本年3月のサービス産業活動は、前月比マイナス4.2%と2か月連続の低下。3月は感染症の影響がし好的個人向けサービスを中心に広がり、指数値は大幅に低下した。基調判断は「急落している」と下方修正。 2020年5月18日
- 本年3月の第3次産業活動指数は、前月比で大幅な低下
- 業種ごとの動向
- 対個人/対事業所サービスの動向
- 製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
- 非選択的/し好的個人向けサービスの動向
- 3月の基調判断は、「急落している」と下方修正
本年3月の第3次産業活動指数は、前月比で大幅な低下
本年3月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値96.9、前月比マイナス4.2%と2か月連続の低下となりました。
サービス産業活動は昨年10月に大幅に低下した後、11月以降、3か月連続で活動水準を戻してきましたが、2月は前月比マイナス0.7%と、やや大きめの低下となったのに続き、3月は大幅な低下となりました。
もともと2月は、1月までの連続上昇や1月の春節によるインバウンド需要増からの反落に加え、宿泊業、旅行業、「飲食店,飲食サービス業」等の生活娯楽関連サービスを中心に、新型コロナウイルス感染症の影響も現れ始め、やや大きめの低下となりましたが、3月はその影響が大きく広がったことにより、指数値は急落しました。3月の低下幅(前月比マイナス4.2%)は、2014年4月や2019年10月の前月比マイナス5.5%に次ぐ大きさとなっており、指数値96.9は、2015年を100とする今基準内で最低の水準となっています。
業種ごとの動向
3月の業種別の動きをみると、7業種が前月比低下、4業種が前月比上昇という結果となりました。
特に低下寄与が大きかった業種は、生活娯楽関連サービス、「運輸業,郵便業」、小売業が挙げられます。2月も低下していた生活娯楽関連サービス、「運輸業,郵便業」が3月も低下したことに加え、2月は上昇していた小売業も、3月は低下となりました。
生活娯楽関連サービスに関しては、3月は前月比マイナス24.8%と、2か月連続の低下となり、急激に低下しています。3月は特に、「飲食店,飲食サービス業」、遊園地・テーマパーク、スポーツ施設提供業、宿泊業が低下しました。3月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の一方、2月下旬からの大規模イベント自粛要請や、各都道府県知事からの週末の外出自粛要請などもあり、これらの業種での利用客数の顕著な減少や休業、インバウンド需要減少等の動きが低下に大きく影響したものと考えられます。指数値、低下幅とも、今基準内でも群を抜いて低い最低値となりました。
「運輸業,郵便業」は、前月比マイナス16.7%と、2か月連続の低下となりました。特に旅客運送業が、前月比マイナス50.1%と大きく低下し、内訳の鉄道、道路、水運、航空ともすべて低下していました。3月はイベントの自粛や外出・出張などを控える動きを通じて、新型コロナウイルス感染症の影響が国際のみならず国内旅客運送全般にも拡大した形となり、指数値、低下幅とも、やはり今基準内でも群を抜いて低い最低値となりました。
小売業は、前月比マイナス5.2%と、5か月ぶりの低下となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で、営業時間の短縮や休業、インバウンド需要の減少などもあり、織物・衣服・身の回り品小売業やその他の小売業(別掲を除く住関連)、各種商品小売業等が低下していました。
対個人/対事業所サービスの動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。
3月の対個人サービス活動指数は、指数値93.8、前月比マイナス6.4%と2か月連続の低下でした。対事業所サービス活動指数は、指数値100.0、前月比マイナス2.1%と2か月連続の低下でした。3月は対個人サービス、対事業所サービスともに低下していましたが、感染症の感染拡大による外出自粛や営業時間短縮、休業等の影響をより直接的に受けた対個人サービスの方がより大きく低下しました。
製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
3月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス2.3%と3か月ぶりの低下でしたが、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス2.5%と、2か月連続の低下となりました。
製造業依存型事業所向けサービスは、昨年10月、12月と低下した後、本年1月以降、上昇が続きましたが、3月は低下することとなりました。他方、非製造業依存型事業所向けサービスは、2カ月連続の低下となりました。
非選択的/し好的個人向けサービスの動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの動向についてみてみると、3月は非選択的個人向けサービスは前月比0.4%と横ばいを挟んでの2か月ぶりの上昇であった一方、し好的個人向けサービスは前月比マイナス15.4%と2か月連続の低下でした。昨年10月に大幅に低下していた、し好的個人向けサービスは、その後3か月連続で戻していたものの、2月以降再び低下となり、特に3月は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により大きく低下した形となりました。
3月の基調判断は、「急落している」と下方修正
本年3月のサービス産業活動指数は、前月比マイナス4.2%と、2か月連続の前月比低下となりました。サービス産業活動は、11月以降は3か月連続で上昇していたものの、2月からは新型コロナウイルス感染症の影響も現れ始め、やや大きめの低下となっていましたが、3月はその影響が大きく広がり、活動水準は急落しました。
特に、3月は対個人向けサービスの方が低下し、その中でもし好的個人向けサービスが大きく低下に寄与しました。新型コロナウイルスの感染拡大により、インバウンド需要が蒸発したのみならず、各種の自粛の広がり、営業時間短縮・休業等が大きく影響し、個人の消費が幅広く手控えられたことが要因として考えられます。
4月も新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が出され、16日にはその対象が全都道府県に拡大したことも考えると、サービス産業活動は今後も低い水準が続くことが見込まれます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の3月の基調判断としては、「急落している」と下方修正し、先行きを注視していきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202003.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
問合せ先
経済産業省 大臣官房 調査統計グループ 経済解析室
電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
FAX : 03-3501-7775
E-MAIL : bzl-qqcebc■meti.go.jp (■を@に置き換えてください)