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本年4月の鉱工業生産は、前月比0.6%上昇となり、2か月ぶりの前月比上昇。3月の低下から反発し、幅広い業種でのやや大きめの上昇となった。基調判断は「生産は一進一退」と上方修正。 2019年5月31日

本年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数102.8、前月比0.6%と、2か月ぶりの前月比上昇となりました。鉱工業生産は3月は前月比マイナス0.6%の低下となり、これにより、本年第1四半期の指数値は102.4と、2017年第1四半期以来の水準まで低下していたところですが、4月は再び前月比0.6%と、やや大きめの上昇をみせました。

3月速報の時点では、企業の生産計画の例年の上方バイアスを考慮すると、4月は前月比マイナス0.5%程度の低下を見込んでいましたが、4月実績では想定を超える前月比上昇となりました。

4月生産は10業種が前月比上昇

4月の鉱工業生産を業種別にみると、10業種が前月比上昇、5業種が前月比低下となりました。4月の上昇業種については、3月に前月比で低下した業種全てが反発し上昇したのみならず、より幅広い業種で上昇という姿になりました。

上昇寄与業種としては、自動車工業、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)等が挙げられます。他方、低下寄与業種としては、汎用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、無機・有機化学工業等が挙げられます。

上昇した自動車工業では普通乗用車、自動車用エンジン等の上昇寄与が大きくなっていました。生産用機械工業ではフラットパネル・ディスプレイ製造装置、金型等が上昇していました。輸送機械工業(除.自動車工業)では航空機用発動機部品、航空機用機体部品等が上昇していました。

出荷も前月比上昇

4月の鉱工業出荷は、指数値102.6、前月比1.7%上昇と2か月ぶりの前月比上昇となりました。出荷は3月は前月比マイナス1.3%と大きめの低下となりましたが、4月はそこから反発し、さらに大幅に上昇する動きとなりました。

業種別にみれば、12業種が前月比上昇、2業種が前月比低下、1業種が横ばいとなりました。出荷についても、4月の上昇業種については、3月に前月比で低下した業種全てが反発し上昇したのみならず、より幅広い業種で上昇という姿になりました。

出荷の上昇寄与業種としては、自動車工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、そして生産用機械工業等が挙げられます。他方、低下寄与業種としては、電子部品・デバイス工業、汎用・業務用機械工業の2業種でした。

自動車工業では、軽乗用車、自動車用エンジン等が上昇していました。輸送機械工業(除.自動車工業)では、鋼船等が上昇していました。生産用機械工業は、生産と同様、フラットパネル・ディスプレイ製造装置、金型等が上昇していました。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比0.4%上昇、最終需要財の出荷は前月比3.5%上昇でした。

4月は、最終需要財の出荷増、なかでも消費財の出荷増が、出荷指数の大幅な上昇をけん引しました。耐久消費財と非耐久消費財合わせた上昇寄与が、4月の出荷上昇分の6割以上となっていました。また、投資財(資本財・建設財)についても出荷は上昇していました。

生産財については、鉱工業用生産財は前月比横ばいにとどまりましたが、その他用生産財は前月比3.3%上昇しました。

在庫は前月比横ばい

4月の鉱工業在庫は、指数値103.8、2か月連続の前月比上昇のあと、前月比横ばいとなりました。4月は生産・出荷とも上昇する中で、4月の在庫指数は横ばいにとどまる姿になりました。

基調判断は「生産は一進一退」に上方修正

本年4月の鉱工業生産は、2か月ぶりの前月比上昇でした。4月初旬の企業の生産計画の集計結果からは、上方バイアスを補正すると前月比マイナス0.5%程度の低下が想定されていましたが、実際には前月比で0.6%と、想定を上回る上昇となりました。

その背景として、3月はかなり生産水準が低下していたため、4月はその反動が現れたことも考えられますが、それだけでなく、3月速報の解説でも触れたように、本年のゴールデンウィークが例年より長かったことが、企業の生産計画からの下振れが例年ほどにはならなかったこと等に影響した可能性もあります。

本年1月に鉱工業生産は前月比マイナス2.5%と大幅な低下をみせましたが、それ以来、低下と上昇を繰り返し、このところ横ばい的な動きにも見受けられます。

先行きについては、企業の生産計画の集計値そのままをみれば、5月の生産は前月比で大幅な上昇、6月の生産は前月比で大幅な低下となっています。企業の生産計画の上方バイアスを考えても、5月は上昇が想定されるところですが、6月の計画値の低下の大きさをみると、現時点で確たる判断は難しいものの、6月は低下することが考えられます。

このように先行きは振れが大きく、5月も引き続き上昇が見込まれるものの、6月以降の低下の可能性には注意を要するところですが、4月の鉱工業生産の基調判断については、このところの横ばい的な動向を踏まえ、「生産は一進一退」と修正し、先行きを注視していきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201904s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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