました。

この3業種に続いて上昇寄与の大きかった業種としては、「金融業,保険業」、「運輸業,郵便業」、そして小売業の寄与が相対的に大きくなっています。

他方、「医療,福祉」と事業者向け関連サービスの2業種が、同程度の低下寄与の前月比低下業種となっています。とはいえ、この2業種の低下寄与は小さく、業種全般にわたって、前月比上昇の勢いが強かったと言えるでしょう。

10月の上昇寄与が特に大きかった卸売業は、前月比5.2%と非常に大きな前月比上昇となりました。指数値96.4も、本年5月の97.5、同4月の96.7に次ぐ本年3番目の高い水準となりました。

卸売業の中では、産業使用者向け卸売業が前月比6.9%と6か月ぶりに前月比上昇となりました。この卸売業の指数値は、9月には87.1まで低下していましたが、10月の指数値93.1は、本年3番目に高い指数値と同じであり、9月から10月で今年の最低値から大きく反転したことになります。小売業向けの卸売業も、10月は2か月ぶりの前月比上昇ではありますが、10月の卸売業の上昇は、主に産業使用者向けの卸売業の上昇によるものでした。

卸売業に続く上昇寄与業種である、生活娯楽関連サービスでは、9月の低下要因となったスポーツ関連の系列、そして外食サービスの上昇が全体のけん引役となりました。また、情報通信業では、ソフトウェア業の上昇寄与が大きくなっていますが、その内訳としては、ゲームソフトの寄与が大きくなっていました。

対個人、対事業所サービスの動き

サービス産業活動指数は、大きく「広義対事業所サービス」と「広義対個人サービス」に分けることができます。

10月の対個人サービス活動指数は、指数値107.3、前月比2.1%と2か月ぶりの上昇でした。その指数水準は、2010年基準で最も高い水準となっています。

10月の対事業所サービス活動指数は、指数値106.3、前月比1.7%上昇ですが、対事業所サービスが前月比上昇となるのは、6か月ぶりのこととなります(本年4月以来の前月比上昇)。

10月のサービス産業全体の上昇に対する影響度合い、上昇寄与では、対個人サービスの寄与の方が大きくなっています。また、6か月ぶりに対事業所サービスが、サービス全体に対して、プラスの寄与、それも比較的大きなプラス寄与を見せた点にも目がいきます。

し好的個人向けサービスが上昇

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動の相対的に少ないと考えられる非選択的個人向けサービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的個人向けサービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。

10月の対個人サービスは、過去最高水準の指数レベルに到達する程の高い伸びをみせました。その内訳をみると、非選択的個人向けサービスも前月比0.8%上昇ではありましたが、やはり、し好的個人向けサービスの前月比3.9%上昇が大きく影響しています。し好的個人向けサービスの指数値105.1も、消費税率引き上げ以降では、最も高い水準となっており、後方3か月移動平均で均し動きをみても、上昇基調となっています。

このし好的個人向けサービスの10月の上昇への寄与が大きかった個別のサービスをみると、プロスポーツ(スポーツ観戦)、ゲームソフト、ゴルフ場などが2桁の前月比上昇を見せています。スポーツ関連産業活動指数は、10月に前月比10.4%上昇で、指数値も111.6と、今年4月の高水準を超えて、今年で最も高い水準となっています。天候の回復で、例年以上に「スポーツの秋」らしくなったというところでしょうか。

このような動きと併せて、10月は観光関連産業活動指数も前月比2.2%上昇と大きく上昇しました。その指数値109.9は、今年6月の高水準を上回り、過去最高値を更新しました。夏場の観光産業の不調が一気に払拭されたかのようなグラフの動きとなっています。

10月の基調判断は、上方修正

10月のサービス産業活動指数は、2か月ぶりの前月比上昇でしたが、その上昇幅は、9月の大幅低下分をカバーしても、あまりある大きな上昇幅でした。サービス産業全体の活動水準は、2010年基準で最高値、つまり過去最高値となりました(2008年3月同レベル)。

対事業所サービスも6か月ぶりに前月比プラスとなり、サービス産業全体の上昇に貢献していますが、10月は、対個人サービス、特に、し好的個人向けサービスの上昇の貢献が特徴的となっています。スポーツや観光など、9月までの天候や自然災害の影響で落ち込んでいたものが、それらの重石がなくなったことで、反動分も含めて大きな上昇をみせ、水準も高くなっています。

こういった動きを踏まえ、10月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」と上方修正したいと思います。結果的に、9月の不調については、自然災害の影響による一時的なものであったことになります。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201810.html
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

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