2018年11月の鉱工業生産は、前月比マイナス1.1%の低下と、再び前月比低下。出荷も前月比マイナス1.4%の低下。11月の基調判断は「緩やかな持ち直し」で据え置き。 2018年12月28日
11月生産は前月比マイナス1.1%低下
2018年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.7、前月比マイナス1.1%と2か月ぶりの前月比低下となりました。11月初旬段階の生産計画値からは、マイナス1.7%の下方修正となっており、その当時に想定されていた生産の変化を下回る結果となりました。
10月の指数値は、自然災害の影響もあり本年7-9月期に一時的に低迷していたところから大きな回復をみせていましたが、11月はその水準から減少することとなりました。

11月は8業種が前月比低下
11月の鉱工業生産を業種別にみると、8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇となりました。
11月の生産低下への寄与が特に大きかった業種は、汎用・業務用機械工業でした。それ以外には、電気・情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業の2業種が続くという低下寄与の順番でした。
鉱工業生産の低下全体に対し、汎用・業務用機械工業の低下寄与が8割の大きさとなっていました。11月の鉱工業生産の低下寄与の多くが汎用・業務用機械工業の低下で説明されることになります。中でもコンベヤ、一般用蒸気タービン、水管ボイラなどの汎用機械関連の低下寄与が大きくなっていました。
一方で、生産用機械工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)、石油・石炭製品工業などは増加していました。

鉱工業出荷も前月比マイナス1.4%低下
11月の鉱工業出荷は、指数値103.1、前月比マイナス1.4%と2か月ぶりの前月比低下となりました。10月は大きな回復を見せていましたが、生産同様、10月と比較して減少しました。
業種別にみると、前月比で11業種が低下、3業種が上昇、1業種が横ばいとなっていました。業種的には、汎用・業務用機械工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業といった業種の出荷低下の影響が大きくなっていました。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比0.2%上昇、生産財の出荷は前月比マイナス2.8%低下でした。生産の低下に合わせて、生産財の出荷が相対的に大きく落ち込みました。
生産財の内訳の中で、11月の出荷低下に対する寄与、影響度が大きかったのは、鉱工業用生産財でした。アクティブ型液晶パネル(中・小型)やリチウムイオン蓄電池などの出荷が低下しました。
最終需要財については、資本財や耐久消費財、建設財も出荷が低下したものの、非耐久消費財が上昇したことで、全体では出荷はわずかながら上昇することになりました。

在庫は、2か月ぶりに前月比上昇
11月の鉱工業在庫は、指数値101.5、前月比0.2%と2か月ぶりに前月比上昇となりました。生産低下の勢いよりも、出荷低下の度合いが大きく、在庫は若干増加しました。前年同月比も、0.7%上昇となり、前年水準からの上昇幅も大きくなりました。
11月の業種別の在庫では、8業種の在庫が前月比上昇となりました。石油・石炭製品工業や自動車工業、そして化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)の在庫上昇の影響が大きくなっていました。

基調判断は「生産は緩やかな持ち直し」で据え置き
2018年11月の鉱工業生産は、2か月ぶりの前月比マイナスです。11月初旬の生産計画からすると、生産実績は下方修正となりました。ただ生産の減少は、主に汎用・業務用機械工業といった一部の業種に大きく偏っています。また指数水準としては、今年3月、4月、5月に次ぐ水準にあります。先行きについては、やや慎重な生産計画とみられますが、四半期ベースでは10-12月期は7-9月比で上昇が予想されます。
鉱工業出荷については、生産よりも幅広い業種で減少がみられますが、今月出荷が減少した業種としては、生産も大きく減少した汎用・業務用機械工業がありました。また、前月の出荷上昇への寄与が高かった鉄鋼・非鉄金属工業、自動車工業、電気・情報通信機械工業でも出荷低下への寄与が高くみられました。10月の鉱工業出荷は前月比3.5%上昇と大きく上昇していましたので、今月の出荷の減少は、先月の出荷の大幅な上昇の反動減という面もあると考えられます。
これらの結果を踏まえ、11月の鉱工業生産の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」で据え置きとしたいと思います。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201811s.html
- マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html
本経済解析室ニュースは印刷用のPDFでも御覧いただけます。
印刷用ファイル
をダウンロードして印刷してください。
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)