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本年5月の鉱工業生産は、前月比2.3%上昇となり、2か月連続の上昇。4月に引き続き、5月は大幅な上昇となった。ただこの上昇は一時的なものとも考えられ、基調判断は据え置き。 2019年6月28日

本年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数105.2、前月比2.3%と、2か月連続の上昇となりました。本年第1四半期の指数値は102.4と、2017年第1四半期以来の水準まで低下していたところですが、第2四半期に入り、4月の上昇に引き続き5月も大幅に上昇し、5月の指数値は、1月に生産が大きく低下する前の昨年第4四半期の指数値105.0をも上回る結果となりました。

4月速報の時点では、企業の生産計画の例年の上方バイアスを考慮すると、5月は前月比1.5%程度の上昇を見込んでいましたが、5月実績ではこれを超える上昇幅となりました。

5月生産は13業種が前月比上昇

5月の鉱工業生産を業種別にみると、13業種が前月比上昇、2業種が前月比低下となりました。5月はほとんどの業種で上昇という姿になりました。

上昇寄与業種としては、自動車工業、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業等が挙げられます。他方、低下寄与業種は、輸送機械工業(除.自動車工業)、その他工業の2業種でした。

上昇した自動車工業では普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が上昇していました。電気・情報通信機械工業ではデスクトップ型パソコン、開閉制御装置等が上昇していました。生産用機械工業では半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等が上昇していました。

出荷も前月比上昇

5月の鉱工業出荷は、指数値104.3、前月比1.6%上昇と2か月連続の上昇となりました。出荷は4月も前月比1.8%と大きめの上昇をみせていましたが、5月も大きめの上昇が続く動きとなりました。

業種別にみれば、7業種が前月比上昇、8業種が前月比低下となりました。5月の上昇業種の多くは、4月に引き続いての上昇という姿になりました。

出荷の上昇寄与業種としては、自動車工業、電気・情報通信機械工業、そして生産用機械工業等が挙げられます。他方、低下寄与業種としては、無機・有機化学工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)等が挙げられます。

自動車工業では、生産と同様、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が上昇していました。電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、デスクトップ型パソコン等が上昇していました。生産用機械工業では、ショベル系掘削機械、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等が上昇していました。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比1.7%上昇、最終需要財の出荷は前月比1.0%上昇でした。

5月は、生産財、なかでも鉱工業用生産財の出荷が前月比2.2%と大きく上昇し、鉱工業出荷の上昇に寄与していました。

また、最終需要財については、投資財のうち、建設財は前月比マイナス0.5%と低下したものの、資本財(除.輸送機械)は前月比5.0%と大きく上昇しました。前月に大きく上昇した消費財については、耐久消費財が前月比3.3%と引き続き上昇しましたが、非耐久消費財は前月比マイナス2.7%と低下していました。

在庫も上昇

5月の鉱工業在庫は、指数値104.4、前月比0.6%の上昇となりました。5月は生産・出荷とも上昇しましたが、生産がより大きく上昇する中で、5月の在庫指数も上昇することになりました。

5月の在庫の上昇については、財別にみると、非耐久消費財が上昇要因となっていました。

在庫の上昇については、今後の需要や工場の定修・メンテナンスに備えた前向きな積み増しによるものもあります。ただ、この在庫増が今後の生産の押し下げ要因にならないかどうかについては、注意してみていきたいと考えます。

基調判断は「生産は一進一退」を据え置き

本年5月の鉱工業生産は、2か月連続の前月比上昇でした。5月上旬の企業の生産計画の集計結果からは、上方バイアスを補正すると前月比1.5%程度の上昇が想定されていましたが、実際には前月比で2.3%と、想定を上回る上昇となりました。その背景としては、本年5月はゴールデンウィークが10連休となった影響を受けて、企業の生産活動が例年とは異なっていたこととともに、需要も堅調であったことから、企業の生産計画からの下振れが例年ほど生じなかったことが考えられます。

4月、5月と連続で生産が上昇したことにより、4-5月を均してみると、生産指数の平均値は104.0となり、鉱工業生産は大幅に上昇することとなりました。本年第1四半期の102.4と比べるとかなり上昇しています。6月の生産が低下したとしても、第2四半期の指数値は、第1四半期と比べると上昇の見込みが高いと考えられます。

ただ、先行きに関しては、6月の生産計画は前月比低下が見込まれ、7月の生産計画は上昇とはいえ小幅にとどまっています。5月は生産が大幅に上昇したものの、一時的な上昇とも考えられ、生産が上昇基調に入ったとまでは言い難い面もあります。

このため、5月の生産の基調判断については、引き続き「生産は一進一退」にあるものと考え、据え置きとしたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201905s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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