2018年11月のサービス産業活動は、前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下も指数値は106台後半の高水準を維持。基調判断は据え置き。 2019年1月16日
- 11月のサービス産業活動指数は、前月比低下
- 上昇寄与業種の動向
- 対個人、対事業所サービスの動き
- 製造業依存型事業所向けサービスが低下
- し好的個人向けサービスは低下したものの、依然上昇基調
- 11月の基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き
11月のサービス産業活動指数は、前月比低下
2018年11月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値106.6、前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下でした。10月は前月比2.2%と大きく増加しましたので、その反動による減少とも考えられますが、指数値は高水準を維持しています。
前年同月比では前月に引き続き前年を上回っており、後方3か月移動平均値のグラフも上昇基調を維持しています。

上昇寄与業種の動向
11月の業種別の動きみると、全11業種のうち、8業種が前月比低下、3業種が前月比上昇でした。
低下業種の内で、低下寄与が特に大きかった業種は、「金融業,保険業」でした。「金融業, 保険業」の低下寄与のみで、サービス産業全体の低下の8割を説明できるようになっています。これに続いて、卸売業、「医療,福祉」の低下寄与が相対的に大きくなっています。
上昇業種については、事業者向け関連サービスの上昇寄与が大きくなっていました。また、上昇寄与は小さいものの、物品賃貸業(自動車賃貸業を含む)、情報通信業も前月比上昇でした。

11月の低下寄与が特に大きかった「金融業,保険業」は、前月比マイナス2.2%と大きな低下となりました。これは、「金融商品取引業,商品先物取引業」のうち、上場株式売買代金を指標化している流通業務が前月比マイナス23.8%と低下したことが、主な変動要因となっています。
「金融業, 保険業」に続く低下寄与業種である卸売業は、前月比マイナス0.7%低下でした。10月の上昇幅が前月比5.5%上昇でしたので、その反動が現れたとも考えられます。卸売業の中でも、各種商品卸売業、医薬品・化粧品等卸売業、鉱物・金属材料卸売業に低下がみられました。
一方、上昇寄与が大きかった事業者向け関連サービスは、前月比2.6%と大きく上昇しましたが、中でも土木・建築サービス業が前月比14.0%と大きく上昇したことが主な変動要因となっています。

対個人、対事業所サービスの動き
サービス産業活動指数は、大きく「広義対事業所サービス」と「広義対個人サービス」に分けることができます。
11月の対個人サービス活動指数は、指数値107.0、前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下でした。対事業所サービス活動指数は、指数値105.6、前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下となりました。11月は対個人サービス、対事業所サービスとも、ほぼ同程度の低下寄与となりました。

製造業依存型事業所向けサービスが低下
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの指数の推移を見ると、非製造業依存型は緩やかながら上昇傾向にありますが、製造業依存型事業所向けサービスは伸び悩んでいます。非製造業依存型事業者向けサービス活動指数は、11月は指数値110.1、前月比0.4%と、2か月連続の上昇をみせた一方、製造業依存型事業者向けサービス活動指数は、10月には5か月ぶりに上昇したものの、11月の指数値は95.2、前月比マイナス1.9%と、再び低下しました。

し好的個人向けサービスは低下したものの、依然上昇基調
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動の相対的に少ないと考えられる非選択的個人向けサービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的個人向けサービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
対個人サービスは、10月に過去最高水準の指数レベルに到達する程の高い伸びをみせましたが、11月は指数値107.0、前月比マイナス0.7%と、2か月ぶりに低下しました。その内訳をみると、非選択的個人向けサービスも前月比マイナス0.5%の低下ではありましたが、し好的個人向けサービスの前月比マイナス1.1%の低下が大きく影響しています。し好的個人向けサービスは10月に前月比3.8%と大きく上昇していましたので、その水準から見ると11月は低下したといえるでしょう。しかし後方3か月移動平均値をみると、し好的個人向けサービスは依然上昇基調にあります。

11月の基調判断は、「持ち直しの動きがみられる」に据え置き
11月のサービス産業活動指数は、2か月ぶりの前月比低下でしたが、その低下幅はマイナス0.3%にとどまりました。指数水準面でも11月は、2018年の中でも過去最高水準に到達した10月に次ぐ水準にあり、後方3か月移動平均値をみても依然上昇基調にあります。11月は対事業所サービス、対個人サービスとも低下したものの、ともに10月に大きく上昇した反動もあるものと考えられます。
10月と11月のサービス産業活動指数の平均値も、第3四半期の指数レベルをだいぶ上回っており、12月に相当大きな前月比低下が生じない限り、今年の第4四半期の前期比はプラスとなりそうな勢いです。
こうした動きを踏まえ、11月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」に据え置きとしたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201811.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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