2019年11月は、国内向け出荷は前月比で上昇したものの、輸出向け出荷は前月比で大幅に低下。輸出向け出荷の低下には、特に資本財の低下寄与が大きかった。 2020年1月10日
2019年11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で96.4、前月比マイナス1.7%と、2か月連続の低下となりました。内需(国内向け出荷)は前月比0.2%と2か月ぶりの上昇、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス6.3%と2か月ぶりの低下でした。
11月は国内向け出荷は上昇したものの、輸出向け出荷の低下寄与が大きく、鉱工業出荷全体では低下することとなりました。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、11月の指数値は96.6となりました。国内向け出荷は10月に前月比マイナス6.5%と大幅に低下しており、11月は上昇したとはいえ、10月の低下幅を考えると大きな戻りではありません。水準としては、現行2015年基準で最低水準となった前月に次いで低い水準にとどまっています。
一方、輸出向け出荷指数は、11月の指数値は96.5となり、前月と比べ大幅に低下しました。水準としては2016年8月の指数値96.4以来の水準まで低下しています。輸出向け出荷が11月に前月比マイナス6.3%という大幅な低下となったのは、単月での振れが大きい、11月の鉱工業出荷でも低下寄与業種1位であった輸送機械工業(除.自動車工業)での大幅な低下の影響が大きいですが、この影響を除いても、輸出向け出荷は低下したと考えられます。
国内向け出荷と輸出向け出荷の動きを比べてみると、輸出向け出荷は、2018年前半まで上昇傾向であったものの、2018年後半以降、低下傾向が続いているように見えます。他方、国内向け出荷は、輸出向け出荷と比べると安定して推移していたものの、2019年10月以降、水準は大きく低下しています。
今後、国内向け出荷と輸出向け出荷はそれぞれどのように推移していくのか、注意してみていきたいと考えます
業種別の動き
11月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中5業種が前月比上昇でした。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が上昇していました。
それに次ぐ上昇寄与をみせたのは汎用・業務用機械工業でした。なかでもボイラ・原動機、分析機器・試験機等が上昇していました。
11月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中9業種が前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも船舶・同機関、産業車両等が低下していました。
次いで、生産用機械工業の低下寄与が大きくなっていました。なかでも建設・鉱山機械、その他の生産用機械等が低下していました。
需要先用途別の動き
11月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下でした。輸出向け出荷は前月比マイナス2.1%と2か月ぶりの低下でした。11月は、鉱工業生産が低下したこともあり、鉱工業用生産財の国内向け出荷も低下したようです。
設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比マイナス2.0%と2か月連続の低下でした。10月はマイナス19.3%と大幅な低下でしたが、11月も引き続き低下となり、指数値も91.5と、水準も大きく低下しています。一方、輸出向け出荷については、前月比マイナス9.2%と2か月ぶりの大幅な低下となり、指数値も97.9まで低下しました。資本財(除.輸送機械)の出荷については、国内向け、輸出向けとも水準が大きく低下しており、今後の動向を注意して見ていきたいと考えます。
建設財については、国内向け出荷は前月比マイナス2.7%と2か月連続の低下でした。輸出向け出荷は前月比0.6%と2か月連続の上昇でした。
消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比3.0%と3か月ぶりの上昇となりました。輸出向け出荷については、前月比マイナス0.2%と3か月連続の低下となりました。耐久消費財の国内向け出荷の上昇については、9月の低下に次ぐ10月の大幅な低下から反発した形です。ただ、まだ9月、10月の低下分を取り戻すほどの上昇ではありません。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比1.3%と2か月ぶりの上昇、輸出向け出荷は前月比1.3%と2か月連続の上昇となりました。非耐久消費財の国内向け出荷の上昇についても、10月の大幅な低下から反発した形です。ただ、まだ10月の大幅な低下を取り戻すほどの上昇ではありません。
国内向け、海外向けそれぞれの財別の寄与度でいうと、国内向け出荷では耐久消費財や非耐久消費財が上昇に寄与していました。一方、輸出向け出荷では、特に資本財が低下に大きく寄与しており、次いで生産財も低下に寄与していました。
輸出仕向け先別の動向
11月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国向けは前月比で上昇したものの、米国向け、欧州向け、中国向け、その他地域向け等の出荷が前月比で低下し、輸出向け出荷は2か月ぶりの低下となりました。
アジア向け出荷指数の動向をみると、韓国向けについては11月は上昇したものの、中国向け、ASEAN向けは低下となりました。
欧米向け出荷指数の動向をみると、米国向け、欧州向けがともに低下となりました。2019年前半まで好調に推移してきた米国向けも、ここ半年ほどは低下傾向がみられます。
輸出向け出荷の仕向け地別動向をみると、このところ、アジア向けのみならず欧米向けでも弱さが感じられるようになってきています。今後の動向を注意してみていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-201911.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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