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本年8月のサービス産業活動は、前月比0.8%と3か月連続の上昇。未だ活動水準は低いものの、感染症の影響により大幅に低下していたところから、回復に向けた動きがみられる。8月の基調判断は「持ち直しの動き」と上方修正。 2020年10月15日

本年8月の第3次産業活動指数は、前月比上昇

本年8月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値95.1、前月比0.8%と3か月連続の上昇となりました。

サービス産業活動は本年5月まで、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、緊急事態宣言が発出されたこともあり、大幅な低下が続いていました。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降、上昇に転じています。6月に前月比9.0%と大きく戻した後、7月は前月比0.1%と、横ばいに近い小幅な上昇にとどまりましたが、8月は前月比0.8%と再び大きめの上昇となりました。

ただ、活動水準に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響が現れる前の本年1月以前と比べると、依然低い水準にとどまっています。

業種ごとの動向

8月の業種別の動きをみると、11業種中、6業種が前月比上昇、5業種が前月比低下という結果となりました。

8月は、情報通信業、「金融業, 保険業」、卸売業等は低下したものの、小売業、電気・ガス・熱供給・水道業、不動産業等が上昇したことにより、第3次産業全体としては上昇することとなりました。

小売業に関しては、8月は前月比3.9%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種をみると、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、その他小売業等が上昇しています。7月は豪雨が続くといった天候不順の影響等もあり、いずれも大きく落ち込んでいましたが、8月は一転、好天の日が多かったこともあり、7月の低下からの戻りでの上昇と考えられます。また、外食から内食へのシフト等、対面型サービスなどからモノへの需要のシフトの影響も一部みられます。

電気・ガス・熱供給・水道業は、前月比12.3%と、2か月ぶりの上昇となり、上昇幅も今基準内で最大となりました。内訳業種では特に電気業が寄与していました。7月は先にも述べた豪雨の影響もあり、気温も平年比で低くなっていたところから、8月は一転、厳しい暑さが続いたため、冷房需要が大幅に増加するなどの影響があったと考えられます。

不動産業は、前月比3.7%と、4か月連続の上昇となりました。特に「建物売買業, 土地売買業」や「不動産代理業・仲介業」が上昇していました。不動産取引に関しては、5月まで感染症の影響でマンション分譲業やマンション売買仲介等で活動水準が大きく落ち込んでいましたが、6月以降、そこからの戻りが続いていることや、事業者がお盆休み期間中も販売活動を積極的に行っていたこと等が上昇要因として考えられます。

対個人/対事業所サービスの動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。

8月の対個人サービス活動指数は、指数値93.9、前月比1.5%と2か月ぶりの上昇でした。対事業所サービス活動指数は、指数値96.6、前月比0.2%と3か月連続の上昇でした。感染症の影響により、対個人サービス、対事業所サービスともに本年2月以降、5月まで低下が続いていましたが、6月以降、両者とも回復に向かいつつある様子がみられます。

製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。

8月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.2%と3か月連続の上昇でした。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.1%と、3か月ぶりの低下となりました。

非選択的/し好的個人向けサービスの動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。

それぞれの動向についてみてみると、8月は非選択的個人向けサービスは前月比2.1%と3か月連続の上昇でした。し好的個人向けサービスは前月比0.6%と2か月ぶりの上昇でした。

非選択的個人向けサービスについては、指数値101.6まで上昇し、感染症の影響が現れる前の本年1月の水準(指数値101.6)まで活動水準が戻ってきています。他方、し好的個人向けサービスについては、感染症の感染拡大防止策で社会経済活動が抑制されていたことにより、5月まで大幅低下した後、6月以降、活動水準を戻してきてはいますが、未だ十分な戻りではありません。

8月の基調判断は、「持ち直しの動き」と上方修正

本年8月のサービス産業活動指数は、前月比0.8%と、3か月連続の前月比上昇となりました。サービス産業活動は、5月までの活動水準の大幅な低下から一転、6月は大幅に上昇し、7月は微増、8月はやや大きめの上昇と、上昇が続いています。

この背景には、5月まで新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発出される等、社会経済活動が大幅に抑制されていたところから、6月は社会経済活動のレベルが引き上げられたことで大幅上昇し、その後も、7月の豪雨、8月の好天といった天候要因による振れや、8月は感染症の感染再拡大による帰省等の自粛、東京都等での飲食店の営業時間短縮などの低下要因もあったものの、総じていえば、7月、8月と、サービス産業は活動水準を回復させつつある動きにあるものと考えられます。

こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の8月の基調判断については、7月までの「底打ちの動き」から「持ち直しの動き」へと、上方修正することとします。

9月以降についても、社会経済活動レベルの段階的引き上げ等による更なる上昇が期待されますが、他方、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響等も注意する必要があります。このため、サービス産業活動の先行きについては、引き続き注意してみていきたいと考えます。

結果概要のページ
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
参考図表集
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202008.html
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html

問合せ先

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電話: 03-3501-1511(代表)(内線2854)、03-3501-1644(直通)
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