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本年5月の鉱工業生産は、前月比マイナス8.4%と4か月連続の低下。感染症の影響により大幅な低下となり、指数値も今基準内の最低水準を再び大幅に更新。5月の基調判断は「生産は急速に低下している」を据え置き。 2020年6月30日

5月生産は前月比マイナス8.4%と、4か月連続の低下

本年5月の鉱工業生産は、季節調整済指数79.1、前月比マイナス8.4%と、4か月連続の前月比低下となりました。5月当初の企業の生産計画では前月比マイナス4.1%低下、これに含まれる例年のバイアスを補正した試算値では、最頻値で前月比マイナス5.7%(90%レンジでマイナス6.6%~マイナス4.7%)の低下となっていましたが、試算値を大幅に下回る低下となりました。

生産は、2月から新型コロナウイルス感染症の影響が現れ、2月は前月比マイナス0.3%の低下、3月は同マイナス3.7%の低下、4月は同マイナス9.8%の低下と感染症の影響は急速に拡大してきましたが、5月の生産は4月に次いで、大幅な低下となりました。5月の季節調整済指数79.1は、再び今基準内の最低水準を大幅に更新しました。

5月は15業種すべてが前月比低下

5月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、すべての業種が前月比低下という結果でした。

5月は、自動車工業、生産用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業を始め、幅広い業種で大幅な低下がみられました。

生産は4月、5月と大幅な低下が続きましたが、業種別の低下寄与をみると、4月は自動車工業の低下寄与が6割弱と特に大きかったのに対し、5月はその低下寄与は3割程度となっており、生産の低下は4月より幅広い業種に拡大した様子がみられます。

低下寄与の最も大きかった自動車工業は、前月比マイナス23.2%の低下で、4か月連続での低下となりました。原指数でみても前年同月比マイナス61.2%まで低下しており、大幅な生産調整が行われたことがわかります。普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品等が低下要因となっています。新型コロナウイルス感染症の影響で、新型車の需要が低迷しており、部品も含めて生産調整が行われたことが低下の要因としてあるようです。

低下寄与2位の生産用機械工業は、前月比マイナス12.0%の低下で、2か月ぶりの大幅な低下でした。フラットパネル・ディスプレイ製造装置、金型、ショベル系掘削機械等が低下要因となっています。4月に上昇した品目の反動減や、感染症の影響で受注が減少したことが低下の要因としてあるようです。

低下寄与3位の鉄鋼・非鉄金属工業は、前月比マイナス13.8%の低下で、3か月連続の低下でした。特殊鋼熱間圧延鋼材や普通鋼鋼帯等が低下要因となっています。感染症の影響で受注が減少したことが低下の要因にあるようです。

出荷は前月比マイナス8.4%の低下

5月の鉱工業出荷は、季節調整済指数77.2、前月比マイナス8.4%と、3か月連続の大幅な低下となりました。5月の出荷は、生産と同様、大きく低下しました。

業種別にみると、全体15業種のうち、すべての業種で出荷が低下しました。

低下寄与業種としては、寄与度の大きい順に、自動車工業、鉄鋼・非鉄金属工業、生産用機械工業等となっていました。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス11.0%の低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス6.2%の低下でした。

最終需要財の出荷について内訳ごとにみると、まず消費財については、出荷は前月比マイナス3.6%、3か月連続の低下となりました。特に耐久消費財の出荷が、乗用車の大幅低下の影響が大きく、前月比マイナス8.2%と、4か月連続の低下となりました。非耐久消費財の出荷は前月比マイナス3.1%と、3か月連続の低下となりました。

一方、設備投資に使われる財である資本財(除.輸送機械)の出荷は、前月比マイナス9.0%と低下し、2か月ぶりの低下となりました。

また、建設財は、前月比マイナス5.6%の低下となり、3か月連続の低下となりました。

在庫は2か月連続低下

5月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.4、前月比マイナス2.5%と、2か月連続の低下となりました。業種別にみると、15業種中、9業種が低下、6業種が上昇でした。低下寄与が大きかった業種としては、自動車工業、鉄鋼・非鉄金属工業、生産用機械工業等が挙げられます。

5月は特に、自動車工業の在庫の低下寄与が大きくなっていました。自動車工業に関しては、3月、4月と高い在庫水準が続いていましたが、生産調整が行われたことで、在庫水準は再び低下しました。これにより鉱工業全体の在庫も低下となりました。

ただ、在庫率に関しては5月も上昇し、3か月連続の上昇となりました。出荷が大きく低下した割には、在庫の水準は未だそれほど低下していないことが背景にあります。

在庫循環図をみても、生産が大きく低下した割には、在庫はそれほど減っておらず、今後も在庫調整が進むことが期待されます。

5月の基調判断は、「生産は急速に低下している」を据え置き

本年5月の鉱工業生産は、4か月連続の前月比低下となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で2月以降、生産の低下が続いていますが、4月に続き、5月も大幅な低下となりました。この背景には、感染症の影響により、国内外での需要が低迷し、それにより自動車工業等で大幅な生産調整も行われ、そうした影響が川上までの幅広い産業に波及したと考えられます。指数値は今基準内での最低値を再び大幅に更新し、非常に低い水準へと低下しています。

一方、先行きに関しては、企業の生産計画では6月、7月は上昇となっています。ただ、企業の生産計画に元々含まれている上方バイアスに加え、このところ企業の生産計画を大幅に下回る低下が続いていることも考えると、7月までみれば上昇は期待されるものの、6月も計画のような大幅な上昇となるとは考えにくいところです。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の5月の基調判断は、「生産は急速に低下している」を据え置き、6月以降、生産は実際にどのように回復していくのか、十分注意してみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/slide/result-iip-sanko-202005s.html
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20170329iip_manga2017.html

問合せ先

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