経済産業省
文字サイズ変更
アクセシビリティ閲覧支援ツール

昨年12月の生産予測調査では、前年同月実績比や予測修正率、アニマルスピリッツ指標いずれの動きからも、生産マインドに弱気な側面がみられる。ただ1月計画までみれば生産マインドに改善の兆しも見える、12月の調査結果。 2020年1月20日

経済解析室では、毎月初旬にその月と翌月の生産計画を、主要製品の主要企業について調査しています。今回は、昨年12月初旬に調査した12月と本年1月の生産計画の状況と、12月初旬段階での企業のマインド、つまり生産計画や見込みが強気だったのか、弱気だったのかを紹介します。

昨年12月の生産計画とその補正値

昨年12月の生産計画については、前月比2.8%の上昇を見込むという結果になっています。この計画どおりに実際に生産されれば、12月の鉱工業生産の実績は、2か月ぶりの前月比上昇となります。

本年1月の生産計画は、この12月計画からさらに2.5%の上昇という生産計画になっています。

毎月、生産計画に対して生産実績は下振れする傾向にあります。そこで、調査月の結果については、その生産計画に含まれている実績からの「ずれ」を統計的に処理して、補正計算をしています。今回の調査結果で計算したところ、昨年12月の結果については、前月比0.4%程度の上昇になるという結果でした。

生産計画の伸びを当てはめた鉱工業生産のグラフ

この生産計画の伸びを昨年11月までの鉱工業生産指数に当てはめてグラフ化すると下のようになります。

12月は調査結果そのままの前月比でみれば、前月比2.8%の上昇で指数水準は100.3となる計画ですが、この12月計画値に含まれる傾向的なバイアスを補正すると、前月比0.4%の上昇で指数水準は98.0となる推計結果となります。

本年1月の生産計画は、仮に昨年12月に企業が生産計画値の前月比をそのまま達成したとすると、その水準から前月比プラス2.5%の上昇となり、102.8の指数水準まで上昇することになります。実際には、12月の生産が計画値を下回ると、12月に生産できなかった分が1月に生産されることもあるため、現時点では判断が難しい面もありますが、先述の企業の生産計画の上方バイアスを考えると、1月の生産は、この計画値より低下することが考えられます。

生産計画の強気と弱気

前年実績と生産計画の水準を比較すると、この生産計画がどの程度、強気なのか弱気なのかの一つの目安となります。

12月の生産計画は、前年同月実績比でマイナス2.9%と3か月連続の低下を見込んでいます。12月は単に前年実績との比較でみれば、弱い生産計画となっています。

ただ、翌1月計画まで見ると前年同月実績比で1.1%とプラスに転ずる見込みとなっており、11月実績(マイナス9.8%)から12月見込(マイナス2.9%)、1月見込(1.1%)と急速に改善する計画となっています。12月は、11月までに大きく低下した生産水準を戻していく途上ともみられ、1月までみれば、不確実性もあるものの強気に転ずる兆しも見えます。

また、生産予測調査は、その調査月と翌月の生産計画を調べているので、同じ月の生産計画を2回調べる仕組みになっています。調査月の生産計画が、前回調査の生産計画からどのくらい変動したのかを予測修正率といいます。

12月の予測修正率はマイナス0.2%となり、3か月連続で下方修正されています。予測修正率からも12月はやや弱気の側面がみられる結果となっています。

ただ、10月、11月の予測修正率と比べると12月は小幅な下方修正にとどまっており、また、10月の台風19号等の被災の影響が長引いている企業もあることを考えれば、12月の予測修正率はマイナスとはいえ、そう大きなものではないと考えることもできます。

各社品目ごとに生産計画を上方修正した数と下方修正した数を比較して、その比率の差分を計算した指標を「アニマルスピリッツ指標」と呼んでおり、企業の生産計画の強気、弱気の度合いを推し量る指標として活用しています。

12月調査結果では、アニマルスピリッツ指標はマイナス7.1となり、11月調査結果でのマイナス9.2から2か月ぶりに上昇しています。

この指標の推移とこれまでの景気循環を重ねると、概ねマイナス5を下回ると景気後退局面入りしている可能性が高いという傾向が見られています。月々の上下動をならしたトレンドでみてもマイナス5を下回っており、このところの動きに弱さがみられます。この傾向が今後も続くかについて、注意して見ていきたいと考えます。

12月調査では、強気の割合が増加し、弱気の割合が減少したことにより、アニマルスピリッツ指標は上昇したものの、マイナス5を下回る水準が続いています。生産計画を下方修正した弱気の割合が3割を超えた状態が続くなかで、12月は上方修正した強気の割合は上昇しましたが、小幅な上昇にとどまっています。

昨年12月の調査結果では、前年同月実績比や予測修正率、アニマルスピリッツ指標いずれの動きからも生産マインドは弱気な側面がみられる結果となりました。

ただ、本年1月の生産計画までみれば、前月比で上昇、前年同月実績比でみてもプラスの計画で、強気に転ずる兆しも見えます。今後この1月以降の生産計画がどのように推移するのか、生産の先行きについては、引き続き注意してみていく必要があると考えられます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/result-1.html
予測指数解説集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/yosoku/sanko/result-yosoku-sanko-201912.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2851)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)

経済解析室ニュース一覧へ戻る

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.