経済産業省
文字サイズ変更
アクセシビリティ閲覧支援ツール

製造工業の生産計画では、6月は低下の計画であるが、上方バイアスを補正するとさらに低下の可能性が高い。一方、7月は前月比で上昇の計画だが、力強い上昇までは期待し難い調査結果。 2019年6月28日

6月の生産は低下、7月の生産は上昇の計画

6月上旬に実施した2019年6月、7月の企業の生産計画を調査した、生産予測調査の結果です。

6月の生産計画については、調査結果そのままを集計すると、前月比マイナス1.2%の低下を見込むという結果になっています。5月上旬時点での調査結果と比べ、0.6%上方修正されました。7月の生産計画は、この6月の計画値から前月比0.3%と小幅な上昇を見込むという結果でした。

この6月の生産計画の調査結果そのままを使って、6月の鉱工業指数の見込み値を推計すると、103.9となりますが、企業の生産計画には、上方バイアスが含まれている傾向があります。この6月計画値に含まれる傾向的なバイアスを補正すると、前月比マイナス1.7%程度の低下という計算結果です。この補正値を使って6月の鉱工業指数の見込み値を推計すると、103.4になります。いずれにしても、本年第1四半期の指数値102.4は上回る見込みの結果となっています。

7月の生産計画は、バイアス補正前の6月計画から前月比0.3%上昇するという結果でした。仮に、6月、7月ともに、企業の生産計画どおりに生産が行われるものとして、それぞれの前月比を用いて7月の鉱工業指数の見込み値を推計すると、104.2になります。実際には、6月の生産が計画値を下回ると、6月生産できなかった分が7月に生産されることもあるため、現時点では判断が難しい面もありますが、先述の企業の生産計画の上方バイアスを考えると、この104.2よりは低下することが考えられます。

6月生産計画では、6業種が低下の計画

6月の生産計画では、全体11業種のうち、6業種が前月比で低下、5業種が上昇という生産計画となっています。低下寄与が大きいのは、輸送機械工業、電気・情報通信機械工業、汎用・業務用機械工業です。

6月の輸送機械工業の生産計画は、前月比マイナス6.8%の低下となっています。前回調査の生産計画からは0.3%の上方修正がされましたが、5月実績も前月比5.5%の上昇であったことを踏まえれば、6月はかなり生産を低下させる計画です。主な要因としては、車体・自動車部品、乗用車が低下する計画となっています。5月はモデルチェンジが行われた車種があったことや、今年のゴールデンウィークに祝日も含めて稼働した工場があったことで増産となっていましたが、6月はそれらの効果が一段落するといった反動減もあっての低下と考えられます。

電気・情報通信機械工業では、産業用電気機械、家電・空調・照明器具が低下する計画となっています。5月実績は上昇したものの、6月の生産計画値はその上昇分の多くが剥落する計画となっています。

汎用・業務用機械工業では、汎用機械器具部品・ボイラ・原動機、計測・分析機器が低下する計画となっています。

7月の生産計画では、5業種が上昇の計画

7月の生産計画では、全体11業種のうち5業種が前月比で上昇という計画になっています。上昇寄与が高い業種は、輸送機械工業、パルプ・紙・紙加工品工業、電気・情報通信機械工業です。

輸送機械工業では、6月に低下する乗用車、車体・自動車部品が7月は上昇する計画となっており、7月は6月計画比で1.8%上昇となっています。パルプ・紙・紙加工品工業では、パルプ・紙・板紙、紙加工品が上昇する計画となっています。また、電気・情報通信機械工業は家電・空調・照明器具、産業用電気機械が上昇する計画となっています。

6月、7月の生産計画を通してみると

5月までの2か月連続前月比上昇から、6月の生産計画は低下が見込まれています。7月の計画はそこから小幅な上昇という結果でした。

6月の生産は、実際には生産計画の集計値より低下することが考えられます。ただ、この計画値からの下振れを見込むとしても、本年第2四半期の生産は、本年第1四半期の水準を上回ることが考えられます。

一方、7月の計画は6月計画値との比で小幅な上昇にとどまっています。現時点では確たることは言えませんが、企業の計画の上方バイアスを考慮すると、7月の計画値の上昇も現時点では慎重にみておいた方がよいかもしれません。

この企業の生産計画の調査結果を踏まえると、5月の鉱工業生産は大幅に上昇したとはいえ、一時的な上昇と考えておいた方がよいでしょう。6月の企業の生産計画も上方修正され、本年第2四半期の生産は第1四半期を上回る可能性は高いものの、生産の先行きについては、現時点では引き続き慎重にみておいた方がよいものと考えます。

なお、企業の生産マインドを指標化した「アニマルスピリッツ指標」については、7月16日(火)に6月調査分に更新する予定です。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201905s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

経済解析室ニュース一覧へ戻る

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.