2019年１２月のサービス産業活動は、前月比マイナス０.２％と２か月ぶりの低下。「運輸業，郵便業」、卸売業といったモノの動きに関連した業種や、事業者向け関連サービス等が低下に寄与。基調判断は「足踏みがみられる」を据え置き。 2020年2月14日
- 2019年１２月の第３次産業活動指数は、前月比低下
- 業種ごとの動向
- 対個人／対事業所サービスの動向
- 製造業／非製造業依存型事業所向けサービスの動向
- 非選択的／し好的個人向けサービスの動向
- 2019年第４四半期は、５期ぶりの前期比低下
- １２月の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き
2019年１２月の第３次産業活動指数は、前月比低下
2019年１２月のサービス産業（第３次産業）活動指数は、指数値１０５.３、前月比マイナス０.２％と２か月ぶりの低下となりました。
サービス産業活動は昨年９月まで３か月連続の上昇、特に９月は前月比２.３％と大幅な上昇をみせた後、１０月は一転し前月比マイナス５.２％と、大幅な低下となりました。１１月はそこから反発し前月比１.４％上昇したものの、１２月はわずかながら低下となりました。
四半期ベースでは、昨年第４四半期の指数値は１０４.９となり、前期比マイナス２.８％の低下となりました。
業種ごとの動向
１２月の業種別の動きをみると、６業種が前月比低下、５業種が前月比上昇という結果となりました。
特に低下寄与が大きかった業種は、「運輸業，郵便業」、卸売業、事業者向け関連サービスが挙げられます。１２月はモノの動きに関連した業種や、主に事業所向けとみられるサービスが低下寄与業種となっていました。
「運輸業，郵便業」に関しては、１２月は前月比マイナス２.０％低下と、２か月ぶりの低下となりました。特に郵便業（信書便事業を含む）が前月比マイナス１１.７％と大きく低下しました。内国郵便が低調で、特に本年元旦の年賀郵便配達物数が前年比で大きく低下したことにみられるように、年賀郵便の引受が低調であったことも、１２月の郵便業の活動低下に影響しました。「運輸業，郵便業」は１０月に前月比マイナス５.９％と大きく低下し、１１月はそこから小幅に戻したものの、１２月は更に低下しました。
卸売業は、前月比マイナス１.２％と、２か月ぶりの低下となりました。特に「建築材料，鉱物・金属材料等卸売業」、飲食料品卸売業の低下寄与が大きくなっていました。卸売業は１０月に前月比マイナス８.８％と大きく低下し、１１月はそこから小幅に戻したものの、１２月は再び低下となり、低い水準にとどまっています。
事業者向け関連サービスは、前月比マイナス０.７％と、２か月ぶりの低下となりました。特に土木・建築サービス業やエンジニアリング業が低下に寄与していました。
対個人／対事業所サービスの動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。
１２月の対個人サービス活動指数は、指数値１０６.０、前月比０.０％と横ばいでした。対事業所サービス活動指数は、指数値１０３.６、前月比マイナス１.３％と２か月ぶりの低下でした。１２月は対事業所サービスの低下が、サービス産業活動指数を押し下げた形です。
製造業／非製造業依存型事業所向けサービスの動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
１２月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比０.０％と横ばいでしたが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス２.４％と、３か月連続の低下となりました。
非製造業依存型事業所向けサービスは、１０月は大幅な低下をみせたものの、１１月は上昇、１２月は横ばいといったように、小幅ながら戻りがみられますが、製造業依存型事業所向けサービスは、１０月に大幅に低下した後、１１月、１２月も低下が続いています。後者の低下については、昨年第４四半期の製造業の弱さも影響しているように考えられます。
非選択的／し好的個人向けサービスの動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの動向についてみてみると、１２月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス０.７％と２か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスは前月比１.３％と２か月連続の上昇でした。し好的個人向けサービスは、１０月は前月比マイナス１０.７％と大幅な低下でしたが、１１月、１２月と上昇が続いており、活動水準は未だ低いものの、１０月の低下からの戻りがみられます。
2019年第４四半期は、５期ぶりの前期比低下
四半期ベースでみると、2019年第４四半期は、先述のように前期比マイナス２.８％の低下となり、５期ぶりの低下となりました。低下幅は、2014年第２四半期と並ぶ今基準内最大の低下幅となりました。
業種別にみると、事業者向け関連サービス、「医療，福祉」、物品賃貸業（自動車賃貸業を含む）は上昇したものの、その他の業種は低下しました。特に、卸売業、小売業の低下寄与が大きくなっていました。
１２月の基調判断は、「足踏みがみられる」を据え置き
2019年１２月のサービス産業活動指数は前月比マイナス０.２％と、２か月ぶりの前月比低下でした。サービス産業活動は、１０月に前月比マイナス５.２％と大幅に低下した後、１１月は上昇したものの、１２月はわずかながら再び低下と、９月までの上昇基調から一転、足踏みがみられます。
１２月は、業種別にみると、「運輸業，郵便業」、卸売業といった、特にモノの動きに関連する業種で低下がみられました。小売業も１２月は微増にとどまり、１０月の大幅な低下以来、低い水準にとどまっています。また、対個人／対事業所サービスと二分してみると、対事業所サービスに低下がみられ、サービス産業活動指数を押し下げることとなりました。
１月以降は、製造工業生産予測調査の１月調査の結果では、製造工業の生産は上昇が続く計画となっており、１２月まで低調であったモノの動きも回復が見込まれています。ただ、この調査結果は新型肺炎の影響は織り込まれていないため、実際には今後大きく変動する可能性もあります。
このように先行きには不確実性も多分にありますが、１２月のサービス産業（第３次産業）活動指数の基調判断としては、「足踏みがみられる」を据え置き、先行きを注視していきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-201912.html
- 『就職にも使える！ 第３次産業活動指数』（マンガ）
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511（代表）（内線2854）、03-3501-1644（直通）
FAX : 03-3501-7775
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