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本年10月の鉱工業生産は、前月比マイナス4.2%と大幅な低下。9月の上昇の反動に加え、台風の被災も生産の低下に影響。生産は上昇と低下を繰り返しつつも、指数値は徐々に低下しており、生産の基調としては「弱含み」と判断。 2019年11月29日

10月生産は前月比マイナス4.2%と大幅な低下

本年10月の鉱工業生産は、季節調整済指数98.9、前月比マイナス4.2%と2か月ぶりの前月比低下となりました。9月は前月比1.7%と、やや大きめの上昇でしたが、10月はこの上昇幅を上回る大幅な低下となりました。この生産の低下幅は、2018年1月の前月比マイナス4.2%以来の大幅な低下となりました。

10月の生産は先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比マイナス1.6%、90%レンジ:マイナス2.6%~マイナス0.6%)と比べると、大幅な低下となりました。10月の指数値98.9は、第3四半期の指数値102.5と比べてもマイナス3.5%低い水準となっていますので、第4四半期の鉱工業生産は第3四半期と比べると、だいぶ低い水準からのスタートとなります。

10月は12業種が前月比低下

10月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇という結果でした。

9月は一部品目の大型案件等、一時的な要因もあり大きめな上昇となっていましたので、この9月の上昇からの反動減もあったことに加え、台風19号等の被災も生産の低下に影響したようです。

10月の生産低下への寄与が大きかった業種は、自動車工業、汎用・業務用機械工業、生産用機械工業でした。

低下寄与の最も大きかった自動車工業の前月比はマイナス7.8%の低下で、3か月連続の低下となっています。10月は台風19号の被災により、部品調達に支障が出て生産が低下した影響もあるようです。普通乗用車、自動車用エンジン等が低下要因となっています。

低下寄与2位の汎用・業務用機械工業の前月比はマイナス13.0%の低下で、2か月ぶりの低下となっています。コンベヤ、運搬用クレーン等が低下要因となっています。9月は一部品目で大型案件があったこともあり、汎用・業務用機械工業は前月比9.6%と大幅に上昇していましたので、その反動減もあったようです。

低下寄与3位の生産用機械工業の前月比はマイナス6.4%の低下で、2か月ぶりの低下でした。ショベル系掘削機械、化学機械等が低下要因となっています。9月は前月比8.0%と大幅に上昇していましたので、その反動減も影響したことに加え、台風19号の被災による影響もあったようです。

出荷は前月比マイナス4.3%低下

10月の鉱工業出荷は、指数値98.3、前月比マイナス4.3%と、2か月ぶりの前月比低下となりました。

業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が前月比低下、2業種が前月比上昇、1業種が前月比横ばいでした。自動車工業、汎用・業務用機械工業、生産用機械工業等が低下寄与業種となっています。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比マイナス5.6%低下、生産財の出荷は前月比マイナス3.0%低下でした。10月は、生産財より最終需要財の低下寄与の方が大きくなっていました。

最終需要財の内訳の中で、10月の出荷低下に対する寄与、影響度が最も大きかったのは資本財でした。とりわけ、資本財(除.輸送機械)は、前月比マイナス11.7%と大幅に低下しました。9月は前月比8.9%と大幅な上昇となっていましたので、その反動減もあったと考えられますが、9月の上昇幅を上回る低下幅となりました。

消費財については、耐久消費財の出荷は前月比マイナス7.1%の低下、非耐久消費財の出荷は前月比マイナス4.6%の低下となり、消費財全体では出荷は前月比マイナス4.4%の低下でした。耐久消費財については、台風等の影響が生産や販売にみられた普通乗用車や小型乗用車が特に低下していました。建設財は、前月比マイナス1.8%の低下でした。

在庫は前月比1.2%と、再び上昇

10月の鉱工業在庫は、指数値104.1、前月比1.2%と、4か月ぶりの上昇となりました。業種別にみると、15業種中、8業種が上昇、6業種が低下、1業種が横ばいでした。上昇寄与が大きかった業種としては、石油・石炭製品工業、電子部品・デバイス工業、電気・情報通信機械工業が挙げられます。

鉱工業在庫については、高い水準の状況が続いていたところから、9月は前月比マイナス1.4%と久しぶりに大幅な低下がみられたところですが、10月は再び上昇しました。

基調判断は「生産は弱含み」

本年10月の鉱工業生産は、2か月ぶりの前月比低下でした。先月時点では企業の生産計画から、それに含まれる上方バイアスの例年の傾向も考慮すると、10月は最頻値でマイナス1.6%と、もともと低下が見込まれる試算結果でしたが、実際には10月の低下幅は前月比マイナス4.2%となり、試算値を大幅に下回る低下となりました。その要因としては、10月は一部品目での大型案件等の一時的要因もあり、生産がやや大きく上昇した反動減が現れたことに加え、台風19号等の被災も生産の低下に影響したことが考えられます。

10月の指数値98.9は、7-9月までの第3四半期の指数水準102.5と比べても大幅な低下となりました。鉱工業生産はこのところ上昇と低下を繰り返しつつも、指数は徐々に低下しており、生産に弱さが感じられる状況は続いています。

先行きは、企業の生産計画では11月は低下、12月は上昇となっています。企業の生産計画値に上方バイアスが含まれていることを考慮すると、11月の鉱工業生産は低下の見込みが高いと考えられます。また、12月も現時点では確たることは言い難いものの、大幅な上昇までは見込み難いものと考えられます。

鉱工業生産の基調判断については、8月以来、「生産はこのところ弱含み」としていましたが、このように生産に弱さが感じられる状況が続いていることを踏まえ、10月の基調判断は、「生産は弱含み」とし、引き続き先行きを注視したいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201910s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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