本年9月のサービス産業活動は、前月比1.8%と4か月連続の上昇。感染症の影響は続いているものの、社会経済活動のレベルが引き上げられるなかで、回復に向けた動きが続いている。9月の基調判断は「持ち直しの動き」を据え置き。 2020年11月12日
- 本年9月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
- 業種ごとの動向
- 対個人/対事業所サービスの動向
- 製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
- 非選択的/し好的個人向けサービスの動向
- 9月の基調判断は、「持ち直しの動き」を据え置き
本年9月の第3次産業活動指数は、前月比上昇
本年9月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値96.8、前月比1.8%と4か月連続の上昇となりました。
サービス産業活動は本年5月まで、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、緊急事態宣言が発出されたこともあり、大幅な低下が続いていました。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降、上昇に転じています。6月に前月比9.0%と大きく戻した後、7月は前月比0.1%と、横ばいに近い小幅な上昇にとどまりましたが、8月の前月比0.8%に続き、9月は大きめの上昇となりました。
ただ、活動水準に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響が現れる前の本年1月以前と比べると、依然低い水準にとどまっています。
業種ごとの動向
9月の業種別の動きをみると、11業種中、8業種が前月比上昇、2業種が前月比低下、1業種が横ばいという結果となりました。
9月は、不動産業、情報通信業は低下したものの、生活娯楽関連サービス、「運輸業,郵便業」、卸売業等が上昇したことにより、サービス産業全体としては上昇することとなりました。
生活娯楽関連サービスに関しては、9月は前月比10.5%と、2か月ぶりの上昇となりました。内訳業種をみると、「飲食店, 飲食サービス業」、宿泊業等が上昇しています。新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加した8月と比べ、9月は感染者数が減少し、またそれを受け、東京都等では飲食店等への営業時間短縮要請を終了し、国としてもイベントの人数制限緩和、Go Toトラベル事業の対象拡大等を決定・発表したことで、心理的効果も含め、人の外出・交流機会が増えたことなどが上昇要因として考えられます。
「運輸業, 郵便業」は、前月比4.8%と、2か月連続の上昇となり、大幅な上昇となりました。内訳業種では旅客運送業、運輸施設提供業等が寄与しています。先にも述べたように、9月は新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少したことで、人の外出機会が増加したことなどが上昇要因として考えられます。
卸売業は、前月比3.3%と、2か月ぶりの上昇となりました。特に機械器具卸売業や医薬品・化粧品等卸売業が上昇しています。国内外の経済活動回復を背景に、自動車工業や生産用機械工業等で出荷が上昇したことや、医薬品も輸出入が増加したことなどが上昇要因として考えられます。
対個人/対事業所サービスの動向
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができます。
9月の対個人サービス活動指数は、指数値95.6、前月比2.1%と2か月連続の上昇でした。対事業所サービス活動指数は、指数値98.3、前月比1.3%と4か月連続の上昇でした。感染症の影響により、対個人サービス、対事業所サービスともに本年2月以降、5月まで低下が続いていましたが、6月以降、両者とも回復に向かいつつある様子がみられます。
製造業/非製造業依存型事業所向けサービスの動向
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算しています。
9月は、製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.4%と4か月連続の上昇でした。非製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.0%と、2か月ぶりの上昇となりました。
非選択的/し好的個人向けサービスの動向
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算しています。
それぞれの動向についてみてみると、9月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.3%と4か月ぶりの低下でした。し好的個人向けサービスは前月比5.4%と2か月連続の上昇でした。
し好的個人向けサービスは上昇が続いたとはいえ、非選択的個人向けサービスと比べると活動水準の戻りは弱く、更なる上昇が期待されます。
9月の基調判断は、「持ち直しの動き」を据え置き
本年9月のサービス産業活動指数は、前月比1.8%と、4か月連続の前月比上昇となりました。サービス産業活動は、5月までの活動水準の大幅な低下から一転、6月は大幅に上昇し、7月はほぼ横ばいの微増にとどまりましたが、8月、9月と大きめの上昇が続いています。
この背景には、5月まで新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発出される等、社会経済活動が大幅に抑制されていたところから、6月はその制約が緩和されたことで大幅上昇し、その後、7月は豪雨等の天候不順、8月は感染症の感染再拡大が指数を押し下げる要因として作用したものの、社会経済活動のレベルの段階的引上げや各種政策の効果もあり、8月、9月は大きめの上昇が続き、サービス産業は引き続き活動水準を回復させつつある動きにあるものと考えられます。
こうした状況を踏まえ、サービス産業(第3次産業)活動指数の9月の基調判断については、8月と同様、「持ち直しの動き」を据え置くこととします。
10月以降については、Go Toトラベル事業の全国への対象拡大や、Go Toイート事業、Go Toイベント事業の開始等もあり、更なる上昇が期待されますが、他方、最近の新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響等も注意する必要があります。このため、サービス産業活動の先行きについては、引き続き注意してみていきたいと考えます。
- 結果概要のページ
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result-1.html
- 参考図表集
- https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/result/reference/slide/result-sanzi-sanko-202009.html
- 『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)
- https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/slide/20160405ita_manga2016.html
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