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本年11月の鉱工業生産は、前月比マイナス0.9%の低下。前月大幅に低下した自動車工業は上昇したものの、生産用機械工業等の低下により、2か月連続の低下となった。11月の基調判断としては「生産は弱含み」を据え置き。 2019年12月27日

11月生産は前月比マイナス0.9%と低下

本年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数97.7、前月比マイナス0.9%と2か月連続の前月比低下となりました。10月は前月比マイナス4.5%と大幅な低下となりましたが、11月も引き続き低下となりました。生産水準をみても、11月の生産は、2013年4月の指数値97.7と同水準となり、大幅に低下しています。

ただ、低下したとはいえ、先月時点での企業の生産計画の上方バイアスを補正した試算値(最頻値で前月比マイナス1.8%)と比べると、低下幅は縮小しました。

11月は12業種が前月比低下

11月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇という結果でした。

11月は、10月に生産が大幅に低下した自動車工業を始め、輸送機械工業(除.自動車工業)、電子部品・デバイス工業では上昇となったものの、多くの業種で10月に続き低下した形となりました。

11月は特に生産用機械工業の低下寄与が大きくなっていました。次いで、電気・情報通信機械工業、その他工業等が低下寄与業種として挙げられます。

低下寄与の最も大きかった生産用機械工業は、前月比マイナス8.9%の低下で、2か月連続の低下となりました。10月の台風の被災により生産が低下した影響が続いている品目もあり、低下寄与が大きくなりました。ショベル系掘削機械、半導体製造装置等が低下要因となっています。

低下寄与2位の電気・情報通信機械工業の前月比はマイナス2.9%の低下で、2か月連続の低下となっています。リチウムイオン蓄電池、非標準変圧器等が低下要因となっています。

低下寄与3位のその他工業の前月比はマイナス2.0%の低下で、2か月連続の低下でした。平版印刷(オフセット印刷)、工業用ゴム製品等が低下要因となっています。

出荷は前月比マイナス1.7%低下

11月の鉱工業出荷は、指数値96.4、前月比マイナス1.7%と、2か月連続の前月比低下となりました。

水準としては、今基準内での最低水準となっています。11月の出荷の低下幅は、生産の低下幅より大きなものとなりました。ただ、これは、単月での出荷の振れ幅が大きい輸送機械工業(除.自動車工業)の低下寄与が大きかったことが影響しています。同業種の影響を除けば、11月の出荷の低下幅は生産の低下幅ほどではなかったと考えられます。

業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が前月比低下、5業種が前月比上昇でした。特に輸送機械工業(除.自動車工業)の低下寄与が大きく、次いで生産用機械工業、電気・情報通信機械工業等が低下寄与業種となっています。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、最終需要財の出荷は前月比マイナス2.7%の低下、生産財の出荷は前月比マイナス0.5%の低下でした。

最終需要財の内訳の中で、11月の出荷低下に対する寄与、影響度が最も大きかったのは資本財でした。資本財(除.輸送機械)をみても、前月比マイナス6.1%と大幅に低下しました。10月も前月比マイナス11.9%と大幅な低下でしたので、2か月連続での大幅な低下となっています。製造工業生産予測調査の結果では、資本財(除.輸送機械)の生産計画は先行き上昇となっていますが、今後実際に出荷が回復していくか、注視していきたいと考えます。

また、建設財は、前月比マイナス3.1%の低下となり、2か月連続での低下となりました。

消費財については、耐久消費財の出荷は前月比2.7%の上昇で、3か月ぶりの上昇となりました。耐久消費財の出荷は、9月、10月と連続で低下していましたが、11月はそこから反発した形です。非耐久消費財の出荷は前月比1.2%の上昇となり、2か月ぶりの上昇となりました。非耐久消費財の出荷は、10月は低下したものの、11月は反発しました。消費財全体では出荷は前月比0.6%の上昇で、2か月ぶりの上昇となりました。

在庫は前月比マイナス1.1%と、再び低下。ただし在庫率は上昇が続く。

11月の鉱工業在庫は、指数値103.1、前月比マイナス1.1%と、2か月ぶりの低下となりました。業種別にみると、15業種中、8業種が低下、7業種が上昇でした。低下寄与が大きかった業種としては、自動車工業、石油・石炭製品工業、電気・情報通信機械工業が挙げられます。

鉱工業在庫については、本年前半まで上昇が続き、高い水準となっていましたが、本年7月以降は、徐々に低下がみられます。10月は4か月ぶりに上昇したものの、11月は再び低下しました。今後も在庫調整が進んでいくことが期待されます。

ただ、11月は在庫は低下したものの、出荷も低下したことから、在庫率は前月比1.8%の上昇となりました。在庫率はいまだ上昇傾向が続いており、在庫の動向は引き続き注視していきたいと考えます。

基調判断は「生産は弱含み」を据え置き

本年11月の鉱工業生産は、2か月連続の前月比低下でした。先月時点での企業の生産計画からの試算結果(最頻値でマイナス1.8%)と比べると、11月の低下幅は縮小したとはいえ、10月の大幅な低下に続いての低下となりました。生産水準も大幅に低下しており、足元では生産に弱さが感じられる状況が続いています。

一方、先行きは、企業の生産計画では12月、1月ともに上昇となっています。企業の生産計画値に上方バイアスが含まれていることを考慮しても、12月の鉱工業生産は、低下より上昇の見込みの方がやや高いと考えられます。また1月は、現時点では確たることは言い難いものの、上昇の見込みは高いと考えられます。

このように先行きには上昇に転ずる兆しもみられるものの、鉱工業生産の足元の動きは、10月、11月と低下が続き、生産水準も大きく低下しています。こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の11月の基調判断としては「生産は弱含み」を据え置きつつ、今後、実際に生産が回復していくのか、先行きを注視したいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-201911s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
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