本年10月は、輸出向け出荷は前月比で上昇したものの、国内向け出荷が前月比で大幅に低下。国内向け出荷の低下には、特に資本財、生産財の低下寄与が大きかった。 2019年12月6日
本年10月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で98.3、前月比マイナス4.3%と、2か月ぶりの低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス6.2%と2か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は前月比2.0%と2か月ぶりの上昇でした。
10月は輸出向け出荷は上昇したものの、国内向け出荷の低下寄与が大きく、鉱工業出荷全体では大幅に低下することとなりました。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、10月の指数値は96.7となりました。国内向け出荷はこのところ上昇と低下を繰り返しており、9月は前月比2.9%上昇しましたが、10月はこの上昇幅より大きく低下しました。水準としても現行2015年基準で最低水準まで低下しており、今後の動向を注意してみていきたいと考えます。
一方、輸出向け出荷指数は、国内向け出荷とやや異なる動きをしています。輸出向け出荷指数は2018年後半以降、均して見れば低下傾向がみられます。10月は上昇したとはいえ、その上昇幅も9月の低下幅を上回るほどではなく、依然注意が必要です。
業種別の動き
10月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中11業種が前月比低下でした。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業で、それに次ぐ低下寄与をみせたのは汎用・業務用機械工業、生産用機械工業でした。
10月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中7業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。それに次いで、生産用機械工業の上昇寄与が大きくなっていました。
需要先用途別の動き
10月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比マイナス3.1%と2か月ぶりの低下でした。輸出向け出荷は前月比0.6%と2か月ぶりの上昇でした。10月は、鉱工業生産が大幅に低下したこともあり、鉱工業用生産財の国内向け出荷も低下したようです。
設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比マイナス19.1%と4か月ぶりの低下で、10月は大幅な低下となりました。9月は15.6%と大幅な上昇でしたので、その反動もあると考えられますが、10月は9月の上昇幅を上回る低下となり、水準も大きく低下しています。今後の動向を注意してみていきたいと考えます。一方、輸出向け出荷については、前月比3.2%と2か月ぶりの上昇となりました。
消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス8.9%と2か月連続の低下となり、輸出向け出荷についても前月比マイナス1.8%と2か月連続の低下となりました。耐久消費財の国内向け出荷の低下については、10月に大きく低下した輸送機械工業の影響が大きくなっていますが、今後の動向を注意してみていきたいと考えます。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス5.1%と5か月ぶりの低下、輸出向け出荷は前月比4.1%と2か月ぶりの上昇となりました。
国内向け、海外向けそれぞれの財別の寄与度でいうと、国内向け出荷では設備投資向けとなる資本財や、部品や原料等といった生産財が低下に特に大きく寄与していました。輸出向け出荷では、逆にこれらの財は上昇に寄与していました。
輸出仕向け先別の動向
10月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国向け、ASEAN向けが前月比で低下したものの、その他地域向け、中国向け、米国向け等の出荷が前月比で上昇し、輸出向け出荷は2か月ぶりの上昇となりました。
アジア向け出荷指数の動向をみると、中国向け出荷については、引き続き昨年より低い水準にあるものの、2018年後半から2019年初頭までの大幅な低下からは、やや戻してきているようにも見えます。他方、ASEAN向け及び韓国向けについては、低下傾向が続いているように見えます。いずれにしても、アジア向け出荷の動向については、今後も注意が必要と考えられます。
欧米向け出荷指数の動向をみると、米国向け出荷、欧州向け出荷は10月は上昇しました。ただ、2017年以降上昇傾向が続いていた米国向け出荷は、本年6月以降低下傾向がみられ、10月の上昇も大きなものではありません。今後の動向を注意してみていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-201910.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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