2019年5月の建設業活動指数は前月比上昇で、今年4回目となる大きめの前月比上昇。民間発注土木工事と公共建築工事が上昇に導く。建設業活動全体の基調は、引き続き持ち直しの動きにある。 2019年7月19日
2019年5月は2か月連続の前月比上昇、今年5か月のうち4回目の1%超の上昇
2019年5月の建設業活動は、前月比1.4%と2か月連続の上昇、指数値は114.3と、昨年1月以来となる114台にまで復帰しました。これを超える活動量となると、建設業活動が大変活発な時期だった2017年8月の114.8までさかのぼります。
前月比は、今年に入ってからの5か月のうち、実に4回目の1%を上回る大きめの上昇幅となっており、唯一低下となった3月も微減にとどまっています。昨年5月から昨年末にかけての8か月間は前月比微増1回、横ばい1回以外は前月比低下とほぼ一律な低落でしたので、これと比べれば、今年に入ってからの動きはきわめて良い動きにあり、この5月もこれを継続している、といえるでしょう。また、昨年末の指数値は108.1でしたので、これと比べれば指数値は6.2ポイントと大きく上昇、今年に入ってからの平均増分は1.24ポイントと、この5月も更に勢いを増しています。継続性、強さの両面で、今後への更なる期待感を持たせる動きをみせています。

最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、昨年後半以降、速いテンポでの低落が続いていましたが、今年1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ、この流れが5月時点でも勢いを保ちつつ継続していることが確認できます。
民間土木工事や公共建築工事が上昇、民間建築工事の低調な動きを補う
5月の建設業活動は、民間発注工事が前月比0.3%と2か月ぶりの上昇、公共工事が前月比0.3%と2か月連続の上昇となりました。今年に入ってからの動きは、双方とも5か月中4回は前月比上昇で、かつ、指数値は2019年第1四半期値を大きく上回って推移しています。民間発注工事と公共工事とも、今年に入ってからの動きは総じて順調な動きといえるでしょう。
内訳5事業でみれば、民間発注工事は建築工事が住宅、非住宅の双方とも前月比低下でしたが、土木工事が前月比大幅上昇で民間発注工事全体を上昇に導きました。公共工事は建築工事が前月比上昇で、土木工事も前月比微減にとどまり、結果、公共工事全体では前月比連続上昇となりました。

各内訳5事業の動きを細かくみていきます。
民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス1.0%と2か月連続の低下でした。指数値は2か月連続で久方ぶりに順調だった第1四半期値を下回って推移しており、5月の指数値は104台を割り込む今年の最低値と、今後の動向が懸念される動きとなっています。
非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス1.6%と5か月ぶりに低下しました。ただ、これまでの4か月間は連続で1%を超える大幅上昇で、4月の指数値は今基準内最高値を更新する142.7にまで到達していましたので、この反落的動きともみられます。第1四半期値を上回る140台と高い活動水準を維持しており、順調な活動が続いているものと考えられます。
民間・土木は前月比9.0%と2か月ぶりの上昇となりました。ここ3か月は大きめの上昇・低下を繰り返しており、動きが不安定な状況にあります。ただ、4~5月の2か月平均値では、不調だった第1四半期値を大きく上回っており、僅かながらも復調の兆しがみられます。
民間の非住宅建築と土木工事は民間企業の設備投資事業と想定されますが、この2事業を合わせた動きでみれば、今年に入ってからの動きは一貫した強い上昇傾向にあります。
公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比2.4%と2か月連続の上昇、土木工事は前月比マイナス0.4%の微減で2か月ぶりの低下でした。先月4月は、双方とも今年初めて低下となった3月の低下幅を上回る5%台の上昇幅だったことを踏まえれば、上昇した建築工事はもちろん、低下した土木工事も順調な動きといえるのかも知れません。第1四半期は、建築工事、土木工事とも四半期ベースでは久方ぶりに上昇に転じたところですが、その第1四半期の指数値を4月、5月と大きく上回る活動量をみせています。
公共工事全体としてみると、前年同月比では、2018年1月以来、16か月ぶりに前年水準越えとなりました。月単位の動きでみれば上下動が激しく不安定さはありますが、低調だった2018年第4四半期と比較すると、ここ2か月の動きには改善の兆しが感じられます。今後もこの良好な動きが継続し、活動量が好況期の水準にまで復調することに期待したいところです。
5月の建設業活動の基調は、持ち直しの動きを継続
2019年5月の建設業活動は、2か月連続の前月比上昇、しかも今年5か月間で4回の前月比上昇で、いずれも1%を超える大きめの上昇をみせています。また、指数値も7期ぶりに上昇となった第1四半期値を大きく上回っており、昨年1月以来となる114台の水準近くまで復帰しました。
内訳事業では、ここ2か月ほど民間住宅建築工事の動きには弱さがみられますが、今年に入ってからの民間企業の設備投資関連工事は総じてみれば堅調な動きといえます。また、もともと月々の動きに不安定さがある公共工事も、不透明さは残しつつも久方ぶりの前年水準越えなど、改善の兆しもみられます。
総じてみれば、建設業活動全体の5月の動きには、先月4月よりも明るさが増してきました。
先月4月時点の基調は、不透明な側面はありつつも期待値を含め上方修正し「持ち直しの動きがみられる」としていました。この先月段階の期待どおりであったことを踏まえ、5月時点の建設業活動全体の基調を、引き続き「持ち直しの動きがみられる」と評価します。
- 全産業活動指数 結果概要
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/zenkatu/html/b2010_201905j.html
- 就活でもない、終活でもない「全活」
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/pdf/zenkatsu_line.pdf
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)