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4月の鉱工業出荷は、国内向け、輸出向けとも前月比で2か月連続低下。特に輸出向け出荷は2か月連続で前月比二桁台の大幅マイナスとなった。 2020年6月8日

国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で大幅低下

本年4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で85.0、前月比マイナス8.8%と2か月連続の低下でした。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス7.4%の低下、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス12.6%の低下と、ともに2か月連続の低下でした。特に輸出向け出荷は3月に続いての二桁台のマイナスとなり、国内向け・輸出向けとも大幅な低下となりました。

出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、4月の指数値は87.4となりました。国内向け出荷は、昨年10月に大幅に低下し、小幅な回復が続いたものの低い水準で推移し、3月に低下に転じたあと、4月は大幅な低下となりました。3月に続き、2015年基準の最低水準を更新しました。

輸出向け出荷指数は、4月の指数値は77.7となりました。2018年後半以降、低下傾向が続いており、2月は4か月ぶりに上昇に転じたものの、3月、4月と大幅に低下し、国内向け出荷と同様、2015年基準の最低水準を更新しました。

業種別の動き

4月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中11業種が前月比低下でした。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。

それに次ぐ低下寄与をみせたのは鉄鋼・非鉄金属工業でした。なかでも非鉄金属精錬・精製品、非鉄金属鋳物等が低下していました。

4月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中10業種が前月比低下となりました。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が低下していました。

次いで、汎用・業務用機械工業の低下寄与が大きくなっていました。なかでもポンプ・圧縮機器、光学機器・レンズ等が低下していました。

需要先用途別の動き

4月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。

まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比マイナス10.8%と2か月連続の低下でした。輸出向け出荷は前月比マイナス10.7%と2か月連続の大幅低下でした。国内・海外ともに鉱工業の生産活動が低迷したこともあり、生産財の出荷も国内向け・海外向けともに大きく低下したようです。

設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比8.6%と3か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は、前月比マイナス4.6%と2か月連続の低下となりました。

建設財については、国内向け出荷は前月比マイナス0.7%と2か月連続の低下でした。輸出向け出荷は前月比マイナス8.8%と2か月連続の低下でした。

消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス26.4%と3か月連続の低下となりました。輸出向け出荷についても、前月比マイナス46.7%と2か月連続の大幅低下となりました。国内向け・輸出向けとも、乗用車の低下寄与が特に大きかったようです。

非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス0.9%と2か月連続の低下、輸出向け出荷は前月比7.4%と2か月ぶりの上昇となりました。

国内向け、輸出向けそれぞれの財別の寄与度でいうと、国内向け出荷では資本財(除.輸送機械)を除くすべての財が低下しており、特に生産財が低下に寄与していました。

輸出向け出荷では非耐久消費財を除くすべての財が低下し、生産財、耐久消費財等が低下に大きく寄与していました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界的に企業の生産・販売両面に大きく影響したことも背景にあると考えられます。

輸出仕向け先別の動向

4月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、中国、韓国向けは上昇したものの、米国、欧州向けが大幅な低下となっています。中国では経済活動再開の動きもみられましたが、欧米では厳しい外出制限等の措置がとられた影響もあると考えられます。米国、欧州向けともに、乗用車が特に低下に寄与したようです。

輸入品、総供給の動向

一方、輸入の動向をみると、4月は前月比3.1%と2か月連続の上昇となりました。2月に前月比マイナス13.5%と大きく低下し、3月にこの低下分を取り戻したあとの上昇となっています。中国からの輸入が上昇に寄与しています。

業種別の動向をみると、13業種中8業種が前月比上昇となっていました。一方、国産が前月比マイナス7.6%と2か月連続の低下となり、鉱工業総供給も、前月比マイナス4.9%と2か月ぶりの低下となりました。

4月の輸入の上昇は、特に電気・情報通信機械工業が寄与していました。電子計算機や情報端末装置等が上昇に寄与していました。

4月の出荷は国内向け・輸出向けともに大幅に低下し、2015年基準で最も低い水準となりました。これは、新型コロナウイルスの感染が内外ともに拡大し、国内でも緊急事態宣言が発せられたことにより、国内外で様々な経済活動が制限された影響が大きいと考えられます。5月は諸外国でも経済活動再開の動きがみられるとともに、我が国の緊急事態宣言も地域ごとに解除されるなどの動きもありましたが、内外の需要回復にはまだしばらく時間がかかるものと考えられ、またサプライチェーンの混乱にも注意が必要です。5月以降も当面、出荷は国内向け・輸出向けとも低い水準が続くおそれもあり、それぞれどのように推移していくのかが注目されます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202004.html
鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html

問合せ先

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