6月の鉱工業出荷は、国内向け、輸出向けともに大幅な上昇。国内向けは5か月ぶりの上昇、輸出向けは4か月ぶりの上昇となった。 2020年8月7日
国内向け出荷、輸出向け出荷ともに前月比で上昇
本年6月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で80.8、前月比5.2%と4か月ぶりの上昇で、伸び率としては今基準内で最大の上昇幅となりました。内需(国内向け出荷)は前月比4.9%、外需(輸出向け出荷)は前月比6.1%と、それぞれ内需は5か月ぶり、外需は4か月ぶりに上昇に転じました。特に、内需は、今基準内で最大の上昇幅となっています。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、6月の指数値は82.7となりました。国内向け出荷は、昨年10月に大幅に低下し、小幅な回復が続いたものの低い水準で推移し、3月に低下に転じたあと、4月、5月と大幅な低下となり、6月は5か月ぶりとなる上昇となりましたが、依然低い水準となっています。
輸出向け出荷指数は、6月の指数値は74.9となりました。輸出向け出荷は、2018年後半以降、低下傾向が続いており、2月は4か月ぶりに上昇に転じたものの、3月から3か月連続で大幅に低下し、6月は比較的高い伸びを示したものの、国内向け出荷以上に低い水準にとどまっています。
業種別の動き
6月の国内向け出荷の業種別動向をみると、鉄鋼・非鉄金属工業を除く11業種が前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも乗用車、車体・自動車部品等が上昇していました。
それに次ぐ上昇寄与をみせたのは生産用機械工業でした。なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、その他の生産用機械等が上昇していました。
6月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中半分の6業種で前月比上昇となりました。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業でした。なかでも船舶・同機関、乗用車等が上昇していました。
次いで上昇寄与が大きかったのは、生産用機械工業でした。なかでも半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、建設・鉱山機械等が上昇していました。
需要先用途別の動き
6月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみます。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比5.3%と4か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は前月比マイナス2.9%と4か月連続の低下でした。輸出向け出荷の低下については、一部の国・地域において生産の回復が鈍い中、電子部品・デバイス工業やプラスチック製品工業等で低下が続いたことが、その要因としてあるようです。
設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比7.6%と2か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は、前月比3.5%と4か月ぶりの上昇となりました。
建設財については、国内向け出荷は前月比2.8%と4か月ぶりの上昇でした。輸出向け出荷は前月比マイナス9.0%と4か月連続の低下でした。
消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比22.8%の大幅上昇で、5か月ぶりの上昇となりました。輸出向け出荷も、前月比17.7%と4か月ぶりの上昇となりました。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比4.7%と5か月ぶりの上昇、輸出向け出荷は前月比マイナス8.4%と3か月ぶりの低下となりました。
国内向け出荷では、全ての財で上昇となり、国内の経済活動再開の動きがある程度順調であることがうかがわれます。一方、輸出向け出荷は、資本財、耐久消費財は上昇へ転じたものの、鉱工業用生産財、非耐久消費財、建設財が低下となっており、特に鉱工業用生産財が低下に寄与していました。
輸出仕向け先別の動向
6月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧州向け、米国向け、中国向けなどは上昇したものの、ASEAN向け、韓国向けなどが低下となっています。中国では経済活動再開の動きもあり、3か月連続の上昇となっており、水準も昨年並みとなっています。
輸入品、総供給の動向
一方、輸入の動向をみると、6月は前月比マイナス0.9%と小幅ながら2か月連続の低下となりました。3月、4月と2か月連続で上昇し、5月の大幅低下後の連続低下となっています。
業種別の動向をみると、13業種中7業種が前月比低下となっていました。
国産は前月比4.8%と4か月ぶりの上昇となり、鉱工業総供給は、前月比3.6%と3か月ぶりの上昇となりました。
6月の輸入の低下は、特に電気・情報通信機械工業、化学工業(除.医薬品)が寄与していました。
6月の出荷は、国内外での経済活動の再開の動きもあり、国内向け・輸出向けともに上昇しました。6月は鉱工業生産も下げ止まり、持ち直しの動きがみられ、製造工業生産予測調査の結果では、企業の生産計画は7月、8月も上昇が続くこととなっています。ただ、輸出が未だ低い水準にあること、国内でもここ最近、新型コロナウイルス感染に再拡大の動きがみられることなどから、出荷は今後それぞれどのように推移していくのかが注目されます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/utiwake/result/slide/result-utiwake-sanko-202006.html
- 鉱工業出荷内訳表、総供給(いわゆるバランス表)をちょっとながめてみました
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160511iip_bl_gaiyou.html
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